弓王技
「戻りましたー…」
「あ、どうでした?新しい従魔は」
「取り敢えず、強いけど使いづらい事が分かりました」
「…?」
「…すみません、時間を取ってもらって。…皆って」
「墓地に行ってますよ。私はあまり好きじゃなかったので…」
「あ、そうなんですか」
…バジリスク、毒が効くのならば倒すことが出来そうな気がするが…。それにしても、レイナさんには悪い事をした。本来であれば全員でボスに行く筈の所を一人でクランで待機…申し訳ない。
「すみません」
「いえ、私が好きじゃないという理由で行ってないだけですから。…折角ですし、ボスの説明でもしましょうか?」
「お願いします」
「名前はレッサーザラタン。80m程の亀のような魔物です。最大の特徴は圧倒的な防御力とHP、それにその巨体を利用した津波です。又、最大の攻撃源は10分毎に召喚される80体の魔物に、その魔物達がまれに召喚する魔物達。まだプレイヤー達による討伐記録は無く、私としては一致団結して1番を取りたいと思っています」
「へぇ…」
グドラの亀版かな?一致団結と言ってくれているが、初期リス地次第ではそもそも戦う以前に溺れ死ぬことになる俺がいるのだが…
「フィールドはどうなってるんですか?」
「四方に小島が一つずつでプレイヤー達はランダムに飛ばされます。距離的にはレッサーザラタンまで40m程の距離で、フィールドの最外地はレッサーザラタンを中心に200m程。今までザラタンがその場から移動したというのは聞いたことが有りません」
「潜ったというのは?」
「有りません」
「背中に乗るとどうなるんですか?」
「何もされませんが、召喚される魔物達のヘイトが最も向くと言われてます。ので、あまりおすすめは出来ません」
「へぇー……」
万が一にでも潜られると詰むし、背中に乗るという案は無しだな。…グドラを上手く使いたいのだが、【侵食】を考えると使いづらい。【母樹】の他の所にプレイヤーが登録できれば良いのだが…守護者の定義がよくわからないし、登録が出来たとしても2人だけだ。今回使うのはとても難しいだろう。
「因みに…どうやってレッサーザラタンまで近づくんですか?」
「召喚される魔物の内半分ほどは小さな亀…と言っても5mは有るんですが、グランドタートルという名前の魔物がいて、それを足場に移動していけます。ただ、レッサーザラタンまで近づいても甲羅を破る手段が無く……」
「あぁ」
ヤミが進化したことで瞬間的な最大MPは5000近くまで行く。ハンドレッズアローなどを使って頑張れば甲羅を破る事は出来るかもしれないが……弓技を最大にした事で新たに取得可能となった弓王技を取得して何か新しいスキルを狙う方が良いかもしれない。
…甲羅を破れば努力が認められて島から出ないです………まあ、クランに入っている訳だから、役に立たないと駄目だろう。
「レイナさん、弓王技って持ってますか?」
「はい」
「どんなスキルがありますか?」
「レベル1が【エンチャント】、2で火、水がエンチャント出来るようになり、3で土、風。4で光、闇、5で幻が付与できるようになります。レベル6になると【アンチマジック】が、7で【サウザンドアロー】で8が」
「すみません、質問良いですか?」
「はい」
「【サウザンドアロー】って文字通りの?」
「はい」
7レベル。弓王術も同時に取らないといけないと考えると……112。弓王術を6まで取ると考えると98。今残っているスキルポイントは93なので、後一つ称号を取得するか職業レベルが上がるかで取ることが出来る。
深淵の森深層を見てから、いつかは取ろうと思っていた【弓王術】【弓王技】。丁度良いタイミングだ。
「【精霊召喚:闇】『ヤミ』【精霊召喚:雷】『ライ』【精霊召喚:火】『ファイ』【精霊召喚:土】『アース』【精霊魔法:闇】【闇精霊の加護】【精霊魔法:雷】【雷精霊の加護】【精霊魔法:火】【火精霊の加護】【精霊魔法:土】【土精霊の加護】」
精霊術士の経験値は恐らくだが精霊達に渡した魔力量だろうから、これがレベル上げへの最短ルートだろう。
「あの、レンジさん?」
「あ、すみません。…それと、甲羅に穴を開けるのは俺が出来るかもしれません」
「本当ですか?」
「はい」
前準備として、1分間何もできなくなるが次の矢にかけるスキルの消費MPを半減してくれる【チャージ】を使って【サウザンドアロー】【インパクト】【チェイサー】を使う。
本来であれば【チェイサー】ではなく【ブラスト】を使いたかったが、それだと最低消費MPが6000からという意味が分からない数字となっているので無理だ。
【チェイサー】を使う理由は一点に攻撃を集中させる為。
これで出来なかった場合は…考えたくもない。