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ランの手紙

おまけ。

思いつくままに書いてみました。



レイへ

大好きで、大切なレイに手紙を書くことに、大事な紙を使ってしまうことを、アルセイが知ったら、怒るかしら?

きっと、何してんだって困った顔をするくらいなんだろうね。

初めて会った時から、アルセイはとても優しいから。

あの日、煌めいた光の舞を私は生涯忘れることはないよ。とてもキレイだった。眩しくて、でも目を離すことはできなくて。

色とりどりの花のような光が一面に広がったとき、レイの瞳がキラキラと同じように光っていたの。

その瞳がとてもキレイだったことをあなたは知らないのよね。


アルセイと一緒に暮らし始めて、いろいろなことを学んだね。

アルセイは野暮ったい見た目とは違って、優しくて、丁寧だから、こっそり驚いていたの。今までに私にそんな風にした大人なんていなかったから。

私はとっても幸運だったわ。

街でレイに会って、アルセイに会ったレイに助けられて、こうして、アルセイと薬草師をするようになるなんて。

レイに会わなかったら、あのまま、死んでいたわ。もしかすると、もっと早くに死んでいたかもしれないわね。

本当にありがとう、レイ。全部、レイのおかげだね。

だから、これで満足しなくちゃいけないね。

でも、私はとっても欲張りなんだ。

全然、足りないよ。

レイが足りないよ。


私とレイが一緒にいると、アルセイが困った顔をすることが多くなって、何となく、『ダメなのかな』って感じてた。

でも、私はレイと一緒にいたかった。

レイが真っ白の大きな兎になって、驚いたけど、嫌じゃなかった。

手を伸ばして、触れた白い毛並みが滑らかで、柔らかで、ずっと撫でていたいくらいだった。

アルセイは兎のレイを見て困っていたけど。


今も兎のレイを抱きしめるのが好き。

レイが嫌がるから、あまり頼まないようにしているけど、本当は毎日でもいいくらい。


レイと毎日一緒にいて、一緒に眠って、起きてってしていたいよ。

あの頃、当たり前に思っていたけど、当たり前じゃなかったね。

今じゃ、レイは里の長だもの。

人の私とは、一緒にはいられない。

里の長としての責任があることくらい、私にもわかる。

里の女の子たちの誰かとレイと結婚することくらいわかってる。

でも、つらいよ。

どうして、私は人なの?

どうして、私は獣人じゃないの?

どうして、人と獣人は結婚できないの?

『理』だから。

そんなの知らない。知りたくもない。


本当は、ダメだよってレイの手を振り払わなきゃいけなかったんだよね。

でも、できなかった。

アルセイの留守を狙って、こっそり小屋に来たときのレイの瞳が真っ直ぐで、私は動くことができなかった。

レイを拒むことなんてできるはずがない。

だって、私はレイが好きで、本当に嬉しかったんだから。


あれ以来、レイが時々こっそり小屋に来てることをアルセイはきっと気付いてる。

でも、何も言わないのは、私のつらい気持ちを少しわかるからだと思う。


アルセイも辛い恋をしたもの。

あんなに、態度に出てたのに、バレていないって思ってるアルセイとミランナさんは、少しおかしかった。

でも、身分が違うって、言ってなにもしなかった。ただ、愛おしそうに見つめていただけだった。それは、ミランナさんも同じ。

二人とも思いを伝えることがないまま、ミランナさんは王都に行ってしまった。

それから、アルセイは明らからに元気がなかった。

アルセイは『仕方ない』それだけ。


ねぇ、レイ。

仕方ないことなのかな?

仕方ないことなんてなくなれば、いいのにね。

どうして、好きな人と一緒にいられないのかな。

好きな人と一緒にいられるようになればいいのにね。


大好きなレイと、一緒に眠って、一緒に起きることができたらいいのに。


こんな手紙をレイに渡せば、困らせてしまうことはわかってる。

でも、思いが溢れてしまうから、こうして、書いてるの。

このまま、そっとしまっておくわ。

そのほうがいいのよね。


ラン


i

悲しすぎるランとレイの現状(;´Д`)

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