2 A国
ここはA国。
他の先進国よりも科学の発展があまり目覚ましくない国。
インターネットが使えるようになったのもつい3年前くらい。
他の国ではスマホ……だっけ? そういう小型機械、A国ではAiフォンっていう
コンパクトミラーみたいな形なんだけど、そういう物が出来たのなんか本当最近。
周りが言うには物凄く遅れているらしい。
まぁ、私はあってもなくてもどうでもいいんだけど。
そして、科学では証明出来ないような非科学的な事件がよく起きる国。
未解決事件と呼ばれるものの多くは、その非科学に当てはまるという。
このA国は歴史のある国であり、人々もその歴史を重んじる傾向にある。
多くの移民を受け入れながらも、異端を忌み嫌うという矛盾した歴史を、ね。
私のこの髪……白い髪も異端の証だってバカどもは言う。
……実際、家族の誰とも違うけれど。
古くからA国は異端を切り捨ててきた。
そして、そんな異端を彼らはこう呼んだ。
「魔女」と。
かつて「魔女」には別の意味があった。
普通の人間とは違う者、悪魔に魂をうり力を得た者、
人を惑わす悪しき力を持つ者。
科学が発展した現代でも、そんな非科学的な存在を信じる者達もまだいる。
未解決事件、それは魔女の仕業だと。
バカげた話でしょ?
でも……あながち間違いでは無いかもしれない。
あの一件以来、私、相川キルケは今までバカにしてきたものを信じざるをえなくなった。
これも全てはあの子の為。
あの子のためならたとえ――。