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最上級職挑戦編①~キャンプへ~

ご興味を持っていただきありがとうございます。

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 寝ることができないまま4時になると、下の階が騒がしくなってきた。

 おそらく、両親がキャンプの準備をしていると思ったので、着替えをしてからリビングへ向かう。


 父親はせわしなく玄関とリビングを行き来していたので、声をかけた。


「おはよう。手伝うことある?」

「おはよう一也、とりあえず、庭の倉庫にキャンプ用品をまとめてあるから、車へ載せてくれ」

「はーい」


 キャンプへ行くのが初めてなので、どんなことをするのか密かに楽しみにしていた。


(狩りの最中に行う寝食は野営って感じで、まったく楽しめない)


 今回は戦闘が関係なく、自然の中で自由に過ごすことができるので、何でもしていい。

 倉庫の中には寝袋やランタンなど佐々木さんが持っているキャンプ用品と同じようなものがあるので、車へ取り出しやすいように積み込む。


(収納ボックスとか重いものは下に置いて、クーラーボックスに……食材はまだか)


 食材を途中で購入していくことを考えて、クーラーボックスは手前の取り出しやすい位置へ置かなければならい。

 真央さんの車へ荷物を積んだ経験を生かして、隙間なく車の荷台へ物を入れる。


(まさか、こんなことに役立つとは……けど、佐々木さんの言っていた通り、積載するのも楽しい!)


 前は佐々木さんが笑顔で荷物を入れる姿に共感できなかったが、今なら分かる気がする。

 倉庫にまとめられていた荷物を、黒いSUVの荷台へ積み込んでもまだ上の空間に余裕ができてしまった。


(ぴったり積み込みたい!)


 なにか他に入れる物がないのか探していたら、玄関から両親がバッグを持って降りてくる。


「一也、まだ倉庫の荷物はまだあるのか?」

「もうないよ」

「本当か!? 1人でこんなにきれいに積み込んですごいじゃないか!!」


 父親は車の後ろに回り込み、荷台を見ながら褒めるように俺の頭をなでてきた。

 恥ずかしくてくすぐったいので、手を振りほどいて父親から離れる。


「そのバッグを入れるくらいは空いているよ」

「そうなのか!? 倉庫の物だけでいっぱいになると思っていたが……」


 両親がバッグを荷台へ積み込み始めていたので、まだ現れていないレべ天を心の中で呼びかける。


『天音起きているんだろう? 早く来い』

『一也さん……私に何かしましたか?』

『何もしてないよ。お前が勝手に寝たんだろう』


 夜中に行なったことと言えばレべ天を布団へ運んだだけで、他に思い当たることはない。

 レべ天は納得がいっていないのか、返事をしてこなかった。


「一也、少し早いけど、天音ちゃんの様子を見てきてくれない?」

「たぶん、もうすぐ来ると思うよ」

「心配させたんだから、迎えに行ってあげなさい」

「わかったよ」


 母親からレべ天の家へ行くように言われたので、車に乗り込む両親を見てから、軽く首を振った。

 俺が迎えに行くために歩き出そうとしたら、白いワンピース姿のレべ天がこちらへ近づいてくる。


「一也さん、おはようございます。お待たせしました」

「ああ……」


 金色の髪に白いワンピースがよく似合い、いつもとは違う様子に戸惑ってしまった。

 言葉が出せずにいたら、レべ天の背中と手に持っていた荷物が目につく。


「荷物を入れるからよこせよ」

「よろしくお願いします」


 レべ天は背負っていた荷物を俺へ渡すものの、手に持っていたキャリーバッグは大切そうに抱えていた。

 俺が車の荷台を開けて荷物を収納するとき、レべ天の抱えていたバッグがもぞもぞと動き出す。


「キュ!」

「天音、その中はマロンか?」

「えっと……そうです。さすがに駄目ですか?」


 ペットを連れていってもよいキャンプ場もあるらしいが、今回行く場所が大丈夫なのか俺にはわからない。

 先に車へ乗っていた両親に確認をしたところ、小動物ならよいそうなので、レべ天へ笑顔を向けた。


「いいってよ。マロンをそのバッグから出してあげな」

「はい!」


 車の後部座席に乗ってからレべ天がバッグを開けると、中からマロンが飛び出してきた。

 抗議のようにレべ天へ甘噛みをしてから、俺の足に収まる。


「今日は俺の膝の上が良いって」

「キュ!」


 マロンが俺の膝の上で丸まると、前に座る両親が興味深そうに振り向いてきた。

 膝の上のマロンをなでながら紹介をしたら、母親が満面の笑みで手を伸ばしてくる。


「かわいいわね。マロンちゃんって言うの?」

「そうだよ。抱いてみる?」

「いいの?」

「大人しいから安心して」


 マロンを両手で抱えるように持って、前に座る母親へていねいに渡した。

 受け取った母親は胸で抱きかかえながら、マロンをなでている。


「この子、なんていう品種なの?」

「豆狸ってモンスターだよ」

「へー、かわいいのね」


 マロンは母親になでられるのもまんざらではないのか、逃げようとしていなかった。

 父親は豆狸と聞いて、ほーっと感心するようにマロンの頭をなでる。


「よくこんなに懐いたな。豆狸は臆病で人前にはあまり出てこないモンスターだと思っていたよ」

「天音が世話をしているから、人に馴れているんだと思う。それに、2人からは危険な感じはしないんでしょ」

「それはよかった。楽しいキャンプになりそうだ」


 父親はマロンから手を放して、車のハンドルを握る。

 車が発進すると、マロンは初めて車で移動するので、警戒するように首を左右に振って周りを見ていた。


 母親の抱えるマロンへレべ天が手を伸ばして、安心させるように笑顔を向けている。


「マロン、大丈夫。遊べる場所へ行くから、楽しみにしていてね」

「キュー」


 レべ天が声をかけるとマロンが安心して、母親の膝の上で寝始めてしまった。

 母親が運転をする父親を気遣うように声をかけたり、飲み物を渡したりしていたので、俺は少しだけ腰を浮かしてレべ天へ近づいた。


 満足そうにマロンを見るレべ天へ、出発前に言っていたことを両親に聞こえないように小声で質問をする。


「天音、朝の話だけど」

「一也さん、眠そうですよ。私も眠いので、少し休みましょう」

「は?」


 話をしようとしたら、いきなり突き放すように寝ろと言われたので納得ができない。

 詰め寄ろうとしたら、レべ天は本当に寝るような体勢を取っていた。


(なんなんだよいったい)


 俺は寝る気がないので窓の外を見ていたら、戸惑うような心の変化を感じる。

 自分に不安なことなんてあるのかと心配になってきたら、軽く横から足を指で突かれた。


『一也さん、私とあなたの繋がりが深くなっています。心当たりはありますか?』

ご覧いただきありがとうございました。

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