ユウさんの実力
ジャンル別日間、週間一位になれました!
読んでくださっている方々、ありがとうございます!
スキルを発動させながら全力疾走で第三の街まで戻ると、闘技場にて三人とゴブリンの集団が戦っていた。十六夜さんがいる事を考えれば、楽に勝つ事が出来るような気もするが、思っていた以上に苦戦しており、最終的には敗北していた。
「お疲れ様です」
「あ、レンジさん戻ってきたんですね」
「はい。因みに、あのゴブリンの群れは何ですか?」
「あれは迷宮10層のボスですね。一体一体のレベルが20あり、まだ勝つことが出来てません」
「…十六夜さんとレイナさんがいればクリア出来そうですが」
「無理ですね。ゴブリンコマンダー×1、ゴブリンナイト×4、ゴブリンマジシャン×2、ゴブリンアーチャー×2、ゴブリンヒーラー×1、ホブゴブリン×8もいますので」
数が多すぎないだろうか?それに、役割分担がしっかりとされていそうで勝てる気がしない。これで迷宮10層というのは難し過ぎ無いだろうか?
「…それはキツそうですね」
「はい」
「…レンジ。一緒に挑もう…」
「え?」
「…クエスト」
「いや、その…」
「クエスト」
「一緒に挑ませてもらいます」
「…うん」
正直、俺が加わった所で何も変わらないような気がする。先程の戦闘を見ていた限りだと、コマンダーもヒーラーも、両方共にナイト1体とホブゴブリン2体と言う肉壁に守られており、十六夜さんが近づくどころかレイナさんが矢を当てることすら出来ていなかった。 全ての攻撃がその3体に阻まれ、すぐにヒーラーによって回復される。完璧な役割分担が出来ていた。
「…じゃあ、行こう」
「今!?」
「うん…?それ以外、ある?」
「…クエストのクリア条件が」
「…?…、ああ。でも、どうせやる。行こう」
「…。失敗したらどうなるか知ってますか?」
「クエストが消える。でも、もう一回発生させれる」
もう一回発生させることが出来るのか。なら、別に良いかもしれない。若干痛いかもしれないが、もう受けられなくなるわけではないのなら問題ない。
「分かりました。じゃあ、行きます」
「レイナ、ユウ。行こう。これなら勝てる…」
「そうですね。攻撃要員が一人増えるだけで大分違いますから、行けるかもしれません」
「…すみません。毎回お荷物になってしまって…」
「全然問題ないですよ。それに、作ってもらっている回復薬はとても役に立ってますから。…そういえば、レンジさんのHPは10のままですので、ユウさんに体力回復薬を貰ったらどうですか?」
作ってもらっている回復薬?要するに、ユウさんは回復薬を作れるということだろうか?大分凄い気がする。貰えるものなら貰っておきたい。言われるまで忘れていたが、空腹値の回復は行っても、HPの回復は忘れていた。
「あ、はい。ユウさんお願いできますか?」
「は、はい!一応、HPが100回復する回復薬を10個と、MPが100回復する回復薬を10個、MPを1割回復させる回復薬を1個差し上げます!」
確か、回復薬というのは、固定回復と割合回復の二種類があった筈だ。ギルドで売っていた回復薬は、HP30の固定回復で、割合回復はまだ存在していなかったので、相当凄いのではないだろうか。それに、一割回復となると、今の俺のMPだと、40も回復する。これからもMPは増えていくだろうから、凄いのは間違いないだろう。
「えっと、割合回復のはまだいらないかな…。全部で何Gぐらい渡したほうが良いかな?」
「いえいえ!友好の証として受け取ってくれると有り難いです!」
「…んー。じゃあ、2万Gぐらい…かな?」
ギルドで売っていたHP回復薬は100G、MP回復薬は300Gだった。それを考えると、まだ入手ルートが他にないことなどを考えると、2万でも安いぐらいだ。でも、高い金額を渡そうとすると受け取ってくれないだろうから、このへんで抑えた。
「いやいや!高すぎますよ!?全然ただで問題ないんです!」
「いや、あのね…。貰うっていうのは流石に此方としては申し訳ないから、受け取ってくれないと困るんだけど…」
「いや、その、ギルドで迷惑をかけてしまったのをそれでチャラにしてくれると嬉しいかなぁーって思ってたり?…すみませんなんでも無いです」
ユウさんは、少し決まりが悪そうにそう言ったが、そもそも俺は気にしていない訳で、お金は受け取ってくれないと困る。
「ギルドの事は一切気にしてないから大丈夫だよ…。てか、ルトさんと知り合いになれたことを考えればプラスかもしれないし」
「…例えそうであったとしても、此方としての謝罪の気持ちは受け取ってくれると有り難いです」
「んー、気にしてないんだけどな…」
それから、数分間、押し問答をし続けた結果、1万Gで10個ずつ貰うことで折り合いがついた。此方としては申し訳ない限りなのだが、折り合いをつけた以上、1万Gを支払った。因みに、レイナさんと十六夜さんはそんな俺等を放っておいて、いかにして10層を突破するかを話し合っていた。
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