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最終章導入編②~世界が激震する日~(佐々木優視点)

ご興味を持っていただきありがとうございます。

最終章導入2話目は佐々木優視点です。


本作のタイトルを改名した【ネトゲ廃人の異世界転生記】が発売中です。

アマゾン等で全国の書店にてお買い求めできるので、よろしくお願いします。

購入報告お待ちしております!

 来月に個人戦と団体戦の世界大会を控え、営業の電話が鳴り止まない。

 なぜか、今回の団体戦では使用武器の制限がなくなり、どんなものでも使ってもよいとWAOから発表があった。


 そのため、兵器を開発している企業から、【谷屋花蓮と愉快な仲間たち】PTで唯一確実に連絡がとれる俺へ朝からひっきりなしに電話がかかってきている。

 今も日本でも有数の兵器メーカーの営業の対応をしており、ようやく断って切ることができた。


「はあ……仕事がまったく進まない……」


 素材監視課から昇進する話をされたが、これ以上仕事を増やされたら精神的にもたない。

 冒険者に復帰することで金銭を求めることがなくなったので、慣れている仕事をしている方が体の負担が少ないため昇進は望まなくなった。


(一也くんに付いていってモンスターと戦うことに比べたら、こんな書類処理や事務対応は楽だ)


 復帰初期には腹部が消し飛び、文字通り体に穴が開いたこともある。

 それに比べたら、こうして電話で多数の企業へ断りの話をするくらいどうってことない。


 一段落したのでコーヒー買うために立ち上がろうとしたら電話が鳴り、内線がかかってきたようだ。


(またどこかの企業か? ゆっくりとコーヒーも飲めないなんていい加減にしてほしい)


 机に座っているので無視するわけにもいかず、ため息をつきながら電話を取る。


「佐々木か? 篠原だが、時間がある時にこちらまできてもらえるか?」

「ギルド長? ……昼休憩になったらうかがいます」


 ギルド長は深刻そうに頼んできていたため、休憩するのを止めにして今ある仕事を片付けることにした。


「よろしく頼む」


 頼むと言いながら安堵したように電話を切るギルド長の様子から、俺以外に相談できる相手がいないことを察した。


(企業の電話はもう丁寧に断る必要もないな……かかってきても邪魔だから最低限の会話で終わらせよう)


 昼の休憩時間まで休みを取らずに素材鑑定の手続きや監査日程の調整をし、午後には最低限の仕事だけ行えばいい。


「少し冒険者ギルドへ行ってくる。何かあったら電話を頼む」


 昼食へ行こうとしていた部下数名に声をかけてからカバンを持ってギルドへ向かう。

 県庁の連絡用通路を通ってギルドに着くと、俺の姿を見つけた清水さんが駆け寄ってきた。


「佐々木さん、お待ちしておりました! ギルド長の部屋へどうぞ」

「ありがとう。休憩中にすまない」


 ギルドもこの時間は休憩のはずなので、清水さんはその時間を削ってここで待っていてくれている。

 清水さんとギルド長の部屋まで向かい、優しくノックをしながら中の反応をうかがっていた。


「ギルド長、失礼します。佐々木さんがいらっしゃいました」

「入ってもらってくれ」

「はい! 佐々木さんどうぞ」


 返事をした清水さんが扉を開けて、俺にいつもの笑顔を向けてくれる。

 その笑顔に見送られて部屋に入ると、ギルド長の暗い表情が目に入り、今の状況がより深刻に思えてしまう。


「これを見てくれ」

「拝見します」


 俺が椅子に座るとギルド長は1通の封筒を俺へ差し出してきた。

 それを受け取って中身を取り出そうとしたら、ギルド長が椅子にもたれかかって手を組む。


「世界大会の件でJAO(日本冒険者協会)から正式に企業を決めるように通知が来た」

「JAOからですか……無視するわけにはいきませんね……」


 封筒の中には通知書と手紙が入っており、ギルド長の言うとおり世界大会へ進出するPTで企業と契約していないのは彼らだけで、何とか説得するようにと頼んできていた。


 また、佐藤一也については個人での冒険者Rank5ということで、各企業が彼と契約をするのに躍起になっているとも書かれている。


「ああ、だが、彼は特定の企業と契約するつもりはないんだろう?」

「まあ……銃器や兵器なんて使わないと言っているのでそうなります」


 取り出したものへ目を通した後、封筒に書類を戻してテーブルへ置く。

 一也くんや花蓮、夏美の戦いを見ていると、兵器を使った方が弱くなるんじゃないかと思えてくる。


 しかし、JAOは世界大会に出る場合、必ず装備のメーカーと契約するようにと警告をしてきているので、どこかを選ばなくてはいけない。


 ギルド長が頭を抱えてしまう理由が分かり、俺も同じように腕を組んで悩み始める


「このまま特定の企業を決めずに世界へ行く。というのは不可能ということですよね?」

「ああ、世界大会への最終的な推薦はJAOが行う……ここに【企業名が未記入の場合は受け付けない】と明記されているからな」

「そういうことですよね……彼と話をしてみます」

「頼む……毎回すまないな」

「いいえ、楽しんでいるのでお気になさらないでください」

「助かる」


 世界大会に向けて最大の難関が支援してくれる企業を見つけることではなく、一也くんの説得になってしまった。


(あれでも彼は人間だ。話を理解してくれるはず……)


 数日前に富士山の山頂が吹き飛び、その中から現れた白銀に輝くドラゴンが現れたことは世界的なニュースになった。

 富士山でドラゴンが荒れ狂う光景が望遠で撮影されており、世界中に拡散された。


 赤い雷が富士山全体に降り注いでおり、それに対抗するように炎の塊がいくつも現れたことから、黒騎士が戦っているのではないかと推測されている。


(先日、本人に聞いたら軽くそうだと言われて、どう反応すればいいか迷ったな……)


 これから話をしなければいけない相手のことを考えていたら、扉が荒くノックされる。


「ギルド長!! お話し中すみません!!」

「清水か!? どうしたんだ!?」


 俺を案内してくれた時とは打って変わって、清水さんが焦るように肩を揺らし、急いでここまで来ていることが分かる。


「今すぐテレビを付けてください!! 世界が大変なことになっています!!」

「どういうことだ!? テレビを付ければいいのか!?」


 清水さんに急かされるようにテレビを付けたギルド長は、そこに映し出されていた映像を見て言葉を失う。

 テレビではチャンネルを変えてもすべて同じことが報道されており、その映像から目を離すことができない。


「日本では被害がありませんが、世界中でモンスターが市街地に出現しているようです」


 息を乱した清水さんは俺たちへ、テレビの内容と同じことを説明してくれていた。

 俺はそれを見ながら、かつて海底神殿で彼に言われた言葉を思い出す。


「世界がモンスターに侵食されようとしているのか……」


 テレビでは世界各地でモンスターによる被害が出ており、一番大きな影響としてアフリカ大陸が蟻のモンスターによって侵食されたことが報道されていた。

ご覧いただきありがとうございました。

更新は11月11日を予定しています。


もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


特に広告の下にある評価ボタンを押していただけると、大変励みになります。


9月17日より新連載を始めました。

同じローファンタジーになります。

ぜひ、こちらもよろしくお願いします。

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