表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/59

かぜっぴの

「ぷ、ぷふー……」

「あ、あれ? どうしたの、ぴの」

 滅多にぷふーと鳴かないぴのが、ぷふー、と鳴いています。

 どうしたんだろう?

 キノモリさんが心配そうに、ぴのを見つめます。

「さむけがしましゅ……」

 キノモリさんがぴのを触ってみました。

 本当だ、なんか熱っぽいです。

「ど、どうしよう……? そ、そうだお医者さん! ぴの、お医者さん行くよ! ありゅと、お留守番頼むね!」

 キノモリさん、大混乱です。

 キノモリさんは急いでぴのをつれて診療所に駆け込み、お医者さんで問診表を書きます。

 えっと、かかるのはぴのだから、「きのもりぴの」でいいんだよね? 年は……何歳だ? えーっとえーっと。

 懸命に書いた問診表を、看護婦さんに手渡し、順番を待ちます。

「きのもりぴのちゃーん。どうぞー」

 順番が来ました。ぴのをつれて、診察室へ。

「えっと、キノモリ……ぴのちゃん?」

 お医者さんはキノモリさんを指差し、首を傾げました。

「ああ、違います」

 お医者さんが苦笑いをします。

「そうですよねぇ。で、どこにいます?」

「このコです」

 キノモリさんはぴのを前に出しました。

 ぴのは、ぴょこっ、と立って、丁寧にお辞儀をします。

「よろしくおねがいしましゅ」

「……キノモリさん、このコはねぇ、言葉喋れるけど、小児科じゃなくて、獣医!」

 あわわわわ、失礼しました。

 キノモリさんはぴのを抱きかかえて獣医さんに急ぎます。

 ……ついた。

「スミマセーン、お願いします!」

 また問診表を書き、名前が呼ばれるのを待ちます。

「キノモリぴのちゃーん。どうぞー」

 はああ、待たせちゃってゴメンね、ぴの。

「おや、こみろんらびっとじゃないですか。珍しいなー」

 獣医さんはぴのを見た瞬間、そう呟きました。

 こみろんらびっとを知ってるだなんて。

「知ってるんですか?」

 思わず、キノモリさんは問い返します。

「知らないのは、獣医としてはモグリだよ」

 そうなのですか、知りませんでした。

「ぴのちゃん、あーんして。……扁桃腺が腫れてますなぁ」

 やっぱり、風邪だったようです。

「シロップ薬三日分出しときますね。お大事に」

 家に帰ると、ありゅとがシロップに目を輝かせました。

「これはお薬。飲んじゃダメ」

 飲もうとするありゅとから、キノモリさんはシロップ薬を取り上げます。

「ぴのだけ、ずるいじぇ! どうしたらおくすりのんでいいんだじぇ?」

「風邪引いたら、ありゅともお薬必要だけどね」

 その日からありゅとは嫌いなお風呂に入っては扇風機の風に当たり、見事に風邪を引いて、シロップ薬をゲットしたのでした……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ