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赤字領地を押し付けられた無能文官、数字と仕組みだけで静かに成り上がる  作者: 蒼野湊


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44/52

第44話 重なっていく無理

 最初の違和感は、

 些細なものだった。


「……再申請が、

 増えています」


 事務官が、

 控えめに報告する。


「断念した事業が、

 形式だけ変えて

 出し直されています」


「条件は?」


「より厳しく、です」


 数字上は、

 改善に見える。


 効率化。

 選別。

 無駄の削減。


 だが――

 息が詰まり始めている。


 午後。


 模倣者の説明会が、

 非公式に開かれた。


「成果は出ています」


 彼の言葉は、

 よどみがない。


「多少の脱落は、

 改革にはつきものです」


 誰も、

 否定しなかった。


 数字が、

 味方だからだ。


「今は、

 踏ん張りどころです」


「短期的な不満に

 振り回されてはいけない」


 言葉が、

 前に出始めている。


 数字の話は、

 減っていた。


 夕方。


 地方からの報告。


再申請条件を満たすため

事業計画を簡略化

実施規模を縮小


 縮小。

 それ自体は、

 悪くない。


 だが、

 同じ報告が続く。


 全部が、

 同じ方向に縮む。


「……効率は、

 上がってますね」


 若い事務官が、

 慎重に言う。


「ええ」


 俺は、頷く。


「ただし――

 余力も、

 削れています」


 余力がなくなれば、

 次の一手が打てない。


 改革は、

 続けられなくなる。


 夜。


 模倣者の最新報告。


 グラフは、

 さらに美しい。


 だが、

 注記が増えていた。


※一部地域を除く

※条件未達成案件を除外

※次期評価対象外


 除外。

 除外。

 除外。


 数字は、

 正しい。


 だが、

 見る範囲が、

 狭くなっている。


 成り上がりは、

 速さを誇ることじゃない。


 遅くなれなくなった時、

 何が起きるかを

 知っていることだ。


 そして今。


 王都の改革は、

 確かに前に進んでいる。


 だが――

 止まる余地を、

 一つずつ、

 失い始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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