最上級職挑戦編⑭~アントネスト侵攻~
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次回の更新は10月21日です。
(【パリィ】というスキルの弱点を突けばこいつを倒すことができる)
俺は足に魔力を込めて地面へ振り下し、アーマーアントの《背後》からアーススパイクを打ち出す。
正面にいる俺の行動しか見ていなかったアーマーアントは、後ろからの攻撃に対応できず、背中に土の杭が刺さり、慌てて腕の盾で払おうとしていた。
しかし、俺から視線を外した瞬間、黄色のオーラを身にまとって距離を詰め、がら空きになった脇腹へ高速の一撃を繰り出す。
「ソニックアタック!!」
雷をともなった高速の拳はアーマーアントの体を貫くが、それでもなお抵抗しようとしていたので、容赦なく魔法を唱えた。
「ライトニングボルト!!」
体を内側から破壊するように、雷をアーマーアントの全身へ走らせる。
白い煙を上げながらアーマーアントがその場に倒れると、出口に向かっていたソルジャーアントの群れが再び俺へ襲いかかり始めた。
(兵隊《こいつら》を止めなきゃ何も解決しない!! まずは供給源を倒す!!)
ソルジャーアントはクイーンからは生まれず、専用の女王蟻が卵を作り続けていると聞いたことがある。
この量を生産をまかなうのに何体のソルジャーアントの女王がいるのか想像もつかないが、すべてを倒すしか止める方法はない。
この場所には雷の魔力をまとった俺を止められるモンスターの存在はなく、進行しているソルジャーアントを足場にして倒しながら奥地へ足を進める。
気配察知で行き止まりだということを知りながら広い空間のような場所へ入ると、お腹に赤い液体を貯め込んだハニーアントをひたすら食べながら卵を産み続けている女王蟻が中央に居座り、部屋中にソルジャーアントの卵がびっしりと積まれている。
(あの赤い液体は……まさか……)
列を作って食べられるのを待っているハニーアントの腹を旋風脚で切断すると、むせるような血の匂いに思わず拳に力を込める。
「バーニングフィスト!!」
ハニーアントと共に女王蟻を焼却しようとしたが、卵やハニーアントが多すぎて届かない。
部屋の中央にいる女王蟻に近づきながら、今の炎で焼けなかった卵を割り、ハニーアントを潰す。
(このダンジョンはここだけでこんなに大きくなったわけじゃない!!)
気配察知を最大範囲まで発動させると、ここと同じような場所が後3ヵ所はある。
このハニーアントに溜めこまれた血が人間や動物、他のモンスターのものということを考えると、絶対にこのナミブ砂漠にいる生物だけでは足りない。
(他にもこの蟻たちによって壊滅した土地があるはずだ)
ナミブ砂漠のモンスターが追いやられて街を破壊している様子を思い出し、自分の覚えていた違和感の正体に気が付く。
(街に倒れている人がいなくて、ここへ来る道中でモンスターがばらばらになっていたのは、こいつらのエサにされたからか!!)
他にも出口があり、そこから近いところにある卵からソルジャーアントが生まれて外へ向かおうとしているため、部屋を丸ごと焼き払うように両手を上にあげた。
「ライトニングストーム! ライトニングストーム!!」
何度も魔法を唱えると部屋中に雷が散りばめられる。
雷に当たったハニーアントは蜜をまき散らすように飛散し、女王蟻は真っ黒になり活動を停止させる。
1つ2メートルほどある卵も例外なく破壊し、この部屋から新しいソルジャーアントが生まれないことを確認した。
「全部焼き尽くしてやる!」
俺は気配察知と隠密を使用して、数か所あるソルジャーアントの生産所の襲撃を行う。
最後のソルジャーアントの卵部屋へ着いたとき、胸部の甲殻が修復されたアントナイトが殺気をはらんだ視線を俺へ向けて、なんとしてもここを死守しようと立ち塞がっている。
(どこかに回復役がいるのか!? 最初から全力だ!!)
もう相手の戦闘力は十分にわかっているため、最初の一撃で屠るために腕をだらんと脱力させた。
濃厚な黄色の魔力を体中に駆け巡らせ、全身を使って大きく右手をしならせる。
「ライトニングウェーブ!!」
光速の雷が紐のようにうねりながら、ハニーアントや女王蟻、アントナイトを薙ぎ払う。
壁に叩きつけられたアントナイトは胴体から半分に割れ、女王蟻の頭が壁に向かって吹き飛ぶ。
残っている卵を破壊しようとした時、音を立てて壁に穴が開き始め、【気配察知にも引っかからない】通路が出現した。
(こんなところに隠されていたのか……倒した守護者は2体。間に合わなかったか……)
アントネストはクイーンの間へ通じる場所が隠匿されており、簡単に見つけることができない。
ある時、マッパーがクイーンの間が開く法則を発見してくれた。
(条件は2つ。守護者を3体倒したときと、クイーンが【キング】を生んでしまったとき……)
狭い通路に入り、クイーンの間へ進んでいると、広い空間が見え始める。
この先にいるモンスターの存在を探るが、気配察知には当然のように何も反応しない。
気配察知ではなにもない空間を歩いている俺は、立ち止まって深呼吸を行う。
(守護者が最上級だったから、【キング】は最上級ボスモンスターだろうな……いけるか?)
ここに来るまで、ことごとく俺の知識を上回る敵が出現していたため、キングやクイーンの存在も見てみなければわからない。
意を決して足を踏み入れると、壁一面にハニーアントが並び、部屋の奥にいるクイーンに食べられるのを待っている。
(まだクイーンが生きている? どういうこと……嘘だろ……)
クイーンはキングが生まれると同時に絶命し、その役目を終えるはずだった。
しかし、部屋の奥ではキングの背中から伸びた管に刺されたクイーンが、ハニーアントを食べてエネルギーの供給を続けている。
キングは俺を待っていたかのように繋がっているものを根元から引きちぎる。
同時に、クイーンが生命活動を停止するかのように目から光が消えた。
(こいつ……俺が来ることをわかっていたのか……)
繋がっていたものは羽のように形状を変えて、2メートルほどあるキングの体を宙に浮上している。
俺も空神の力で宙に浮き、少しずつ蟻の王との間合いを詰める。
キングの姿を眼前に捉えると、圧倒的な存在感にひやりと一筋の汗が背中を流れた。
(さあ……死闘を始めよう)
俺は残すつもりなど考えられない魔力と、あらん限りの体力を燃やし始める。
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