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十六夜さんは凄い人

 取り敢えず、ナオがインしているのは確認した為、電話をかける。


『はいもしもし、ナオです』

「もしもし。レンジです」

『あ、レンジか。で、何?今洞窟を攻略中なんだけど』

「ルトさんに会える?てか、ナオお前レベルいくつだよ」

『まだ25だよ。で、ルトさんと会いたきゃ第二の街のクランホームに行け』

「分かったありがと。…てか、お前レベル低いなランカー」

『喧しいわ。こちとらクラン員全員がバランスよく育ってるんだよ』

「…そ。まあありがと。ルトさんに会いに行きますって伝えてくれない?要件は金をくれそう。又は装備を作ってくれる人を探してますってことで」

『お前贅沢なランカーの使い方してんな…まあ伝えとくわ』

「ありがと。じゃあばいばい」

『んじゃ』


 よし。これで後はルトさんに会いに行くだけだ。トップクランのマスターだからきっと人脈は広いだろう。後は、ルトさんが知らない情報でも渡せば、きっと教えてくれると思う。きっと…。


 という事で、風精霊を召喚して第二の街に移動した。途中に変な顔をしたナオに会ったような気がしないでもないが、まあ良いだろう。

 第二の街のナオに教えてもらった場所に移動すると、ギルドに勝るとも劣らないクランハウスを見つけた。


「あー、よし。入るか」


 まじか…。入って一番最初に見えたのが受付嬢。プレイヤーのネーム表示が無いからNPCなのだろう。どうするべきなのだろうか?不審者を見る目で見てくるプレイヤーに話しかけるべきなのか、NPCに話しかけるべきなのか…。

 俺がそうやって悩んでいると、階段をルトさんが下ってきた。


「レンジ君よく来てくれたね。クランに入る気になったのかな?」

「いえ、そういうわけではないのですが、腕の良い生産プレイヤーでも紹介してもらおうと思いまして」

「…タダで?」

「どう思います?」


 確か、交渉する際は弱みを見せずに強気で行く必要があると聞いたことが有る気が…。まあ、交渉も何も元から情報はある程度は渡すつもりなので、こんな会話は全く意味がないのだが…。それに、精霊関連の情報を渡す気はない。


「タダはちょっとねー。何か交換でくれるもの無いの?情報とか、君の身柄とか」

「二個目のやつ意味が分からないですが、情報だったら上げても良いですよ?腕の良い生産プレイヤーの紹介が条件ですけど」

「そっかー。僕としては二個目をくれればいくらでも全面的に協力したんだけどなー」

「そんなに求められる意味が分からないですね」


 色々と心当たりは多すぎるのだが、バレているとは思いたくない。


「いやー結構重要だよ?称号数が20を超えてる人なんて」

「…何のことですか?」

「いや、誤魔化さなくていいよ?3位ですら称号数は5。それに対しての20は隠したくなるのは分かるけどね〜」

「いや、本当に何を言ってるのか分からないのですが?」

「まあ良いや。取り敢えずクランマスターの部屋へ移動しよう。そこに生産プレイヤーもいるし」

「分かりました」


 生産プレイヤーは紹介してほしいので、階段を登り始めたルトさんについていくことにした。ただ、称号が20を越えてるのがバレている理由がわからない。


 ルトさんに続いて部屋に入ると、3人の人が居た。恐らく、人間とドワーフと猫人族だろう。因みに、猫人族だけ女の子だ。割と猫耳は有りかもしれない。


「連れてきたよ。この人がレンジ君。皆レンジ君に自己紹介して」

「私は情報クラン【Recorder】のクランマスターをしているスイというものです」

「俺は【瞬光】所属の鍛冶士、ダンシンだ」

「私はフリーの裁縫士で、楓って言います」

「で、僕は【瞬光】のクランマスター、ルトだ。ほら、次は君の番だよ」


…。


「フリーで、【遠距離物理】のレンジです。【瞬光】に入る気は有りません」

「そんな事言わずに入ろうよ」

「いや、俺はガチ勢じゃないんで」

「いや、称号数が20を越えてて何を言ってるんだよ…」


 本当に、それは気づいたら溜まってたんだよ…。俺はガチ勢ではない。


「で、君はどんな情報を吐いてくれるのかな?レンジ君」

「何が欲しいですか?」

「全部」

「無理」

「即答かー。じゃあ、何処かの普通の人は知らないような攻略情報を一つ。それで良いよ取り敢えずは」


 …少なすぎないだろうか?これは何か策略でも有るのだろうか?一つだけでいいなら特殊ボスと当たった事…いや、どうせ深淵の森中層のドロップアイテムで装備を作ってもらうんだ。複数個吐いて見返りを要求するか。


「複数個教えたげるよ。タダとは言わないけど」

「あーそれに関しては大丈夫。元々、情報に応じて金は渡す予定だから」

「おぉー。じゃあ、1つ目。特殊ボスと当たりました」

「「「「おぉ!」」」」

「場所は第三の街迷宮5層の中ボスです。元々はゴブリンヒーラー×1、ゴブリンマジシャン×1、ホブゴブリン×2、ゴブリン×2ですが、変化後はゴブリンジェネラル×1、ゴブリンナイト×4、それと10分毎に8体のゴブリンの変異体が発生しました。固定枠はヒーラー×1、マジシャン×1、アーチャー×1、シーフ×1、普通のゴブリン×1ですね。まあ、そんな感じでした」


 説明するのが面倒くさくなったので、省いたが、きっと許してくれるだろう。


「よく勝てたね?パーティーメンバーは?」

「ソロです」

「「ソロ!?」」

「基本俺はソロなので。深淵の森表層のボスもソロで倒してます」

「ツインヘッドベアをかい?」

「はいそうですね」

「じゃあ、君がレベル35で称号数は23なのか」

「いや、違います。俺の称号数は21ですね。一位の人が誰かは知りませんが本当に凄いですよね」

「じゃあ十六夜が23個か」

「ん?」


 なんか知ってる名前が出たような…。十六夜さん?あの人実は凄い人だったのか?確かに、精霊召喚とか教えてもらったけれども、そこまで凄い人だとは思わなかった。


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