赤ずきんと狼男
赤いずきんを被った少女は一人でお花畑にいた。
「お嬢ちゃん。何してるのかな?」
少女の後ろから男の声がする。
「お花を摘んでるの」
そう応えながら少女はお花を摘む。
「そうかい。・・・でもここは危ないから止めたほうがいいよ?」
男はそう言った。
「どうして?」
少女は言う。
「ここにはね。怖いこわ~い狼がいるんだよ。それにただの狼じゃないよ。狼男だよ」
男はそう応えながら少女に近づく。
「・・・ふ~ん。そうなんだ」
少女は花を摘み続ける。
「ねえ。おじさん」
近づく男に少女は尋ねる。
男の足取りが止まる。
「どうしたんだい?お嬢ちゃん」
「おじさんはどの花が好き?」
少女は振り返り手にたくさんの花束を抱えながら聞く。
「・・・・・・おじさんはこの白い花かな?」
男は応えた。
「そうなんだ。私はね。この赤い花が好き」
少女はそう言ったが、男の目からは赤い花なんてどこにもなかった。
「赤い花なんてないよ?」
男がそう言うと
「あるよ。・・・・・・今から赤くなるんだよ」
少女はそう言うと、花束の中から黒い銃口が出てきた。
「!?」
「狼男のおじさんの血でね♪」
少女は銃の引き金を引いた。
――――パーン!!――――
お花畑に乾いた音が鳴り響き、花は散って空を舞った。
「ほら。赤い花が咲いた♪」
少女は倒れた狼男にそう告げた。
「やばい!寝坊した!!」
今僕は森を走っている。
なぜ走っているかというと
「せっかくのデートなのに寝坊するなんて!僕の馬鹿!」
これが理由です。
僕の名前はリチャード。
木こりと狩人をやっている青年です。
つい最近僕には彼女が出来ました。
その彼女の名前はリコ。
いつも赤いずきんを被って、笑顔がとてもステキで金髪の髪と青い目をしている可愛らしい女性です。
彼女と知り合ったのは山道で足を挫いて動けなくなった彼女を偶然僕が見つけて手当てをした時に、お互いの顔見て、お互いが一目惚れしたからです。
それからは何度かデートをしてお互いの愛を育んでいます。
「ハァ・・・ハァ・・・」
僕は全速力で待ち合わせの場所、お花畑に向かった。
「ハァ・・・ハァ・・・み・・・見えた!」
ようやくお花畑が見えた。
リコの後姿が見えた。
「リコーーーー!!」
僕は彼女の名前を叫びながら彼女の肩に触った。
すると
「!?」
リコは僕の腕を持つと肘で僕の腕を固めて投げ飛ばた。
僕はお花畑に背中から叩きつけられ
――――ジャキ!――――
銃口を突きつけられました。
「・・・・・・!リチャード!!」
リコは僕に銃口を突きつけて数秒後に僕だと気づいてくれた。
「ごめん。遅くなっちゃた」
「私こそごめんなさい。いきなり銃口を突きつけて」
彼女は顔を赤くして恥ずかしがった。
可愛らしいなぁ。
僕はリコの恥ずかしがる顔を見てそう思った。
「もう。私の背後に立たないようにって毎回言ってるのに・・・」
「ごめん。・・・それよりも早くその銃口収めてくれないかな?」
「!!。ごめんなさい!!」
リコは急いで銃を籠の中に収めた。
なぜ彼女が銃を持っているのかというと
彼女は山育ちで色々と危険もあり、お婆ちゃんとお母さんから山で育つのに必要な力を身に付けられたそうなんだ。
確かに、山には色々と危ない事があるからね。特に女性はそういうのを身に付けとかないと大変。
「それより今日はどこに行こうか?」
僕は立ち上がるとリコに行きたい場所を聞いた。
「向こうに川があるからあそこで釣りをしながらのんびりしたいな」
彼女のお願いを聞くのが彼氏の役目。
「OK。なら今日は川で釣りをしよう」
僕はそう言ってリコと手を繋ぎながら川へと向かった。
川へ着くと僕は適当な木を選びそれで釣竿を作った。
リコはというと
籠の中から何かを探している。
「リコ。何を探しているの?」
僕は気になって聞いてみた。
「う~んと・・・たしかこのあたりに・・・あ、あった」
リコはそう言うと籠の中から鋭い銛をだした。
「これでお魚さんが捕れる♪」
嬉しそうに言うリコ。
やっぱり可愛いなぁ~。
僕はそう思った。
しばらく二人で釣り?をしていると、茂みの向こうから
「お!こんなところにいたのか探したぞ!!」
元気な青年が出てきた。
「ジャックじゃないか!」
僕はそう言った。
彼の名前はジャック。
僕とは昔ながらの大親友であり、リコと付き合ってからは三人で遊ぶ事もよくある。
僕たち三人は仲良しなんだ。
「二人は何してるんだ?」
ジャックは近づいてきた。
――――ビュン!!――――
すると僕の後ろから銛が飛んできた。
――――ブス!――――
その銛はジャックの頭に刺さった。
「ジャーーーーーーック!!!」
僕は叫んだ。
「いてて」
頭に銛が刺さったジャックはリコに包帯を巻いてもらっている。
「無事でよかったよジャック」
「ほんとにな!俺じゃなかったら完全に死んでるぞ!!てか俺死んでもおかしくない!!」
「ほんと元気そうでよかったです」
リコも包帯を巻きながら安堵する。
「リコせいだろ!どうやったら投げる方向間違えるんだよ!!」
「方向音痴ですから」
「そういう問題じゃないよ!?」
「まあまあ、無事だったんだから良かったじゃないか」
「よくねえよ!」
いつも通りの会話をする僕達三人。
「それでジャック?今日はどうしたんだい?」
僕は頭に包帯を巻いたジャックに聞いた。
「お!そうだった!実は今から集会があるんだ」
ジャックはそう言った。
僕とジャックは同じ狩人のメンバーに所属している。
狩人は時折集会を開いて互いの情報を交換したりする大事な場である。
「そうだったんだ」
僕はそう言うとリコに顔を向け
「ごめんリコ。集会に行かないといけないから今日のデートは出来そうにない」
リコに謝る。
リコは
「いいのよ。大事な集会ですもん仕方ないわよ」
と、笑顔で了承してくれた。
やっぱり笑顔も素敵だな。
僕はリコの笑顔に惚気ていると
「さっさと行くぞ!遅れたら皆に迷惑がかかっちまう!」
ジャックに首根っこを掴まれて集会場に連れて行かれた。
「えーでは代32回狩人集会を始めます」
集会場に着くと狩人のリーダーが始まりの挨拶を始めた。
リーダーは老人であるが屈強な強面の顔で額には刃物で切られた傷がある。
リーダーがいるだけで場の空気は一変とする。
「それではまずはこの議題から・・・赤ずきんについてだ」
リーダーはそう言うと一枚の紙を張り出した。
「最近我らの同胞が殺されるのが多発している。その犯人の正体が判明した」
その紙に描かれた絵の女性に僕は驚いた。
「なあ。リチャードこれって・・・」
どうやらジャックも気づいたようだ。
「この犯人が我らの同胞を殺害している。・・・先日も同胞のニックがこの女に殺された・・・」
「ニックが!・・・チクショー!!」
ニックの友人らしき人が叫んだ。
「この女殺してやる!リーダー!他に特徴はないのか!?」
「そうだな・・・。特徴は・・・」
リーダーは冷静にこう言った。
「赤いずきんを被っている」
「・・・そのまんまじゃねぇか・・・」
「そうだ。そして私は彼女の事をhood of blood (赤ずきん)と呼んでいる」
「見つけたら殺していいんだな?」
「・・・いや、ダメだ」
リーダーがそう言うと周りの狩人はどよめきだした。
「どうしてだリーダー!あいつは仲間を殺してるんだぞ!!」
「確かに、奴(hood of blood )は我々の仲間を殺している。許せない行為だ。だが、理由もなく殺すはずがないと私は思っている。だから生け捕りにして聞きだしてからでも遅くはなかろう」
リーダーの発言は一理あると周りの狩人も納得した。
「他に意義がある奴はいるか?・・・いないのであれば次の議題に移る。・・・次の議題は最近山への不法と気の問題についてだが・・・」
「なあリチャード」
集会の帰り道、僕とジャックは一緒に帰っていた。
「何だいジャック」
「・・・お前どうするんだよ?」
「・・・・・・」
ジャックの言いたい事はわかっている。
赤ずきん・・・リコの事だ。
「リコが赤ずきんと知った今、俺たちは会わないほうがいい・・・」
「でも、リコは僕の彼女だ・・・会わないわけには行かない。・・・それに愛してるんだ」
「馬鹿野郎!それでお前が殺されたらどうするんだよ!?俺たちは狼男なんだぞ!」
そうだ。僕たちは表向きでは狩人と名乗っているが、本当の正体は狼男なんだ。
でも、狼男って言うけれど、人を殺したりはしない、山に悪さをする輩を懲らしめたり、迷子の人間を助けたりしている。
「大丈夫だよジャック。リコにはばれていない。ばれなければ問題ないよ・・・たぶん・・・」
僕は懸命にそう言った。
でも、もし僕が狼男ってばれたらリコはどうするのだろう。
僕を殺すのかな・・・。
「隠し事なんていつかはばれるんだ。遅かれ早かれお前は彼女に会い続ければいつかは死ぬぞ!それでいいのか!?」
ジャックは僕の前に立ちはだかり僕を説得しようとしていた。
ジャックの言う事はもっともだ。
いつかは殺される。
僕もそれは思った。
でも
「・・・愛する人に殺されるんだ。僕はそれでもいいと思っている」
「本気・・・なのか。リチャード・・・」
「ああ」
しばらくお互いを見つめ合った。
「・・・わかった。お前がそこまで言うんだったら本気なんだな。俺はもう止めねぇよ」
「ありがとうジャック」
僕はジャックと握手をした。
その時、ジャックの後ろから
「リチャードー!」
リコ声が聞こえた。
リコは走ってきておりそのまま
ジャックの後頭部を蹴り
地面に叩きつけた。
「ジャーーーーク!!!」
「リコ一体どうしたんだい?」
「遠くでリチャードの姿が見えたから走ってきちゃった」
嬉しそうに言う。
「それよりリチャード。集会は終わったの?」
「ああ。今さっき終わったよ」
「なら今から湖に行かない?」
「うん。行こうか」
僕はリコと手を繋いで湖に行った。
ジャックは地面に顔を埋めたままだけど・・・きっと大丈夫だろう。
暫くすると湖に着いた。
「綺麗なところだね」
湖は透き通った青で空の景色を綺麗に映し出していた。
「私のお気に入りの所なんだよ。リチャードには特別に教えたかったんだ」
「嬉しいよ。ありがとうリコ」
僕は素直な気持ちで伝えてくれるリコが大好きだ。
「・・・・・・」
だから僕は言おうと思う。
リコに自分が狼男である事を
きっとリコは傷つくんだろうな・・・いや、間違いなく傷つく。
でも言わないといけない。
「・・・リコ。・・・大事な話があるんだ・・・」
「なあにリチャード?」
「実は僕は―――」
「誰かー助けてー!!」
「!?」
遠くで助けを呼ぶ声がした。
「?。どうしたのリチャード?」
リコには聞こえていない。
当然だろう。狼男は良く聞こえる耳を持っているから。
「ごめんリコ!」
僕はそう言うと助けを呼んでいるところへ向かった。
「リチャード!」
僕はリコの声を無視して向かった。
「こっちから臭いがする」
僕は鼻で助けを求めている人の臭いを追った。
すでに僕は人間の姿ではない。
狼の姿していた。
「もう少しだ!」
僕は木々をかぎ分けてその場所にたどり着いた。
助けを求めていた少年だった。
少年は川で溺れていた。
「今助けるぞ!」
僕は川に飛び込んだ。
少年の所に着くと大きな口で少年の服を掴み陸に連れて行った。
「あ、ありがとう」
「大丈夫かい?怪我はないかい?」
「う、うん」
少年は僕の姿に少し驚いていた。
無理もない。毛深くて大きな手と爪、大きな口には鋭い牙も持ってるんだ。
「もう川に落ちるんじゃないぞ」
僕はそう言うと少年の元を離れようとした時
「・・・・・・リ・・・・・・コ・・・・」
「・・・リチャード・・・あなた・・・狼男だったの・・・」
最悪な状況だ。
まさかリコが僕の後ろを着いてきたなんて。
しかも今この状況を見たリコなら、いや、誰が見ても
今この子を襲っている状況にしか見えない。
「リコ!違うんだ!!まずは話を聞いてくれ!」
僕はリコに呼びかけた。
リコは無言のまま
ナイフを取り出した。
そして
そのまま僕に向かってきた。
「ック!」
リコは僕の胸めがけてナイフを向けたが間一髪の所で避けた。
しかし、その避けた先を予測してリコは回し蹴りを入れた。
「ガハッ!!」
僕は吹っ飛んだ。
リコは倒れた僕の上に馬乗りで乗り首にナイフを向けた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
暫く僕とリコは見つめ合った。
「・・・・・・どうしてあなた(リチャード)が狼男なの・・・・」
リコが喋った。
「・・・・・・どうして君が赤ずきんなの・・・・」
僕も喋った。
「・・・知ってたの?」
「ああ。今日の集会場でね。リコとそっくりの写真で赤ずきんって書いてあった。・・・リコは赤ずきんなのかい?」
「・・・・・・」
「答えてリコ」
「・・・・・・・そうよ。私は赤ずきん。狼男の敵よ」
「・・・・僕も殺すのかい?」
僕の首にナイフを向けながらリコは
「・・・・・・ええ」
涙を流しながらナイフを頭上まで上げて
そして
振り下ろした。
「待って!お姉ちゃん!!」
首に刺さる寸前助けた少年の声でナイフの動きがピタリと止まった。
「この狼男さんは僕を助けてくれたんだよ!」
「・・・え?」
「僕が足を滑らせて川に落ちたて溺れ死んじゃう所を助けてくれたんだよ」
リコが僕に顔を向ける。
「あの子が言ってる事は本当なの?」
「・・・僕が人を殺すような人間に見えるかい?」
「ううん。見えない」
リコはナイフを僕の首から外した。
「リコはどうして狼男を殺すんだい?」
リコが僕たちに対して敵対する理由を聞いた。
「お婆ちゃんが小さい頃から言ってから」
「お婆ちゃん?」
「うん。私のお婆ちゃん。私に技を教えてくれた師匠」
「(なるほど。現況はリコのお婆ちゃん)」
「リコ・・・僕の事好きかい?」
「え?」
不意に言われた言葉にリコは動揺した。
「まだ僕の事愛してくれてるかな?」
「・・・・・・うん」
「ありがとう。なら今から着いて来てほしい所があるんだ。来てくれるかな?」
リコは無言で頷いてくれた。
僕は少年にお礼を言ってリコと一緒に集会場いるリーダーの所へ向かった。
「リーダー。お話があります」
集会場に着くとリーダーは椅子に座りコーヒーを飲んでいた。
「どうしたリチャード」
リーダーはコーヒーをテーブルに置くと僕達を見た。
「・・・hood of blood も一緒か」
「リーダー彼女の話を聞いてもらえませんか?」
「いいだろう」
それから僕達三人はリコがなぜ狼男を殺すのかを細かく聞いた。
「・・・なるほどな」
リーダーは話を聞いて納得した。
簡単に言うと、リコは騙されていた。
昔から山の中で育った彼女は村や町からの情報は滅多に入らない。
リコはお婆ちゃん子でお婆ちゃんの言う事を素直に聞いていたらしい。
お婆ちゃんが言うには狼男は人を食べる悪い奴だから殺さないといけない。
それでリコはお婆ちゃんから技を小さい頃から教わったらしい。
どうりで強いはずだよ。
「リーダー。リコはどうなるんですか?」
すべてを話終えたリコの手を僕は繋いで言った。
「彼女には悪意がない。悪意がないものを裁いても意味がない」
「では、許してくれるんですか!?」
「・・・これ以上私達を殺さないのであれば」
僕はリコの方を向いた。
「殺しません。狼男の事は先ほど話してくれたので」
僕とリーダーはリコに狼男の皆がどんな事をしてるか説明をしていた。
「そうか。なら後は・・・」
リーダーは椅子から立ち上がると
「あんたのお婆ちゃんの所に行かないとな」
僕達三人はリコお婆ちゃんが住む家に着いた。
扉を開けると
――――ヒュン!――――
ボウガンの矢がお出迎えしてくれた。
僕とリーダーはそれを回避した。
「・・・・・・久しぶりだねぇ。・・・トニー」
奥で仁王立ちしているお婆ちゃんが言った。
「久しぶりだな、・・・マーガレット」
リーダーはそう言った。
僕とリコは
「「知り合いだったの!?」なんですか!?」
と言った。
「ああ。若い頃に・・・な」
リーダーはそう言った。
「何しにきたんだい」
リコのお婆ちゃんはそう言うと奥から出てきた。
その姿を見たとき僕は驚いた。
「(どこからどう見てもお婆ちゃんにに見えないんですけど)」
見た感じは三十後半くらいで、肌に張りがあり艶もある。
長い白髪も同様だった。
顔は切れ目の目できつい感じはあるが逆にそれが魅力を引き出して妖艶さがあった。
・・・スタイルもリコよりよかった。
「だいぶ老けたねぇトニー」
「お前さんもな」
あれで老けたって・・・若い頃はどんなんだったんだろう。
「それで?何しにきたんだい?」
ボウガンを片手で担いで言うお婆ちゃん。
「お前さんに話が合ってきた」
リーダーがそう言った。
「話だって?ハン何をいまさら!私を騙しておいて!」
「え?騙したって?」
僕はお婆ちゃんに聞いた。
「この男は私と恋人だったんだよ。結婚をする約束もしていた!なのにこの男は私を騙してたんだ。別の女がいる事を!!」
「リーダー本当なんですか!?」
「・・・・・・本当だ」
リーダーはそう言った。
「だから私は決めたんだよ!狼男は醜い生き物!一人残らず殺してやるとね!」
そう言ってボウガンをリーダーに向け
放った。
――――ドス!――――
矢はリーダーの腕に刺さった。
「・・・・・・」
「リーダー!!」
僕はリーダーに歩み寄ろうとしたがリーダーは僕に手を向けて
「いいんだ」
と言い、僕を静止させた。
「どうした?殺さないのか?」
リーダーはお婆ちゃんに言った。
「俺は確かにお前を裏切った。その罪は消せない。俺も馬鹿な事をしたと思っているよ・・・あの時お前に受けた傷の痛み忘れた事はない。そして今受けた痛みを忘れねぇ」
「・・・・・・」
「マーガレット・・・お前の痛みは俺よりが受けた痛みより苦しくて辛い事もわかる。だからお前が俺に対する行為は素直に受ける。殺すなら殺せ。俺は逃げねぇ」
「・・・・・・・・・」
「最後だから言っておくぞ。・・・マーガレット・・・俺はあの時から今までも・・・ずっとお前だけを愛してる」
「・・・・・・・・・・・・」
二人の間に沈黙が広がった。
「・・・・・・ならどうして裏切ったんだい?」
お婆ちゃんはその沈黙を破り言った。
「・・・・・・裏切っちゃいねぇよ」
リーダーは言った。
「あの時俺はあの女に言ったんだ」
「俺には自分の命より大事な人が出来た。だから君とはもう会えないっとな」
「・・・それって」
「マーガレット・・・お前の事だ・・・」
お婆ちゃんはボウガンを地面落とした。
「・・・もう一度やり直せないか?」
そう言うとお婆ちゃんはリーダーに飛びついた。
「もちろんだよ!!」
二人は抱き合った。
「「・・・・・・」」
それを蚊帳の外で見ていた僕とリコは
「問題は解決したのか・・・な?」
リコに聞いた。
リコは
「・・・多分?」
そう言って首をかしげた。
「でもこれで僕を、狼男を殺さなくてすむね!」
「ええ!これでリチャードと一緒になれる!」
「これからはずっと一緒だよリコ♪」
「これからもずっと一緒よリチャード♪」
僕とリコは口付けを交わした。
すると
「お~い!!」
遠くから聞きなれた声がした。
「ジャック!!無事だったんだ!」
僕はジャックの方を向いた。
ジャックは僕達の方へと向かって来ていた。
――――ガッチャン!――――
ん?今何か変な音が
僕は後ろを振り返ると
「狼男は」
――――カチ――――
「殺さないとね」
――――パアン!――――
「ジャーーーーーーーーックッ!!」
めでたしめでたし。