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第七話

 布団に入ったものの、なかなか寝付けない。何度も寝返りを打つ。布団から出て、ドアの前に行き、外に出ようとしたが、ため息をついて、ドアノブから手を離した。


 また布団に入る。寝られなくてソファに座る。スマホのゲームを無心でやる。それを繰り返した。


 気がつけば、時計の針は午前七時を指していた。鳴瀬は洋服に着替えると、ドアを開けた。


 電車に乗り、二駅目で降りた。改札口を出る。駅前では、街宣車の上で、おじさんがマイクを使って叫んでいた。


「みなさん、9.11を思い出してください。ISISを思い出してください。今でもアメリカはテロまみれです。アメリカに行くと、余計に危険です。自分の国は、自分で守りましょう!」


 聴衆の間を縫うように避けていく。そこから歩いて十五分の所に、琴が住んでいる女子寮が見えてきた。


 鳴瀬は一度、素通りをする。普段と変わらないように見えた。女子寮から離れる。小さな公園が見えた。そこのベンチに座った。LINEをタップする。

 



 おはよう

 



 既読がつかなかった。十分待った。それでもつかない。もう一度、送った。




 おはよう




 さらに待ってみたものの、返信はなかった。

 

 鳴瀬は焦った。急いで電話をする。三つ目のコールで、着信音が鳴りやんだ。


「もしもし!」


「おかけになった電話番号は、現在使われておりません」


 鳴瀬は電話を切る。女子寮へと駆けていく。鳴瀬は玄関の所に入ると、管理人がいる、部屋の窓を叩いた。


「すみません。琴が危ないんです!」


「は? その前に、あんた、誰だよ」


「すみません、入ります」


「ちょっと!」


 管理人と、数名の警備員がドアから飛び出してきた。すぐに取り押さえる。近くから、女性の悲鳴が聞こえた。


「彼女が危ないんです!」


「誰か、警察を呼んで! 全くもう……」


 体に電気が走る。視界が一気に真っ白になった。


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