宿命の相手編②~ファラオへの挑戦~
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次回の更新は10月30日です。
地獄の番犬であるケルベロスは、回復担当である真ん中の頭を潰さないと完全に倒すことはできない。
胴体を弾き飛ばしたとしても、真ん中の頭が健在な限り時間が経つと元通りに治ってしまう。
なので、真ん中の頭さえ潰せばケルベロスは2メートルほどしかないため、簡単に倒せるモンスターなのだが、今はそれに手こずっている。
(こいつら……真ん中の頭だけ引っ込めてやがる!!)
俺が一体のケルベロスに苦戦していたら、他の敵が様子を見るように離れ始めた。
(やばい!)
あまり使いたくなかったが、前方へテレポートしてケルベロスの群れへ飛び込む。
先ほどまで俺がいた場所へ数十体のキマイラが炎を吹いており、石の地面を黒く焼いていた。
「ライトニング旋風脚!!」
今は倒すよりも、自分の戦える空間を確保するために雷の一閃でケルベロスを吹き飛ばす。
そして、テレポートを使った代償として、俺のいる場所へ眷属が召喚された。
「うっとうしい!! この仕様もゲームのままなのか!!」
眷属を相手にするのが嫌で移動魔法等でファラオに近づこうとすると、眷属を増やすという強烈な嫌がらせをしてくる。
ファラオと戦うためには、この一面に広がる眷属たちを倒す以外に道はなく、その量に心が折れる人が続出した。
「熟練度上げのついでに戦い続けてやるよ!!」
今の俺からすれば、一体一体はそう苦戦することはない。
しかし、さっきやられたキマイラの火炎攻撃や、ケルベロスによる波状攻撃など、眷属を指揮するファラオの存在で、倒すのに苦戦をしている。
(ファラオもケルベロスやキマイラの弱点を知っているんだな……)
防御力の高いケルベロスを前面に出し、魔法攻撃力の高いキマイラを後方へ置き被害が出ないように配置されていた。
今も、召喚されたのはケルベロスで俺が前進するのを阻んでいる。
(孤独な王のファラオ……これのどこが孤独だ!! って言われていたな)
この大量の眷属を相手にして、数時間戦い続けなければファラオと戦うことさえできない。
こちらが1人なのに対し、相手は数万の勢力で圧殺しようとしてくる。
(これをクソゲーと呼ばなかったら、他になんて言えばいいんだ!!)
休憩のために必要なファラオの秘宝は最初に使ってしまったため、俺はファラオを倒すまで戦いの手を止めることはできない。
魔力の濃度を意識できるようになったおかげで、オーラ解放の出力を調整ができるようになっていた。
黄色のオーラを放出し、ファラオの位置を確認する。
「五月雨ライトニングフィスト!!」
雷の拳で眷属を吹き飛ばして、少しずつファラオとの距離をつめようとした。
しかし、今回は広範囲に攻撃を行なったので、ケルベロスの補充が間に合わずに余裕が生まれる。
(今だ!!)
攻撃が緩まったこのタイミングで空神の力をかりて空を飛びながら移動をすると、キマイラの火炎攻撃があらゆる方向から放射された。
水の加護で相殺しながらファラオ【しか】いない場所へたどり着くと、すべての眷属が消える。
(孤独な王のファラオ……ここにいた眷属は全部、冥府の力を使って作り出したもので、意思を持っていない)
他者を誰一人として寄せ付けない王は、護衛さえも他の人へ委ねない。
冥府の力を操る王はその椅子から立ち上がり、この場を荒らす侵入者である俺と対峙する。
(2メートルほどしかない……けど、空気が揺れるほど黒い魔力が漏れているな)
他人を一切信じない王は死後も自らを冥界で鍛え、圧倒的な強さで他を寄せ付けない。
その最終形態が現在の冥王の力を宿した、ファラオである。
(いくつも共通点がある……俺も戦闘では常に1人だった……)
冥府の力が解放され、ファラオの体から大量の黒い魔力が放出されていた。
周囲の石は魔力の影響を受けて削られており、最上級でなければ立っていることさえ困難だろう。
(確実にゲームの時よりも強くなっている……よかった)
宿命の相手と決着をつけるために、俺もオーラを全力で解放する。
「お前を倒して【拳王】を超える!!」
俺が叫ぶと同時にファラオが動き出し、全力で拳を突き出してきていた。
その攻撃に合わせて俺も拳を打ち出し、お互いの攻撃がぶつかりあうことで空気が弾け、地面がひび割れる。
平気そうなファラオとは違って、今の一撃で俺の拳は砕けてしまい、残った左手で炎の拳を至近距離で撃ち出す。
「バーニングフィスト!!」
「オオオオオオオオオオオオ!!」
炎の拳もファラオが全身から放つ黒い魔力に相殺されしまい届かず、攻撃と一緒に俺も吹き飛ばされた。
ファラオの象徴である冥王の衣と呼ばれる障壁を体感して、地面へ打ち付けられながらも笑ってしまう。
「これだ……この絶望感はファラオしか与えてくれない……」
幾多のプレイヤーが倒すことを挫折した孤独の王ファラオ。
攻略法自体が存在せず、本当に倒せるダンジョンの主なのかと世界中で話題になり、誰も倒すことができなかった。
視界の端にファラオが地面を転がる俺へ追撃してこようとしてくるのが見えたので、オーラを赤色に染めて切り返す。
「オォオオオオオオオ!!」
ファラオの咆哮で地面が震え、大きく振り上げた両手で俺を床ごと砕こうとしている。
パリィを行うためにオーラを集中させて、こらえられるように両足に入れた。
「こい!!!!」
振り下ろされた両手を弾き、がら空きになったファラオの胴体に高速の一撃を放つ。
それでも、先ほどよりも俺の拳が衣に食い込むが本体に届くことはない。
再び吹き飛ばされながらも、俺の攻撃で確実に衣を少しずつ削っているのが確認できた。
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