表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/196

レベリング

「フィールドボスですか?」

「ええ。攻略サイトには、そこまでがチュートリアルだと書いてありましたので」

「因みに出現する敵の内容は?」

「グラスラビットの上位種であるビッググラスラビット1体と、数体の取り巻きだけです。ビッググラスラビットのHPも100と比較的少なめです」

「はい?」

「恐らく、私の射撃3発程で倒すことが出来ますが、それまでには近づかれてしまうと思うので、貴方が倒して下さい」


 はい?色々と言ってることが分からないのだが、無理じゃないだろうか?グラスラビットを見た限りだと、50mを5秒程で移動している。それの上位種だと考えると、接敵するのはすぐだろう。しかも、他にも数体のグラスラビットがいる。その間に、沢山打ち込めと?無理に決まっている。


「無理だと思います」

「そうですか?なら別の手段を考えましょうか」

「いや、まず挑まないという手段は?」

「ありません」

「そうですか」


 脳筋なんだろうか。俺の中での凄い人という幻想が崩れかけているのだが。何をするにも、レベリングをしとけば何とかなると思っている俺も脳筋かもしれないが、レベリングをした方が可能性は上がるだろう。


「レベリングをしませんか?」

「レベリングですか?…そうですね。では、人が来るまではレベリングを行いましょう。フィールドボスの初討伐報酬、新フィールドの初討伐報酬はとても美味しいので、逃したくないんです」


 初討伐報酬…あれの事だろうか?確かに、職業Lv1分のポイントが貰える訳だから美味しかった。


「その称号は二人共貰えるんですか?」

「二人共攻撃に参加していれば貰えるらしいです」


 思ったのだが、レイナさんの知識量多すぎないだろうか?まあ、知識が多い人が身近にいるのは助かるが、何故こんなに知っているのかが気になる。


「まあ、まだここに人は来ないと思うので、レベリングをしましょうか。レベルが8ぐらいになったら人が来て無くてもボス戦へ行く形で」

「分かりました」


 言うとともに、レイナさんはグラスラビットへの攻撃を開始した。相変わらず衝撃が凄いが、此方は本数で対抗しよう。

 俺とレイナさんがいる場所は、門のすぐ目の前だ。だから、視界内全てに草原が広がっている。まあ、草原の先に森が見えるのだがそれは良いだろう。要するに、レイナさんが右半面。俺が左半面のグラスラビットを好きに狩れる訳だから、獲物のかぶりを気にする必要はない。


 31体目を倒した時にレベルが上がった。正直、威力の強いレイナさんがとても羨ましいのだが、俺はある程度は速度に特化することにした。

 そして、その後すぐに職業Lvも5に上がった。まあ、変わらず速度に極振りだ。多分今ならグラスラビットに追いつけるだろう。時間の無駄だからやらないが。

 63体目を倒した時にまたレベルが上がった。この時には職業Lvも6に上がっていた。勿論、全てのステータスをAGIに振る。この感じだと、次のレベル上昇は127体だろう。


 だが、70体目になる頃に有る事を思い出してしまった。


「あれ?矢って100本だけだよな?」


 慌ててストレージを確認してみたら、使用可能な矢の数は残り15本のみ。慌ててレイナさんに言いに行った。


「レイナさんレイナさん!矢って100本しか無いですよ!」

「…そうですね。私もあと43本しか残ってません」


 43本となると討伐数は57だろう。俺は63体目でレベルが上がったわけだから、そこまではやってほしい。


「あと6体倒して下さい。多分レベルが上がるので」

「分かりました」


 正直、レイナさんの弓の扱いは凄すぎた。一連の動作を水を流すかのように流れるようにやり、必ず当てる。当たった兎は吹っ飛ぶ。短絡的な俺が、STRの極振りをしたくなったのも仕方がないだろう。


「上がりましたね。じゃあ、行きましょうか。一応、武器をしまってください」

「え、なんで?」


 ついタメ口になってしまったが、実際に理由が分からなかった。


「良いから。理由は移動中に説明します」

「はい」

「じゃあ、移動をしましょう。ついてきて下さい」

「はい」


 唐突だったが、有無を言わせない雰囲気だったのでおとなしく従い、森の方向へ歩き出した。


「まず、前提として、このゲームでは、弓は本当に舐められています」

「そうですね」

「で、弓を持った状態で変な人に会うと、確実に絡まれます」

「はい」

「先程、門の隙間から此方へ走ってきている集団を見つけました。恐らく、ここの初討伐報酬狙いでしょう」

「はい」

「で、それなのに私達がいると邪魔ですので、確実にイチャモンを付けてきます。弓を持っていたら尚更。ですので、片付けてもらいました」

「はい」


 はい。脳筋とか思ってて申し訳ございませんでした。確かに、少し後ろを振り返ると、此方を指差してなにか言っているように思えた。


「じゃあ、行きますよ。ボス戦の条件は、その方面のグラスラビットを20体以上討伐し、森に一定以上近づく事です。そろそろボスフィールドに移りますよ」

「はい」

「あ、因みに、何を畏まっているのかは知りませんが、これは公式の情報ですよ」


 レイナさん凄いんですね。という意見しか出ない。因みに、一応普通の『初心者の弓』で10ダメージ以上出るか試してみたが、出ていたのでボス戦では『初心者の弓』を使うことにしている。


「あ、フィールドが移りましたね。10秒程後に現れると思いますので、速攻で取り巻きは全部倒して下さい」

「はい」


 初回はデスペナが無いとは言え、死にたくはない。全力を尽くすつもりだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ