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浮遊する◯◯

 流石にストレージから取り出す様な事はしないのだが、”下位災獣”という単語が入る場合と入らない場合の差が激しすぎる為に真面目に考える。ログには『麒麟の介入』という単語が含まれていたので『麒麟』にとってアブソリュートビーストの肉の効果は都合が悪いのだろう。それが何か、と考えたら……災獣の肉が竜、精霊、獣の力を内包している事だとは簡単に想像がつく。

 このアイテム表記を見る限りでは精霊に食べさせる事は可能なわけだし、後で食べてもらうのも良い。料理する必要があるのかは微妙な所だろうが……数もあるのだし色々と試していくつもり──


「──レンジ!俺等も白蛇討伐に参加してもいいか!?」

「……ん?」


 そんな考えを中断させるかのようにストレージ画面を手で塞ぎながら声をかけられたので顔をあげる。声をかけてきたナオに思わず微妙な目線を向け、レイナさんへとも視線を向けてしまったのは仕方がないだろう。

 声をかけてくるなというアピールをしていた筈だというのに……まあ、それは良い。取り敢えずはストレージの画面を閉じ、質問に対しての受け答えをする。


「俺はどっちでも。第一発見者のクヌギさんとか、レイナさんに聞いて」

「ならあとはクヌギだけだな。んー……許可してくれるか微妙なラインだが、まあレンジがいるし許可をくれるか?」

「……」

「ま、駄目で元々の願いだから拒絶されても仕方ねえとは思ってるよ。それにしても……劣化災獣、”劣化”という名前の割には強いんだな。既に一体討伐されてるし簡単に倒せるもんだと思ってたわ」

「あ」

「ん?」


 そう言えば、もう一体災獣を討伐したというログが流れたな……。ログを漁って見てもグドラが介入をした形跡は一切なく、そこの基準がイマイチ良く分からなかったが貢献度は2位で16%。1位のハールンというプレイヤーが恐らく魔法を暴発させたプレイヤーだろうが、プレイヤーの%を全て合わせても50%に満たず、ファーストブラッドに関しては貢献度0の良く分からないプレイヤーが。ラストブラッドに至っては該当者が無しという結果だった。


「……レンジ?」

「……」


 そういえば、あの時のプレイヤー達は何処に行ってしまったのかが分からない。あまり関係なかった様な気もするが一応は感謝を伝えるべきだと思ったのだが……周囲を見渡しても見つからないし、イベント期間中に再び会える事を願っておこう。


「……眼を逸らさないでこっちを見ようぜレンジ?」

「いや、あの下位災獣が食べたんだよ……」

「は?」

「一回下位災獣を追い詰めたかなーって思ったら劣化災獣を呼び出して」

「……ただでさえ強いボスキャラに仲間を呼ぶ機能が付いてんのかよ……それが劣化災獣を呼べるだけの物なのか格下の災獣を呼べるものなのかでだいぶ変わってくるが、考えるだけ無駄か」


 俺の予想だと、劣化災獣を呼ぶだけだろう。それどころか下位災獣以外にその能力が備わっているとも思わない。一番格が高いボスは未だに分かっていないのでなんとも言えないが、ザラタンが仲間を呼んでも、集まれる災獣がいるとも思えないのだ。まぁ適当な勘なので普通にハズレる可能性も高いだろうから、ザラタンと戦う時でもしっかりと仲間を呼ばれる事は考慮に入れておくつもりだ。


「それよりレンジ、面白いことを教えてやるよ」

「ん?」

「ここ、標高10kmはあるんだぜ?」

「は?10km?10mじゃなくて?」

「ああ。俺が持ち込んだアイテムの中に座標の様な物を幾つも記録する物があるんだが、この地面、超高速で移動してる。ラピ◯タみたいな空島なんだろうが……周囲に海が付随してる理由が思いつかねえんだよなぁ」


 ……。イムが『ん〜とね!ビューって、ここビューってなってるよ!』という発言をしていた事を思い出す。その時はいまいち理解出来なかったので完全にスルーしたのだが、ナオの言葉によってそれがどういう意味だったのか理解させられた。『えっへん』などと態々口に出したイムに感謝の念を伝えながら、ナオの言う海についてを考える。

 まあ、陸地が浮いているのだから海も浮けるだろうと言われてしまえばそれまでなのだが……俺の様々なゲーム内知識を総動員しても、少しの物体を浮かせる事は出来ても、大陸までは浮かせる事は出来ない筈だ。


 それこそ、地面そのものが災獣だと言われた方が納得するぐらいに。


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