宿命の相手編③~VSファラオ戦~
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次回の更新は11月2日です。
ファラオとの戦闘が始まってから数時間が経ち、ようやく冥王の衣を打ち崩すことができた。
倒すチャンスがきているとわかっているが、俺もオーラをまとうことさえできなくなっている。
立っているのもつらい俺へ、疲れを知らないファラオが重い一撃を放ってきた。
(ここで踏ん張らないと……体力を絞り切れ!!)
パリィを行うために辛うじて残っていた魔力を右手に集中させた時、俺の胸ポケットから何度もベルが鳴る音が聞こえる。
ファラオの攻撃を弾き、ファラオが無防備になる刹那の時間の中、俺はここで決着をつけようと深く拳を構えた。
(耐えた!! それも最高のタイミングだ!!)
この部屋に入る前に【5時間58分】経ったらベルの音が鳴るようにセットしたスマホが反応し、俺は今残されたすべての力を集約する奥義を放つ準備を行う。
拳最上級スキルにして、ゲーム内最強の攻撃力を誇る【波動鳳凰拳】。
俺はこのスキルで何百体ものダンジョンの主やモンスターを地面へ沈めてきた。
(スキルの代償は、すべての体力と魔力を集約して放つため、使ったら【死ぬ】ことくらいだ!)
ゲームではクリック一つで復活できたが、現実ではそうはいかない。
ただ、それくらいのリスクを負わなければファラオを倒すことできないだろう。
俺は錬気解放が熟練度Lv10になっていると信じ、【波動鳳凰拳】を放つために魂を右手へ込めた。
(この一撃で倒せれば引き分け、倒せなければ負けだ!!)
この戦いに後退は許されず、確実にここで決着を付けたい。
攻撃が弾かれて逃げようとしているファラオの胴体に向かって右拳を突き出す。
「波動!! 鳳凰拳!!!!」
俺に残っているすべての体力と魔力を放出した拳が鳳凰となり、ファラオへ襲いかかる。
「ガァアアアアアアアアアアアアア!!!!」
鳳凰はファラオを逃がすことはなく、断末魔の叫びをあげながら崩れ落ちた。
地面へ倒れたファラオが黒い煙と共に消えている。
(倒した……俺も……カラだ……)
波動鳳凰拳を放った俺の体に残っている力はなく、立っていることができずに膝から崩れてしまう。
目を開けているのもしんどくなり、その時がくるのを静かに待つ。
(早く楽になりたい……まだなのか……)
心臓の音が弱まって、妙な寒さを感じ、手先さえも動かせなくなる。
ファラオの体が完全に消えたとき、俺のお腹の中から燃え上がるような熱を感じ始めた。
その熱は全身を駆け巡り、からっけつになった俺の体へエネルギーを与えてくれている。
(やっと6時間経ったのか……死ぬかと思った……)
ようやく効果を発揮してくれたセティの贈り物が入ったお腹をなでながら上半身を起こす。
この部屋では物量に圧倒されて6時間も戦い続ける人がおらず、セティがくれるアイテムの効果が役に立つことはなかった。
(ただ、【どんな状況】でも微量回復するということがわかってから、評価が見直されそうだったけど、6時間後という時間がネックとなり、記念アイテムとしての地位が揺らぐことはなかったんだ……)
立ち上がり、ダンジョンの主であるファラオのいなくなったこの部屋を見回す。
(こんな風景だったのか……【前】は見ることはなかったからな……)
前回は余韻を楽しむことなく倒れてしまったので、誰もいなくなったこの部屋を堪能する。
「静かだな……」
敵のいなくなったファラオの間は音が何もせず、ただ広い空間だけが広がっている。
「一也様」
「ん?」
意味もなく部屋をうろついていたら、背後から少女の声が聞こえてきた。
振り向くとセティがファラオに挑戦する前と同じように膝をついて俺を見上げている。
「冥王ファラオの魂を鎮めていただきありがとうございます。これで数千年は現れることがありません」
「他のダンジョンはボスが復活するけど、ここは違うの?」
富士の樹海にいるバフォメットは花蓮さんたちでも倒せるため、何体葬ったか分からない。
スキルの熟練度を上げるために、ファラオとは定期的に戦いたかったが、このダンジョンの守護者であるセティがそれはできないと言っている。
「ダンジョンの主としてのファラオは現れますが、冥王の力は宿すことはないでしょう」
「そっか……それは残念だ……」
全力で戦える相手がいなくなり、次はどのダンジョンを攻略しようか考え始める。
ファラオ以外の主は一通り攻略法を知っているため、苦戦する気がしない。
(ファラオが倒せた今、後は主へ会いに行って倒すことを繰り返すだけだな)
どこにダンジョンがあるのかはレべ天や明に聞けば大体の位置がわかるので、【地球攻略】のために動くことができる。
適度に力が回復したため、一回帰って他のダンジョンへ行こうとしたところ、セティが俺の手を取った。
「救世主様、ささやかですが私の力を使ってください」
セティの両手から輝きを放つ光が俺へ伝わり、全身に広がって包み込む。
その光がおさまると、セティが立ち上がりながら口を開く。
「私の力は、【死者の拒絶】。1度だけあなたの魂をこの世に蘇らせることができます」
「……ありがとう。使わないように気を付けるよ」
「地球をよろしくお願いします」
効果を実感するなら、1度死ななきゃいけないのかと思ってしまう。
苦笑いをしながらセティと別れ、富士への樹海へワープを行なった。
気配察知で誰も周りにいないことを確認し、思いっきり拳を突き上げる。
「勝ったぞ!!!! ファラオに勝ったんだ!!!!」
誰にも迷惑にならないように感情を爆発させて、全身で喜びを表現した。
ゲームよりも強化されたファラオを倒したことで、俺は自分の中の拳王を超えることができた。
「やっぱり世界は可能性で満ち溢れている!! 残っているすべてのモンスター、首を洗って待ってろよ!!」
◆
スキル一覧
体力回復力向上Lv70
(Lv5) ┣[+剣熟練度Lv5]攻撃速度向上Lv70
(Lv10)┗キュアーLv70
剣熟練度Lv70
(Lv3) ┣挑発Lv70━[上級]宣言Lv70
(Lv5) ┣バッシュLv70
(Lv10)┗ブレイクアタックLv70
両手剣熟練度Lv70[上級+剣熟練度Lv10]
(Lv10)┗一刀両断Lv70
メイス熟練度Lv70
(Lv3) ┣[+ヒールLv3]身体能力向上Lv70
(Lv10)┗魔力回復力向上Lv70
ヒールLv70
(Lv5) ┣移動速度向上Lv70
(Lv10)┗[上級+キュアーLv10]ホーリーヒールLv70
杖熟練度Lv70
(Lv3) ┣ファイヤーアローLv70
┃(Lv10)┗━[上級]ウォーターミサイルLv70
(Lv5) ┣ライトニングボルトLv70
┃(Lv10)┗━[上級]ライトニングストームLv70
(Lv10)┣テレポートLv40━[上級]ワープホールLv70
┃(Lv10)┗━[上級]ライトニングストームLv70
[最上級] ┗ヘルフレイムLv70
短剣熟練度Lv70
(Lv3) ┣鑑定Lv70
(Lv5) ┣スキル鑑定Lv70
(Lv7) ┣急所突きLv70
(Lv10)┗[上級]隠密Lv70
盾熟練度Lv70
(Lv5) ┣[上級]パリィLv70
(Lv10)┣シールドバッシュLv70
(Lv10)┣[上級]シールドブーメランLv70
[最上級] ┗オートパリィLv70
拳熟練度Lv70[上級]
(Lv3) ┣アースネイルLv70
(Lv5) ┣[+ファイヤーアロー等]魔力放出Lv70
┃(Lv10)┗属性付与Lv70
(Lv5) ┣旋風脚Lv70
(Lv10)┗錬気Lv70
[最上級]┗錬気解放Lv15━覇王鳳凰拳Lv1
弓熟練度Lv70
(Lv3) ┣気配察知Lv70
(Lv5) ┣鷹の目Lv70
┃(Lv10)┗[上級]暗視Lv70
(Lv10)┗[上級]マルチプルショットLv70
槍熟練度Lv70[上級]
(Lv3) ┣騎乗Lv70
(Lv5) ┣ソニックアタックLv70
(Lv10)┗五月雨突きLv70
鞭熟練度Lv70[上級]
(Lv3) ┣ワイドアタックLv70
(Lv5) ┣ソニックウェーブLv70
(Lv10)┗多重攻撃Lv70
銃熟練度Lv1
[シークレットスキル]
守護神の加護
海王の祝福
水神の寵愛
空神の解放
戦神の気骨
死者の拒絶 NEW
◆
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