第一話 「はじまり」
「じいちゃん、折り紙おるの上手なんだね。」
男の子が顔をおじいさんに近付けて優しく言いました。
「ん?そうか?わしゃあ飛行機しか折れないんじゃよ。だから今、こうやって折っている飛行機が上手く出来ているから、そう見えるのかな。」
「どうして、ほかの折れないの?」
おじいさんは少しだけ笑い、
「ただ、飛行機が好きなだけじゃよ、人は空を飛べないから、その憧れから来ているのかも知れん。」
出来あがった紙飛行機を両手で持って、目を大きく見開いて眺めながら言いました。
「僕にも教えてよ。」
「うん、良いじゃろう、わしが考えた紙飛行機の折り方を特別に教えてあげよう。」
「うん!」
男の子は素早く頷き、目が大きく輝いていました。
その様子を陰ながら見つめていたのは、男の子の母親でした。優しい笑みを浮かべながら見つめていました。
「ほら!できた!」
目を輝かせて、出来た紙飛行機を両手で持って上に上げて言いました。
「ん?ははははは、これじゃぁ、まだ上手く飛べんぞ。ここの所をなぁ・・・。」
そう言いながら、男の子が折った紙飛行機を少し直して上げていました。
「ここはな、こうやって、こう折って・・・。」
2人は顔を下に向けて集中していました。
頑張って、いろんな折り方を覚えて行きました。
月日は流れ、10年が過ぎようとしていました。
短いですが、読みやすくする為に分けて投稿してみる事にしました。