共闘……?
「うぉ……レンジ、あれ一人で戦ってたのか?」
「ん?」
「いや、化け物だな」
合計80体の眷属が召喚され、その光景にナオが呆気に取られる。血気盛んなハクさんやミウさんはそんなナオを置いて突っ込んでいき、それをフォローする為か他の三人も追いかけていった。因みにだが、劣化災獣を取り込んだ事での眷属の変化はそこまで見受けられなかった。今まで通り沢山の種類の動物をモチーフにしたような眷属が周囲へと展開されていき……そこにいるプレイヤーとぶつかり合う。
レベルが200相当故に一対一であれば同レベル帯のプレイヤーが負ける筈は無いのだが、押し負けている所などは第二陣のプレイヤー達なのだろう。
それにしても……、
「邪魔だな」
「ん?」
「いや、攻撃できないから」
「……。……、やめろよッ!?おまっ、後ろから殺されるとかまじでやだからな!?」
攻撃が出来ない事をナオに伝えるも……数秒程の間その意味を咀嚼した後に焦りだしたナオが慌てて俺を止めてくる。当たり前だがするわけがない。【神の調べ】等の称号はPKをしていない事を前提とした称号なのでそれをしてしまった時点で無くなってしまう。その事をナオに伝えると『称号が関係なかった時は?』と聞かれたので無言で目を逸しておいた。
「……おい、レンジくん?」
「冗談だから」
「冗談が冗談にならねぇんだよ!!」
レイナさんや雫先輩であればパーティ戦であっても活躍できそうだが、俺のプレイスタイルはパーティ戦に向かなすぎる。現状で出来る事などチマチマと撃ち続ける事ぐらいしか無いだろう。
それをナオに伝えると逆にそれ以外するなと念押しされたが……眷属やプレイヤーで下位災獣への道が無い今、それを作ってくれるらしく──
「待ってろよ!!良いか?絶対しびれ切らすなよ!?」
そういったナオは全力でパーティの元へと走っていった。先ほどからずっと【気配探知】などで感じている下位災獣の視線は下位災獣が何処にいるのかを示してくれているが……丁度ナオに被っているのでそちらを眺めながらMP回復薬を飲む。
当たり前の事だが、眷属もプレイヤーも動き続けるので一瞬下位災獣が見えたりするのだが、針の穴を通す様な精密さが無いと下位災獣に届く前に誰かに当たってしまうだろう。
針の穴を通す……出来るか?
「……速度が無いと通せても塞がるだろうし……」
「……ん?」
何かを感じ取ったのか眷属の群れと戦いながら此方を眺めるという器用な事をしたナオに何でも無いと手を振り……、
「【火竜腕】【炎竜腕】【精霊王の加護】【火精霊の加護】【炎精霊の加護】」
矢の速度に関わるSTRを全力で底上げする。左手に火を纏い右手に炎を纏う、そんな状況でも燃えずにある弓に矢を番え──
「【クイック】【ペネトレイト】【エンチャント】『火』『炎』」
「っお、あぶ──」
「ガァァアアアア゛!!!!」
辺り一帯に下位災獣の声が響き渡り、ナオ達の上を片目に矢が刺さった下位災獣が飛んできた。宙を舞い、周囲に氷の槍を展開しながら俺の元へと飛んでくる下位災獣に一瞬周囲の雰囲気が固まったがそれを気にすること無く、真正面から受け止める。
「【サウザンドアロー】【インパクト】【ペネトレイト】!!」
空中故に他のプレイヤーを巻き込む心配が無いと思って放った全力攻撃が氷の槍、下位災獣に当たって大爆発を引き起こし、その爆風によって空中で鳥型の眷属やそれと戦っていたプレイヤーが飛ばされていった。
「ァァアアア゛゛!!!!」
倒したか……!?と思ったのだが……。
ボロボロになった下位災獣が自分の体を顧みずに俺へと突っ込んでくる光景に一瞬呆気に取られ、動くのが遅れ──
「んにゃッ!!」
「チッ、レンジ!!【トレジャーエクスプロード】」
俺の足元から伸びた影が下位災獣の首へと伸び、後ろからレア度が凄そうなアイテムが光を放ちながら飛んでくる。
「ッ、【インパクト】【ペネトレイト】!!」
そんな状況でも尚、口を開いて俺を噛み殺そうとしてくる下位災獣へと矢を射り……、
それを最後に大きな音が鳴り響いた。
凄い【炎竜腕】の漢字を【炎龍腕】にしたかった……別物になっちゃうんで出来なかったんですが”龍”って漢字格好良いですよね




