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対超能力探偵事務所  作者: クックロビン未遂
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壁抜けの男ー透過ー

さて、ここからは肝心かなめの超能力、容疑者が持つ透過の力について詳しく説明していこう。


透過は文字通り任意の物体を透過することのできる超能力だ。これはとても希少で、強力な能力ではあるが、使用にはかなり制限がある。

まず透過を使うにはかなり意識を集中させる必要があり、個人差はあるが、発動させるまでに少なくとも三分はかかる。もちろん発動させるまでは動いたりもできない。また透過できるのはあらかじめ自分で設定した一つの物体のみ(ただし使用者が一つの物体と認識すれば実際には違っていても可)で、その物体の大まかな厚さをあらかじめ把握しておく必要がある。


とっさに発動させることはできないため、スポーツや喧嘩などでは役に立たない能力ではあるが、(もっとも超能力者は基本的にプロスポーツ選手にはなれないといわれているが)使いどころ次第では非常に強力な能力になりうる。


最も恐ろしいのは壁を透過できるということだ。透過能力者はどれほど頑丈なカギがかかっていようと関係なく、それどころか出入り口ですらない壁を通り抜け、あらゆる建物、あらゆる部屋に侵入できてしまう。

彼らの能力が俗に壁抜けと称される所以である。


実際にある国で、透過能力者が金庫に忍び込み、大量の現金を奪うという事件が相次いで起こった。犯人は逮捕されたが、何しろ透過能力者。何度も脱走を繰り返し、最後には射殺されるという事態に陥った。その事件のせいで、一時期は透過能力者は問答無用で射殺すべきという世論が形成されそうになったほどだった。

その後そういった能力者への対策として都市のあらゆるところに監視カメラが設置され、また多くの家が自宅に監視カメラを設置するようになり、そういった防犯の強化によって透過能力者への恐怖はだんだんと収まってはいったが、いまだに多くの人に恐れられている能力の一つである。


といっても、透過能力者による事件は世界中でもう十年以上起きていない。もともと絶対数がかなり少ないというのもあるし、防犯体制が整ってきているというのもあるが、何より深刻なのが、捕まった時の刑の重さだろう。超能力者が自分の能力を悪用して犯罪を起こした場合、その刑は通常の犯罪に比べ、はるかに重くなる。特に強力な能力を持つものほどその刑は重くなり、透過能力者にいたっては能力を使って盗難を何度も繰り返した場合、国によっては死刑になるところもある。データベースに登録されているため、ただでさえ空き巣などの盗難事件が発生するたびに疑いの目を向けられるのに、はっきり言って割に合わないということだ。


そのため、今回透過能力者が容疑者に上がった時には警察も驚いたそうだ。しかし、珍しいというだけでありえないわけではないし、今回の状況を考えれば決まりだろうと、さっそく検証を始めたところで、彼らは大いに動揺することになった。


密室だったのだ。

事件当時被害者の殺された部屋は、完全な密室になってしまっていたのだ。

そう、透過能力者の力をもってしても入れない、「完全な密室」に。

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