4 ORC
ORCの部室はオカルトの辛気臭いイメージとは逆に窓辺から日がさしており、
やたらと明るい。壁には新聞の未解決事件の記事や雑誌の切り抜きやモノクロの
写真が無数に張られている。幾つかの記事や写真には赤ピンが刺さっておりピンとピンを繋ぐように赤い糸が張っている。
部屋の真ん中には長机が置かれており、それを囲むようにパイプ椅子が6つ並んでいた。私とライラとエミリーはそれぞれ定位置に座る。
部屋の隅にはもう一脚パイプ椅子があり、椅子の上には白いユリの花がささった
花瓶が飾られている。
壁沿いに置かれたホワイトボードには「BlackLetter」という文字が書かれていた。
「本日は進路相談のため2名欠席、僕含め4名出席ですね!」
ホワイトボードの前に立っているORCの部長――漆黒の髪、空のように青い瞳、
黄色の肌の少年――が嬉しそうに話す。
どうやら私が久しぶりに部に出たからいつも以上に調子に乗ってるらしい。
毎日嫌でも会えるっていうのに何言ってるんだか。
部長はいつもニコニコしている。
昔からそうだ。私がどんなに邪険に扱っても、どんなに酷い事をされても、
……どんなに痛い目にあっても。
そんな部長はあんまり好きじゃない。
部長は多分何でも受け入れるんだと思う。
最初はそれはどうかなとか一応反論したりするけど、最終的には全て受け入れる。
たとえ自分に利益が無くても。自分が損しても。傷ついても。
部長はホワイトボードの「BlackLetter」の文字を赤いペンで囲み、今日の議題に
ついて話し始めた。
「今回取り上げるのは、ここ最近校内で起きている事件、通称黒い手紙事件です」