オタク、とりあえず機械を作ってみる
「魔力量が多いと何か問題があるのですか?」
「いや、問題とはいえないがこれは·········。」
「どうしたものかしら·········?」
どうやら俺の魔力量はそんなにやばいらしい。あ、でも
「もしかしたら魔法がとても魔力を使うのではないですか?」
「そうかもしれないな!よし!レイ、魔法を使ってみてくれ!」
「はい!機械魔法!」
さてさて何が出るかな!?と思えば出てきたのはパソコンのウィンドウのようなものだった。
「な、なんだこれは?」
「見たことないきれいな絵ばかり!」
家族にも見えているようだが俺はそれに映るものに既視感があった。
(じょ、蒸気機関だ。)
蒸気機関、それは産業革命の時に生まれた技術。今映っているのは蒸気機関車や蒸気機関船などの超大型だ。
(あ、スクロールできる。)
「な、なんだ?絵が動いたぞ!?」
「いっぱいあるわね!」
たくさんある。機械魔法と言うのだ。もちろ武器、つまり銃もある。だがそれらの上にはレベル不足の文字。そういうことか。
「・・・・・お父様、どうやら機械魔法は生産系の魔法のようです。これらは作ることが可能のようですがサイズが大きすぎてここでは作れないようです。」
「むぅ。そうか。どれほどの大きさかわかるか?」
「そうですね。この蒸気機関車だと屋敷の庭ほどでしょうか。」
「そ、そんなにか。なるべく早く見てみたいのだが。」
「でしたら明日、草原でやってみるのはいかがでしょう?あそこなら十分かと。」
「そうだな!では明日は草原に行くとしよう。」
翌日。俺たちは領都の北西にある草原に来ていた。蒸気機関車が六両編成とかどれだけだよ。
「では始めます。」
「ああ、頼む。」
そして俺は再び機械魔法を発動する。お、念じるだけで創れるのか。あ、レールも自動で作ってくれるのね。
「蒸気機関車を創造!」
すると目の前に特大の光が現れる。
「くっ!」
家族も目を塞いだ。十数秒ほどだろうか。光は収まり、それは現れる。
「すげぇ。」
思わず声が漏れる。改めて見るととんでもないでかさだ。
「な、なんだこの巨大なものは!?」
お父様たちも驚いている。
「どうやら荷物を載せて高速で運搬ができる馬車のようなもののようです。」
「こ、これだけの荷物をか!?速度の問題もあるが、これほどの物資を輸送できるなどとんでもないぞ!?」
「ご安心ください。速度に関しても鉄を満杯に入れても馬車の全速力以上の速さで運搬できるようです。」
「なんてことだ!?輸送だけでなく戦争の常識も変わるぞ!?」
そう。これの恐ろしい所はそこだ。産業の進化は即ち戦いの進化だ。機械が発展するごとに戦争の常識が変わる。その可能性をこの魔法は孕んでいる。
「これはおいそれと外に出せないな。」
「あ、でも動かすには大量の石炭が必要になるのでそれを考慮すると実用化は難しいかと・・・・・。」
「いや、それでもこの積載量と速度は脅威だ。鍛冶屋などの一部生産を生業とする者たちには迷惑をかけるがそれでも生み出される利益の方が遥かに上だ。」
父親ではなく領主としての顔つきになるお父様。
「お父様、僕はこの魔法を戦争のために使うことはしたくありません。僕の魔法で多くの人が死ぬのは僕も、そしてこの魔法を授けてくださった神様も望まないことでしょう。なので、僕はこの魔法を領地の発展のために使いたいと思います。」
「レイ・・・・。」
なんだか家族がうるうるしている。
「わかった。私も全力でお前のやりたいことをサポートしよう。みんなもそれでいいか?」
「当然です。私たちのかわいい息子なのですから。」
「当たり前だ!」
「いざとなったら私がレイを守るわ!」
どうやら俺の異世界での人生はこれからのようだ。