第47話 語られる成果
数字は、
相変わらず並んでいた。
削減率。
達成数。
進捗曲線。
だが、
それを指でなぞる者は、
減っていた。
「今回の改革は――」
模倣者の声が、
会議室に響く。
「数字以上に、
現場の意識が変わったと
感じています」
言葉は、
力を持っていた。
明るい。
前向き。
不安を包み込む。
「多少の停滞は、
過渡期には
避けられません」
「それでも、
全体としては
確実に前進しています」
誰も、
反論しなかった。
数字が、
完全に否定していないからだ。
午後。
別の説明会。
資料は、
以前より薄い。
代わりに、
言葉が多い。
「重要なのは、
“今、何を信じるか”です」
その一言で、
空気が決まる。
信じる。
それは、
数字ではなく、
人を選ぶ言葉だ。
夕方。
若い事務官が、
小さく呟く。
「……雰囲気が、
ありますね」
「あるな」
俺は、
それ以上言わなかった。
雰囲気は、
数字より速く、
広がる。
夜。
模倣者の報告文を読む。
本改革は、
定量評価とともに
定性評価を重視する段階に
入った
その一文に、
目が止まる。
定性評価。
それは、
必要な場面もある。
だが、
定量が語れなくなった時の
代替として使われると、
危険だ。
言葉は、
説明の不足を
覆い隠す。
説明が不要になった時、
質問も不要になる。
成り上がりは、
声が大きいことじゃない。
質問が、
許され続ける状態を
保てるかどうかだ。
そして今。
王都の改革は、
数字で動いているようで――
言葉で、
押し切られ始めていた。
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