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方針

千里の道も一歩からって凄い好きです、うん。


次は水曜。

「……やっぱ蟻か」


 災獣であるインペリアルアントを実際に見たことは無いので確証は無いのだが、水に流され始めた大量の蟻の様な”何か”に、それを使ってグドラに辿り着いた蟻達を見て思わず声が漏れる。見た目が銀色に近い為、シロアリを連想してしまってグドラの体内へと侵入して切り倒してしまわないか不安にはなったが……少し様子を見た限りだとそういった事は行いそうになかった。


 が。


「──」


 それに対して猛烈に威嚇を開始したクワガタがいるせいで全く安心できる気配が無い。どうやら下位災獣であるクワガタの眼中に俺の存在は無いようで、此方を見ることもせずに蟻達がいる方へと飛び立った。その隙に俺は眷属達をある程度除去する事に成功した訳だが……、


「どんどん登ってきてるな」


 クワガタがいくら攻撃を加えて焼き払おうとも、無限に湧き出るかのように増え続ける蟻を前にしてしまえば焼け石に水でしか無い。グドラのステータスを見てみれば、クワガタに何度も火をぶつけられているからかHPが少しだけ減っていた。流石にグドラが瀕死になるよりかは水が引くほうが早いはずだが……一向に無くなる気配のない水柱を見ると、どうにかしてあのクワガタの攻撃を止めさせる必要があるように感じられてしまう。


「……、出来れば何もしたくないんだけど」


 時々死兵と化した蟻がクワガタに攻撃を加えたりもするものの、一直線に頂上──俺がいる場所を目指し続ける蟻達。頂上にたどり着かれるよりも前にどうにかして対処する必要は有りそうだが……クワガタとの惨状を前にすると、下が水と蟻で埋め尽くされている事もありどうしても参戦する意欲が失せる。

 ただ、流石にこの状況で何もしない訳にもいかず……。


「【領域射撃】」


 真下に向けて【領域射撃】を発動する。【ハンドレッズアロー】でも良かったのだが、見た目の纏まり度合いなどでは【領域射撃】の方が上なので、クワガタを刺激しない為にも【領域射撃】を選択した訳だが……真正面からかち合った蟻達が面白い様にグドラから落とされ、水に流されていった。一応クワガタの反応を伺ってみたが、なるべく離れた所、グドラを挟んで反対側で行ったからか全く反応を見せなかった。

 飛び回っている以上視界には入っているのだろうが、ライオンの見た目をした下位災獣の時と同様、これ単体では避ける価値も無い物として判断されたのだろう。


「【サウザンドアロー】」


 【領域射撃】で、蟻達を振り落とすだけならば然程威力は必要ない事を学んだので【サウザンドアロー】単体で発動する。これならば【領域射撃】と同様にクワガタにダメージを与えられるとは思えな──


「────!!!!!!」


 クワガタが太陽を背に取り、大きな炎を出現させる。規模的に言うとグドラの幹の太さの半分程度。グドラの大きさを考えれば……俺が知る魔法の中では圧倒的に大きい。


「ちょっ……」


 流石にあれを落とされればグドラもただでは済まないし、勿論上に乗っている俺はHPの問題であっさり死ねる為対処をする必要がある。

 が、どうする?そもそも何故このタイミングでクワガタがその様な行動を取り始めたのかが分からないし、もしクワガタが先程までと同様に俺とグドラに危害を加える気が無かった場合は対処をする事で余計な敵を生みかねない。


 クワガタの体の向きが微妙に水面方向へとズレている事もあり、俺と同様にインペリアルクイーンアントの居場所に当たりを付けているならば……この行動は邪魔をしない方が良いのだろう。

 が、この状況で博打を打つ気にもならず……結局は対処をする事で結論付けた。


「【ハンドレッズアロー】【ペネトレイト】【エンチャント】『火』」


 いつも使っている【インパクト】と【ブラスト】のセットでは効果がいまいちな気がしたので、【ペネトレイト】と火への特攻を付与して攻撃を加える。


「──!!?」

「ちっ……【テンスアロー】【アンチマジック】」


 技を中断して、少し体勢を崩しつつもギリギリの所で回避し、俺へと炎の槍を放ってきたクワガタを見て、思わず舌打ちをつきつつも冷静に対処する。どうやらクワガタの狙いは水中に隠れているであろう女王アリだったようだが……攻撃を放ってしまった為クワガタの目は完全に俺の事を捉えていた。


「あの攻撃の余波が無ッッ、【ハンドレッズアロー】【インパクト】【ブラスト】!!」


 足元がグドラな為、いつもであれば避ける攻撃を真っ向から打ち返してからMP回復薬を飲む。爆風の壁を作ってクワガタの攻撃を防ぎはしたが……、


「まあ、そう来るよな。【撃墜】!!」


 当たり前のようにその爆風のど真ん中から現れ、勢いそのままに突っ込んできたクワガタにブラッドスキルをくらわせる。対魔法、対物……そして対飛来物特攻、命中補正が入る【撃墜】を真正面からくらわせ、勢いを落とさせてから改めて攻撃を加えてグドラには接触されない様に立ち回りつつ、汗を拭う。


 暑いのもあるが……パッと見ただけでも分かる、徐々に近づいてきている大地や竜巻。幸いな事に水柱は一つも動いていないが、沢山の災獣が此処へと集まりだしているのを察してしまった。


 理由は分からないが、このままだとまず間違いなく死亡する。俺が死ぬのが早いか、グドラが死ぬのが早いか、水が引くのが早いか。三択に見えても水が引くよりも早くグドラが死んでしまえば俺は死ぬし、例え水が引くまで生きていたとしても……この災獣達が”その後”を許してくれるとは思えない。


「倒すしか無い、か?」


 空中に浮かび、俺を睨みつけているであろうクワガタと目が合う。正直言えば、地面があればどうにか出来た可能性も高い。……が、地面がグドラとなると厳しいだろう。グドラにダメージがいかないように配慮しながら戦うなんて事は先程の経験から言って無理がある。防戦一方になるのは間違いなく、一向に倒す事が出来ないのだ。


 だからこそ、水柱が無くなる事を願っているのだが……相変わらず無くなる気配は無い。

 レイナさん達が死んでからまだ10分も経っていない為、救援を求めての耐久も無理があるので……無理か?


 やれるだけはやってみるが……情報収集を第一目標にしよう。


クワガタと目を合うって自分で書いてて凄い疑問抱いてるのですが、

虫って目、横ですよね?真正面から向き合って目が合うのかな……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 災獣って1vs1vs1で殺り合うものだっけ…
[一言] 気分的にとか?
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