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遊牧民の朝 -モンゴル人によるショートショート-


遊牧民の朝は日の出よりも早い。


こういうと日本人が想像する朝は午前4時とかになるのだろうか。でもモンゴルは違う。

夏の日の出の時間は朝6時すぎで、日の入りは午後8時以降。モンゴルの夏の1日は長いのだ。


そんな夏のある日の朝の日常。


ゲルの天窓からまだ星空が見える時間に目が覚める。


子供たちはまだ寝ている中、物音を立てずにベッドから出た僕はデール(※モンゴルの民族衣装)を着ると、小さな蝋燭をつける。外では馬群の嘶き声が聞こえ、羊たちもゾロゾロ動いている。


他のみんなを起こさないように、夏休みで戻ってきている長男をそっと起こして、バケツを持たせる。外に出ると乾いた冷たい風が頬を吹き抜けた。


「こっちはやっぱり夜寒いな」


長男のバトムンフは文句を言いながら目を擦る。


冬ほどではないけど、夏の夜も寒い。標高1600メートル。雨が少ない乾燥地域。夜は10度台まで下がってしまうので、毛布なしで寝たら風邪を引いてしまうのがモンゴルの草原だ。


満天の星を見ながら、馬群に近づく。寝そべっていた仔馬たちが驚いて立ち上がり、こちらを警戒する。家畜はペットではない。毎日一緒にいても警戒してくる。仔馬から一匹を選んで、地面に結ばれている紐を解き、母馬の元へ引っ張っていく。朝ごはんの時間だ!


仔馬が来たことで、母馬も起き上がった。右手に手綱を持ってゆっくりと母馬に近づく。


お腹を空かせた仔馬が母馬の乳に吸い付く。


「ゴクゴクゴクゴク」


音を立てながら馬乳をたくさん飲んでいる姿を見ながら、僕らは頃合いを図る。ずっとは飲ませない。


頃合いを見て、仔馬を引き離しバトムンフに手綱を渡し、バケツを受け取る。


「母馬から離さないでね」


「わかっているよ。もう1週間こっちにいるんだよ?」


ぶつぶつ言うバトムンフを無視して、バケツを足に挟み、馬乳を絞る。母馬には仔馬がまだ飲んでいると思わせなければ乳が出なくなってしまうから、慎重に優しく絞る。


「終わったよ。」


数分絞った後、息子に伝えると、彼は仔馬にまた乳を飲ませる。


「君の馬乳を分けてくれてありがとうね。」


仔馬と母馬に感謝しながら、彼は仔馬を他の仔馬の元へ連れて行き結び、別の仔馬を連れてくる。


30分ほどかけて、仔馬6匹分の食事と乳搾りを終えると、日の出が見えてきた。


自然の恵みに感謝しながらバケツいっぱいの馬乳を持ってゲルへと歩き出す。


「さぁ、戻って馬乳酒を作るよ。」


「はーい」



初めての執筆です。

日本語のレベルを上げるために「小説家になろう」に投稿してみました!

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