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花・フェアトラーク  作者: 聖せろり
黒い手紙事件編
6/7

5 黒い手紙

ここ最近校内で起きている事件、通称黒い手紙(ブラックレター)事件。


興味が無くても一日に一回は必ずと言って良いほど黒い手紙(ブラックレター)という単語を校内で耳にする。

ライラいわく、「それだけ今ホットな怪奇現象」って事らしい。

ホットな怪奇現象って何。

黒い手紙(ブラックレター)とは黒い封筒に入っている手紙の事。

A国(えいこく)では古くから「黒い封筒の手紙を送るのは葬式の時だけ」というしきたりが

ある。良いように言えば、歴史を重んじるA国(えいこく)でそのしきたりを破るなんてとんだ恥知らずというか命知らずというか。自分とか身内が死んだわけでもないのに

そんな手紙が送られてくるなんて、まーびびる。

それに加え、宛て名もあろう事か文面さえも何も書かれずに送られてくるという。

一体、誰が何の為にこのような手紙を送るのか……未だ謎に包まれているらしい。


というのが部長の話だ。


「送られた人がその後けがをしたり病気になったりするという噂もあり『死神からの手紙では?』とか『死者から送られてくるのでは?』といった奇妙な噂まで……」

私は思わず立ち上がってしまった。

突然の事に部長もエミリー達も驚いている。

激しい動揺。……死者……あの子……。

やっぱ黒い手紙(ブラックレター)って時点で顔を出すのをやめておけばよかった。

黒い手紙(ブラックレター)を見るのも聞くのも、あの子の時だけで十分。

流石に一週間顔を出さないと心配するかと思って来たのが間違いだった。

動揺を隠すように私は部室から出ようとした。

それに気付いた部長が呼び止める。

「確かにこの事件、いえ先程のような噂はあまりにも酷かもしれません!

特に今の貴方には!」

酷なんてもんじゃない。あの子の椅子。あの子の好きな白いユリ。

この部室にあの子はもういない。いつも傍にいたのに。すぐ隣で笑ってたのに。

死なんて言葉、聞きたくない。

「キルケさんの気持ちも分かります」

分かるわけない。

「ですが部活もサボって何にも関心を持たず、いつまで現実から目を背けるの

ですか!? 第一、彼女のためになりません! 今の貴方を彼女が望んでいるとでも!?」


……バカらしい。ここにあの子はいない。それが現実……。



《待ってよ》


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