【暴血ノ神楽】
唐突ですが、コミカライズの連載がニコニコ静画様にて始まります。
本当は事前更新とかして大々的に告知したかったんですがリアルが忙しすぎて……。
開始は本日の昼頃。
今話更新時と大体同時刻ですので前書きを書いている時は僕もまだ見れておりませんが、
是非見てくれると嬉しいです。
詳しい情報、URL等は活動報告の方に載せます。
ザラタンへと戦闘を仕掛けることになった。と言っても、最初からザラタンに攻撃を加えてしまうとその周囲にいる全ての眷属も同時に相手をしなくてはいけなくなるので、ある程度の量の眷属を間引いてから、俺が【矢刻ノ雨】【矢刻ノ雪】【ミリオンアロー】を同時発動する事になった訳だが……。
「【ハンドレッズアロー】【インパクト】【エンチャント】『水』」
「【収束射撃】」
「【ハンドレッズアロー】【ポイズンエンハンス】」
戦闘スタイルの問題で、水中にいる眷属を俺が担当し、空中に飛んでいる眷属はレイナさん、雫先輩が担当して倒し始める。雫先輩はどうしてもレベルの問題で一体を倒すのに必要な攻撃量が増えてしまうので俺よりもMPの管理がシビアなのだが、それもあって俺が【矢刻ノ雨】【矢刻ノ雪】【ミリオンアロー】へと攻撃を移すのは雫先輩の合図次第ということになっていた。
「すまんレンジ、頼む!」
「了解です。【チャージ】」
雫先輩から合図を貰い、攻撃を放つ為の準備を開始する。1分程動けなくはなってしまうが、あらかじめ雫先輩にはそのぐらいの猶予をもって合図をしてくれるように頼んでいるので、雫先輩とレイナさんが戦っていられる以上俺へと危害が加えられる事はまずない。
眷属の討伐ペースが下がりはした物の、こちらへと向かってくる眷属などを安定して倒し続ける雫先輩とレイナさんを眺め続ける事1分──、
「【矢刻ノ雨】【矢刻ノ雪】【ミリオンアロー】!!」
【矢刻ノ雨】【矢刻ノ雪】【ミリオンアロー】を放ち、MP回復薬を飲む。
ザラタンへの攻撃を避けてきた今までとは違い、ザラタンを攻撃の中心地としてその周囲にいる眷属を一掃する事を目的としたこの攻撃にはザラタンも思うところがあったのか……、
「クアァァァァァァ!!!!!」
雄叫びをあげ、大きな津波を引き起こした。
「「「【スカイジャンプ】」」」
俺、レイナさん、雫先輩の全員が空へと回避し、少し離れた所へと移動する。津波はその大きさの割には勢いも無く、上位災獣の上に数メートル程かかるとすぐに収まってしまった。それのお陰で津波に巻き込まれずにすんだ訳だが……、
「これ、ザラタンの攻撃は上位災獣に攻撃として扱われるんですかね?」
「……どうでしょう?」
「扱われないと良いな」
「……扱われないことを祈っておきます」
レイナさんの声が少し堅かったので見てみれば、『サッ』と目を逸らされてしまった。扱われる事を把握した上で戦う事にしたのか。それとも、その懸念には気づいていたが意図的に無視していたのか。……まあレイナさんの事だから意図的に無視したのだろうが、ザラタンから放たれるらしいブレスによって上位災獣のHPが削れてしまうのは流石に不味い。
戦闘を始めてしまった以上祈る事ぐらいしか出来ないのだが……、
「さっさと倒せば問題ないんじゃないか?」
「雫さん……だいぶ無理があると思うんですけど」
「名案ですね。幸いな事にレンジさんのデバフも効いてる様ですのでさっさと倒してしまいましょうか」
「ああ」
「……」
レイナさんと雫先輩の会話に色々と思うところはあるが、間違いではないので思わず口を噤む。自分で言うのもなんだが、【矢刻ノ雨】【矢刻ノ雪】【ミリオンアロー】のコンボは【チャージ】を使っても2万近くのMPを消費するだけあって威力が高い。それだけでザラタンを倒せるなどとは言う気も無いが、眷属の大半は倒れているし、ザラタンにも浅くない傷を負わせる事に成功していた。
「一応ブレスは警戒して……私は少し動けなくなりますが、始めましょうか。【血ノ暴巫】【血ノ暴覡】」
「レイナに攻撃がいかないよう少し離れた所から攻撃をするか……私は右に離れる」
「了解です。俺は左に離れますね」
レイナさんが、赤いオーラという防御力があるとはいえ先ほどの俺同様に無防備な状態になったので、ブレスの標的とならない様に少し離れた所、それでいてレイナさんへと攻撃を仕掛けようとする眷属がいたら倒せる位置取りでザラタンへと攻撃を始める。
と言っても生き残っている眷属などまずいないので、なるべくザラタンの注意を引き付ける為に全力攻撃をするだけだが。
雫先輩と俺がザラタンの注意を引き付けあって、丁度間にいるレイナさんが標的になってしまうと笑えないので、いつもよりは気持ち強めに行う攻撃は、ザラタンのヘイトを集め続け……、
「クァァァァアァァアアア゛゛!!!!」
「【ショートワープ】」
俺のいる方向へとブレスを放たせる事に成功した。
「地面は……抉れてない。良かった」
ブレスによって地面が抉れていない事を確認したので、それを大声で雫先輩、レイナさんに伝える。雫先輩は俺を見て少し悔しそうにしていたが……それはヘイトを奪い取れなかったからだろう。
【矢刻ノ雨】と【矢刻ノ雪】の付与時間の半分以上を経過し、そろそろレイナさんが動き出さない事に不安を覚え始めたタイミングでようやく……レイナさんの周囲に現れていた赤いオーラに変化が表れてきた。
元々は初めて見たときと同様に薄く広く広がっていた赤いオーラだったが、少しずつ纏まりを見せ始めたのだ。前回は幾つもの赤いオーラが重なり合う形で矢の道を作り上げていたが……、
「【暴血ノ神楽】【収束極射】」
今回は矢……というよりもレーザーに追従する形で赤いオーラが道を作り、何も無い所で跳ね返って再びザラタンの体を貫く。という動きをし始めた。
前回以上に速いそれは、赤いオーラが消え去る事無くザラタンの体に燻り続ける事で圧倒的な高威力と共に持続的な影響を引き起こしていた。
「っつぅ……」
「レイナさん!?」
「……レイナ?」
「あ、大丈夫です……。デバフが掛かってるだけですので」
「それは“だけ”なのか……?」
未だザラタンへとダメージを与え続けている途中だというのにグラついたレイナさんに、思わず呆気に取られていた俺と雫先輩も駆け寄り、一時的にレイナさんを抱えてザラタンから距離を取る。
HP最大値を1にするだけでなく、スキル使用後に自身にデバフが付与されるとは……わかりきってはいた事だが、目の前に引き起こされている攻撃が想像以上の物だという事が痛感させられた。
「レイナさん、デバフはどのぐらいですか?」
「今回のだと……10分程かと」
「……長いですね。流石にデバフが無くなるまでは参加できないと思うんですが、此処に置いて行ってしまって──」
「──問題ないです。自分の身ぐらいは守れますから」
「了解です」
「レイナ」
「早く行かないと私の攻撃で倒れてしまいますよ?」
「それは困るな。行ってくる」
「ええ」
実際の所、レイナさんの言っている事が有り得そうなのが何とも恐ろしいが……雫先輩がそれを聞いて戦闘に戻ってしまったので、レイナさんが一応は問題なさそうにしているのを確認してから俺も──
「クァアアアアアアアアアアア゛゛゛!!!!!!!!!!」
まだ忙しいので次更新は未定。
再来週中にはすると思います。




