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夏休み約束編⑭~ザ・ロック~

ご興味を持っていただきありがとうございます。

9月12日に書籍第一巻が発売になります。

タイトルを改名して【ネトゲ廃人の異世界転生記】となっております。

アマゾン等で予約が始まっているので、よろしくお願いします。

 日本との時差は7時間ほどあり、今はこちらが15時なので日本は22時になる。


(朝になったら迎えに行くから、8時間くらい戦えるな)


 ジブラルタルの岩山へ入る手続きを行ってゲートを通ると、また壁が立ちふさがっていた。

 壁のいたるところには四角の穴が開いており、銃を構えた人がその穴から銃口を出して警戒している。


 壁伝いに視線を移しながら眺めていたら、集団が異様な雰囲気で固まって待っているようだった。

 何をしているのか気になったので近づこうとした時、急にベルが鳴る音が聞こえる。


「開いたぞ!! 出ろ!! 出ろ!!」


 大きな掛け声とともに2つ目のゲートが開いて、集団が山に向かって走り出していた。

 俺もゲートが閉じる前に通り、ザ・ロックを見上げる。


「すごいな! これを登るのか!」


 そそり立つ岩山は傾斜が急なため、普通に登ろうとするだけでも苦労しそうだ。

 俺の前方を走る集団はそんな山に向かって、両手につるはしを持ったまま全力で走っている。


 背中に見えるのは銃だが、大柄な人たちが装備するにしては小さめのサイズだ。

 モンスターがいない場所を必死に走っている姿を見て、首をかしげる。


(そんなにモンスターが怖いなら、ロケットランチャーとか機関銃を使えばいいのに……)


 1キロ100万のミスリルを採掘するのだから、弾代を気になんてしないと思う。


 俺が歩こうとした時、集団が一斉につるはしを地面へ振り下ろしていた。

 ガンガンと岩盤を砕く音が遠くにいる俺まで聞こえてくるので、様子を見守るために近づく。


 1分もしないうちに山の方からモンスターの気配が接近してきていた。


 山から降りてきていたのは、《ヤングコング》。


 2メートルほどあるゴリラで、集団で行動する習性がある。

 今回も10体ほどがつるはしを持つ集団へ向かってきており、なぜか《銃》を手にしているヤングコングが1体だけいた。


(モンスターが銃を持っているのか!?)


 ヤングコングは道具を使うとは説明文に書いてあったものの、銃を持った個体なんて見たことがない。

 冒険者の集団はつるはしをその場に置き、背中の銃を手にしてヤングコングを見る。


「嘘だろ!?」


 ヤングコングも銃を冒険者に向けるので、俺は人とモンスターの銃撃戦が始まると思っていた。

 しかし、俺が見せられた光景は、銃をできるだけ遠くへ投げ捨てて、足元のミスリルを両手で抱えて逃げる冒険者の姿だった。


「銃を持った奴は1体だ! みんな神に祈れよ!!」


 デカい図体をしているだけの冒険者は戦うそぶりすら見せず、涙目になりながら走って逃げている。

 何も持っていないヤングコングが捨てられた銃を拾いに行っており、銃を持っているコングが走っている冒険者に向かって引き金を引き始めた。


 ヤングコングは狙いを定めていないのか、乱れ撃っているようにみえるが、運悪くその中の1発が走っている冒険者の1人に当たった。

 俺が治そうと足を動かそうとする前に、弾が当たった冒険者は帰還石を取り出して消える。


(持っているなら始めから使えばいいのに……)


 いい加減パンパン銃の音がうるさいので、テレポートでヤングコングに近づいてメイスを思いっきり胴体に叩き付けた。


「バッシュ!」


 魔力をまとったメイスが当たると、ヤングコングの胴体がえぐられるように吹き飛ぶ。

 それでもなお俺へ銃を向けそうになるので、そのままの勢いで頭部を破壊した。


(このメイス威力高すぎ……)


 軽く振っただけで自分の身長以上大きなモンスターを絶命させてしまう。

 銃を拾いに行っていたヤングコングは逃げる冒険者ではなく、味方を殺した俺に向かって銃を向ける。


「銃なんかで俺を止められると思うな!!」


 銃を持ったヤングコングを蹂躙していたら、何も持っていない敵が山へ帰ってしまった。

 追いかけようとすると、後ろから声が聞こえてくる。


「おい! 今すぐ逃げろ!! 《ヤツ》がくるぞ!!」


 大声でそう言って、両手いっぱいにミスリルを抱えた冒険者はゲートの外へ向かって走っていく。

 俺以外の冒険者がゲートの外へ逃げていたため、周りを気にせずに戦うことができる。


 メイスを持ち、ヤングコングの逃げていった方向へ向かって歩き始めた。


(まあ、ヤングコングがいるなら、《あいつ》もいるよな……)


 そんなことを考えていた時、かすかにパシュっという音が聞こえてきた。

 聞いたようなことがある音だったので、盾を取り出して気配察知を最大限展開する。


 高速で俺へ接近する物体を発見したため、盾へ魔力を流し込んだ。


「パリィ!」


 上空に向かって弾こうとしたものが《ロケットランチャーの弾頭》だったため、盾へ当たった瞬間に爆発する。

 盾の範囲を広げて連続でパリィを行い、爆風と衝撃を上へ逃がす。


 砂塵が舞うものの、俺に傷はなく発射してきたやつの姿をとらえることができた。


(やっぱり《ワイルドコング》か、あんなにヤングコングを引き連れている……)


 ワイルドコングはヤングコングの上位種で、大きさが6メートルほどある。

 周囲には銃や武器で武装したヤングコングがおり、なんとなくここに入る冒険者が重火器を持ってこない理由を察することができた。


(下手をするとあいつらの戦力強化になるから持ち込めないのか)


 ロケットランチャーもまだ数発残っているようで、ワイルドコングが合図のように腕を振ると一斉に発射をしてくる。

 くるとわかっている攻撃なら簡単に避けられるため、盾を片付けてメイスを両手で握りしめた。


(まずはワイルドコングを仕留める!)


 司令塔の役割を持つワイルドコングは、周囲にいるヤングコングの能力を上昇させてしまう。

 テレポートして、ワイルドコングへメイスを振り下すものの、盾を持ったヤングコングが身を挺して防いできた。


(反応が速すぎる! それにおかしいぞ!!)


 盾を持っているものの、1体による妨害だけで神器を使った攻撃が止められた。

 よく目を凝らすと、ヤングコングたちは武器に魔力をまとわせている。


(もしかして、こいつらは【スキル持ち】なのか!?)


 ワイルドコングが後ろへ跳躍して、俺から距離を取っていた。

 追おうとするものの、様々な武器を持ったヤングコングが俺へ襲いかかってくる。


 相手の能力を把握するためにスキル鑑定を行いながら攻撃をやり過ごす。


【バッシュLv5】

【挑発Lv5】


 案の定、魔力をまとわせる攻撃は《バッシュ》で、ほとんどのヤングコングが使用してきていた。

 また、剣を持ったヤングコングは俺へ《挑発》を行い、俺の攻撃の矛先をワイルドコングから変えようとしてきている。


 初めて集団戦をしかけてくるモンスターたちと対峙して、俺もヤングコングの群れから一旦離れた。


(楽しくなってきた!!!!)


 神器のメイスを握りしめて、黒騎士ではない姿で錬気(オーラ)を使用して戦いを始める。

ご覧いただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 弾を使いきってから銃を捨てればいいのでは?
[一言] どうせ捨てるなら、弾丸無し銃ではダメなのだろうか? とりあえず、モンスターのスキル持ちなら、 銃スキルを持った個体も居そうですね。
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