表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤字領地を押し付けられた無能文官、数字と仕組みだけで静かに成り上がる  作者: 蒼野湊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/51

第50話 言えない理由

 会議室は、

 いつもより静かだった。


 資料は揃っている。

 数字も、

 まだ崩れていない。


「……では、

 これらの影響について」


 評議官が、

 穏やかに促す。


「改革との関連性を

 どう説明されますか?」


 模倣者は、

 すぐに答えなかった。


 考えている。

 逃げているわけではない。


 それが、

 余計に分かってしまう。


「……完全に、

 切り離すことは

 難しいです」


 初めて、

 曖昧な答えが出る。


「因果関係は?」


「現時点では、

 断定できません」


 誰も、

 責めない。


 だが――

 誰も、

 安心できない。


 午後。


 追加資料が、

 求められる。


「説明可能な範囲で、

 整理を」


「次回までに、

 補足を」


 模倣者は、

 頷く。


 誠実だ。


 だからこそ、

 苦しい。


 夜。


 彼は、

 一人で資料を見直していた。


 削減率。

 達成数。


 だが、

 第三者の数字が

 頭から離れない。


 融資遅延。

 保険利用。

 医療相談。


「……説明が、

 つかない」


 呟きは、

 誰にも聞かれない。


 俺は、

 少し離れた席で、

 黙っていた。


 今、

 言うことはない。


 言えば、

 彼の失敗になる。


 だが、

 説明できない状態で

 続けることも、

 また失敗だ。


 翌日。


 模倣者は、

 こう報告した。


「現時点では、

 改革を継続しつつ

 影響を観察する

 という判断になります」


 継続。


 だが、

 理由は言えない。


 誰も、

 反対しなかった。


 だが――

 誰も、

 賛成もしなかった。


 空気が、

 決まる。


 止めないが、

 信じもしない。


 成り上がりは、

 相手を詰めることじゃない。


 相手が、

 自分で立ち止まる

 場所を残すことだ。


 そして今。


 王都の改革は、

 まだ続いている。


 だが――

 誰も、

 その理由を

 言葉にできなくなっていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ