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プロローグ
振り向いた時、目が合った。
暖かい表情で微笑んでいる。
この娘だったんだ、そう思った。
ただの知り合い、妹のような存在に過ぎなかったはずだ。
でも、違っていた。
あいつに気兼ねしていたのかもしれない。
暫く肩を並べて歩いた。
みんなに唆されて腕を組んだ。
笑顔に引き込まれそうになった。
2人きりになった時、思わず抱きしめていた。
嫌がってないだろうか?、そう思いながら顔を覗き込む。
少し高揚した頬、真っ直ぐな瞳に抑えていた気持ちが溢れた。
酔った勢いなんかじゃない、心から愛おしいと思った。
柔らかい髪に触れる。
本気で好きだったのは、好きなのはこの娘だったんだ……
そう思いながら唇を重ねた。