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拳士中学校編⑪~谷屋花蓮の日常~

ご興味を持っていただきありがとうございます。

よろしくお願いいたします。

今回の話は谷屋花蓮の視点の話です。

 朝、目が覚めるとすぐにスマホを見て返信が無いか確認をしている。


(今日もこんな時間に返信されてるし……どんな部活なのよ……)


 スマホを見たら、朝の3時に一也くんからメッセージが届いていた。


3:05

【部活の朝練があるため、一緒に登校できません】


 私はスマホを見て、今日もダメかと思ってしまう。

 なんの部活に入ったのかもわからない一也くんとは、初日以降一緒に登校できていない。


 自分が殺すなどと一也くんへメッセージを送ってしまい、言い過ぎてしまったのかと一時反省をしかけた。

 しかし、何度考えても一也くんが悪いとしか思えないため、1度きちんと話がしたい。


(学校にはいるはずなのに、私を避けるようにどこにもいない)


 学校でいるところなんて限られているのに、一也くんはまるで私がどこにいるのか分かっているかのように私の前に姿を現さない。

 今考えても仕方がないことなので、学校へ向かう身支度を整えてからリビングへ向かう。


 リビングでは大学が臨時休校になって、家で療養中の姉がテレビの前を占拠していた。

 私は頭を押さえるのを我慢して、笑顔で姉に挨拶をする。


「おはよう、お姉ちゃん」

「おはよう花蓮、見て! また、黒騎士様の映像が流れているの!」


 姉はアイドルを見るかのようにはしゃぎながらテレビを見ていた。

 テレビでは海底神殿を発見したという冒険者として、桜島のワイバーンを掃討した黒い鎧を着た人の戦う映像が流れている。


(姉は帰ってきてからずっとこの調子だ……)


 姉に黒騎士様とやらの話を聞いたら、ワイバーンに囲まれた絶望的な状況から救ってくれた人のことだと言う。

 私は話を聞きながら、やつ(一也)が大暴れした様子を簡単に想像できた。


(でも、炎を出せるようになったとか聞いていなかった……)


 桜島から出てきた龍のブレスを相殺するほどの威力を持つ炎を一也くんは撃ち出すことができる。

 一也くんが強いと言っても、ワイバーンは単体でも倒すことが難しいモンスターなのに、武器も持たずに倒せるものなのかと思ってしまった。


 自分が強くなったと感じたことがあったが、相変わらず一也くんとの差を実感してしまう。


「ねえ! 花蓮、聞いているの?」

「聞いてるよ。黒騎士さんのことでしょ」

「そうそう! それでね……」


 姉が私に何かを説明していたようだったので、適当に相槌を打ちながら用意してあった朝ごはんを食べ始める。

 姉が救出された後にテレビのインタビューを受けた時に【黒騎士様】と言ってから、桜島を救った英雄の名称が黒騎士になっていた。

 テレビの内容が切り替わり、つまらなそうに姉が私と向かい合うようにテーブルへ座った。


 朝ごはんを食べている私を見ながら、姉が話しかけてくる。


「花蓮、最近真央が一緒に狩りへ行ってくれないんだけど何か知ってる?」

「……こっちに帰ってきた時に、真央さんへ黒騎士さんの話はした?」

「あたりまえでしょ! 私がナイフをこうして突きつけた時から、全部詳しく話してあげたわ」


 姉が誇らしげに、ナイフを自分へ突き付けるしぐさをしていた。

 私はご飯を食べながら、真央さんが姉と一緒に狩りへ行かない理由を察する。


(一也くんのことをうっかりと口を滑らせてしまいそうだからだ……)


 真央さんは姉へ非常に感謝をしており、ごまかし続けることが難しいのだろう。


(私もこの状態の姉へ絶対に一也くんのことをばらしたくない)


 私は真央さんへフォローの電話をしておこうと決めて、学校へ向かうことにする。


「ごちそうさま」


 食器を片づけて、学校へ向かうために鞄を部屋へ取りに行く。

 リビングを出る時に、姉が私へ手を振って言葉をかけてきた。


「気を付けていってらっしゃい」

「ありがとう、いってくるね」


 私は鞄と剣を持って家を出る。

 学校へ向かいながら、昔を振り返ってしまう。


(なんであそこまで姉に執着していたんだろうな)


 私は一也くんと会う前まで、姉と自分を比べ続けていた。

 その時の自分を思うと、なんて小さな世界で生きていたのだろうと哀れみを覚える。


(今はそんなことを考えている暇があれば、剣を振ってモンスターを倒した方がましだ)


 なぜか一也くんと思考が似てきている気がして、そんなことはないと頭を振って否定する。

 

(私があんな戦闘狂なわけがない!)


 一也くんははっきり言ってだいぶおかしいと思う。

 それを本人が自覚をしていないため、佐々木さんがすごく苦労しているのがわかる。

 昨日も、海底洞窟のことを説明している時に、心の中で佐々木さんのことを応援してしまった。


 伊豆高原フィールドで大量のモンスターが虐殺されたことは、モンスターの縄張り争いということに落ち着いたようだ。

 それを起こした犯人は、最近部活に打ち込んでくれているおかげで大きな騒ぎは今のところない。


 私は学校へ向かいながら、今日も平和な1日でありますようにと祈りながら歩いている。

 しかし、私の平和はやつがぶち壊したまま直る気配がない。


 中学校の校門へ近づくと、全身に防具を着けた人たちが並んでいる。

 その中の1人が私を見つけたのか、カシャカシャと大きな音を立てながら走って近づいてきた。


「谷屋花蓮さんですよね!? 勝負をお願いします!」

「……グラウンドでやりましょうか」


 すぐにその人は私の前で頭を下げて、私へ勝負を申し込んでくる。

 私はため息をつきながら、グラウンドへ向かいながら背中にある剣を抜く。


 私は防具を着た人と向かい合い、相手が来るのを待つ。


「鞄を置かなくてもいいのかい?」

「早く来てください」


 相手は剣を振り上げて私へ向けて思いっきり走ってきていた。

 動きが遅すぎて、まったく危機感を覚えない。


(一也くんも最初に私を相手にしたときにはこんな気持ちだったのだろうか?)


 私は相手の剣を避けて、右腕につけている防具へ思いっきり剣を叩き付けて骨を折る。

 痛みで相手がうずくまるため、勝負を続行するのか一応聞く。


「続けます?」


 相手は右腕を押さえたまま動かずに、降参と一言つぶやいた。

 勝負が終わると、次々と校門で待っていた人たちから勝負を申し込まれる。

 私はその人たちを処理しながら、骨を叩き折るに至った経緯を思い出す。


 何度も勝負を申し込んでくる銀色の鎧を着けた人がうっとうしくて、両足の骨を叩き割ったら次の日から勝負へこなくなった。

 今では、またこないように勝負をしかけてくる人の腕か足の骨を必ず折っている。


 すべての処理が終わり、学校の時計を見たら、もうすぐ学校が始まってしまう。

 学校へ遅れないように、倒れている人に救急車を手配するようにアドバイスをしてから教室へ向かった。


 私は今朝検査をしたスキルシートを見て、一也くんに少しでも早く追い付こうと決意をする。


スキルシート


体力回復力向上Lv10

攻撃速度向上Lv10


剣熟練度Lv10

バッシュLv10

ブレイクアタックLv2


メイス熟練度Lv10

身体能力向上Lv10

魔力回復力向上Lv3


ヒールLv5

移動速度向上Lv5


銃熟練度Lv2

ご覧いただきありがとうございました。

次回も谷屋花蓮視点で物語が進行します。


もしよければ、感想、ブクマ、評価、待ってますので、よろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
>>何度も勝負を申し込んでくる銀色の鎧を着けた人 あっwww
[一言] 花蓮さんは相手を骨折させて挑まれない。 瞬殺するのでヒールを使う機会が無い。 (相手にヒールを掛けるとまた挑んでくる可能性があるため、選択肢としては無し) なので主人公が想定した、 魔…
[一言] 1人の異端者に導かれて、また1人異端者が誕生しましたね。 チーレムが楽しみです笑
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