クラン戦10
とうとうですよ……明日です。
皆様、ご予約いただけましたでしょうか?
嘘でも良いんで予約したとでも感想に書いて頂けると僕が勝手に喜びます。
1ッ
「お久しぶりです、レンジさん」
「お久しぶりです、エナさん」
牽制の意を込めてなのか、ナオを中心として集まっている間にエナさんが声をかけてくる。タイミング良く俺のMP回復薬のクールタイムも終わった為それに乗らせてもらったが、知らない女性が一人増えてるな。剣を腰に携えているから近距離物理だろうが……リーマンの様な存在もいるのでまだ何とも言えないだろう。エナさんとの会話を思い起こせば……一人で50層まで攻略するとか言っていたらしいし、強気な性格なのは間違いない。
「んー……お前がレンジか?」
「はい」
足元から頭の頂点まで全身を満遍なく見た後、彼女は楽しそうに笑ってから本人確認を行った。
「いつもウチのナオがお世話になってるし……お礼と言っては何だが、サシでヤらないか?」
「……お礼?まあ出来るのならば」
「え、ちょ、待ちなさいよハク!貴方一人じゃ勝てないって!」
少し会話しただけでも分かるような戦闘狂らしさ。ルトさんよりも分かりやすく出ているその表情は、純粋に俺と戦いたい様に見える。出来るのならば7人同時相手よりかは一人ずつ減らしたいのは間違いなかったのでミウさんのその言葉は邪魔にしかならない。
「連撃王、レンジ。いざ」
「ほら、レンジも乗り気なんだ!剣闘王、ハク。推して参──」
「ハク、ストップ」
「む……まあナオが言うのなら仕方ないか」
だからこそハクさんを乗せられそうな言葉を選んだのだが、ナオの軽い口調によって思惑を潰された。……戦闘狂ならばナオ程度の言葉は突っぱねて向かってこいと思わなくも無いのだが、まあ固定パーティを組んでいるのだからそんな衝動的な行動は許されないのだろう。
「……一人なんか威嚇してるけど」
しかも、俺じゃなくてハクさんに。ミウさんが何の意図で威嚇してるのかは何となく前回パーティを組んだ時から察しているが、ハクさんはそうは見えない。まあ仲間内での不和は今の俺が望む所だ。
「あ、レンジへのダメージ量が一番多かった奴にはこれあげ──」
「【スタークラッシュ】」
「【マナブレイド】!!!」
「──るぞ?……」
「あっぶな!?」
ナオが掲げた耳飾りを見て目の色を変えて俺へと突っ込んでやばそうな技名で全力攻撃をしてきたハクさんに、ハクさん諸共俺を殺そうとしたミウさんの謎の失念に恐怖を覚えてナオにそれが何か聞いてみるが……、
「一人で90層ぐらいに行ってた時に虹宝箱から出た耳飾り。前衛用だから折角だしどっちかに使ってもらおうかなって」
「鬼かな?」
90層。俺は50層にすら到達していないのでどのレベルかは分からないが、30層の銀ですら高品質な盾が出てきたのだ。あの耳飾りが相当の価値が有る事など容易く想像できるし、それを二人がガチになって狙うのも頷ける。だが、俺は巻き込まないで欲しかった。
「……鬼だな」
「やる気になって欲しかったからな。レンジが勝ったらあげようか?」
「いや、いらん」
「だよな」
俺がそんな物を貰ってもVITの低さからそもそも装備すら許されない可能性も高く、姉の元へと横流しになるのは間違いない。だから、ナオに貰っても困るだけなのだ。……ガチな二人に恨まれそうだし。
「【ファランクス】【ロイヤルガード】!!」
「【剣闘王の誓い】!!」
「じゃあ、俺も【隠密】【気配隠蔽】【気配遮断】【魔力隠蔽】【魔力遮断】」
「あ……すまんナオ【テンスアロー】【インパクト】【ブラスト】」
「うおぉぉおぉぉっ!?!?な、なんで場所が分かんだよ!?」
何故と言われても……精霊に教えて貰っただけだ。俺は何処にいるのか全く分からなかったが、精霊達全員が同じ方向を指差していたのでそちらを撃っただけなのだ。教えてくれた精霊達には感謝しているが……耳を引っ張って知らせてくるのは止めてほしい。
「ッ!」
「【サンダーレイン】」
「……【ウィンドスラスト】」
「【ペネトレイト】【インパクト】【チェイサー】」
「んんぉっ!?【テンスアロー】【ブラスト】!!」
「【ヒール】」
動きを止め、一撃必殺をするのか知らないが構えだしたハクさん、ミウさんを視界の隅に収めながらもナオに心の中で謝っていると、横から重ねるようにルファさんの【ウィンドスラスト】、ハルトさんの【サンダーレイン】、麻友さんの攻撃が来たので目前で20本の矢を最大火力で爆破させる事で対処する。その対処の仕方のお陰かルファさんにダメージを与える事が出来たのだが……エナさんから狙うか。
「【クイック】【チェイサー】【ペネトレイト】」
「はっ、俺がエナへの攻撃を許すわけがないだろ!」
おぉ……ハクさんとミウさんのヘイト、全部持ってったぞ。
何なら嘘本当に関わらずその数分毎日更新を……出来たら良いなぁ。




