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暗闇でのクエスト発生

「んじゃ、少し行きますか…」


 まだ眠くはないので、多分出来るであろう、グラスラビット吹っ飛ばしゲームをやりに行く事にした。あの時のレイナさんのステータスに負けている所は無いはずだから、出来ない理由がない。正直言わせてもらうと、あれには凄い浪漫を感じたのだ。なんか格好良い。理解してもらえないかもしれないが、やってみたいと思うのは仕方がない事だろう。


 すぐに南の門の前に転移し、外に出ると、相変わらず北とは違って過疎っていた。

そして、誰も追いかけてなさそうなグラスラビットを見つけた為、吹き飛ばしてみる事にした。


「…いけっ」


 もうここのグラスラビットでは外す事は無いと確信できていたため、特に気にする事無く撃ったところ、案の定グラスラビットは吹っ飛んだ。


「やべぇ面白ぇ…やべ、弓しまおう」


 死んでいったグラスラビットには申し訳なかったが、とても面白かった。ただ、急に吹っ飛んだグラスラビットを見て、誰がやったのかを確認しようとしてなのか、周囲を見渡すプレイヤーが数人いた為、慌てて弓をストレージにしまうことになった。


 その内の一人が、何を求めてかは知らないが、此方に近づいてきた。


「なぁ、お前今来たでしょ?さっきの誰がやったか見てなかった?」

「すみません。見てませんでした」


 咄嗟にそう答えてしまった。別にバレても構わないのだが、誤魔化せるなら誤魔化しておこう。ただ、誤魔化すなら、今日はもう弓は使わないほうが良いだろう。今日はもうやることが無くなってしまった。


「…そっか。まあありがと。……お前武器なに使うんだ?ここはAGI値が低いと戦うことすら出来ねえぞ?」


 心配をしてくれているのは有り難いが、余計なお節介である。これは、戦うことすらせずに帰った方が良さそうだ。


「どうやら戦うことすら厳しそうなので別の方向に行く事にしますね」

「?どうせなら試していったらどうだ?ここのグラスラビットは逃げる事しかしないから死なないぞ?」

「いえいえ、大丈夫ですよ」

「そうか、余計な事を言って悪かった」

「いえいえ。アドバイス有難うございました」

「んじゃ」


 もう少し絡まれるかと思ったが、あっさりと終わった。

そして、俺と会話を終わらせてからすぐにグラスラビットを狩り始めた。

 よく考えれば、俺は完全に初期装備である。だから、それを心配してくれたのではと考えることにした。


「どうするか…」


 正直リアル時間を考えると、もう落ちても良い時間帯だが、もう少しやりたいという気持ちも有る。

 だが、やることも無いため落ちることにした。


 落ちてから、やることをとっとと終わらせ、攻略情報の様な物を見てから眠ることにした。

 最前線では、第二の街についてギルドを作っていたりするらしいのだが、正直、当分の間は第二の街には行けないだろう。





※※※※※※※※※※




 朝起きて、いつも通りの時間に学校に行くと、案の定尚康に話しかけられた。と言っても、軽く攻略状況とかを話しあったりしただけだ。

 尚康曰く、現段階では第二の街には数千人〜1万人程しかたどり着いておらず、クラン数もそこまで多くないらしい。【瞬光】はその中でも独走状態で、クラン員50人全員が精鋭らしい。クラン階級というものが存在して、上げれば上げる程、所属可能人数などが増えていく仕組みで、50人はクラン階級2の限界人数らしい。

 今日は学校ではやることも少ない為、早々に終わらせて家に帰ることが出来た。


 家に帰った時は大体11時ぐらいで、姉が帰ってくるのは午後になってからだ。昼ごはんは自分の好きなタイミングで食べる事が出来る為、お腹が空いていた事もあり、すぐに食べて【Trace World Online】にログインした。


「暗っ」


 ゲームの世界の時間は、現実の2倍の速度で進んでいる為、今の時刻は23時ぐらいだ。そりゃ暗いだろう。もしかしたら暗視を取ったほうが良いかもしれないが、SKPが無い為取ることが出来ない。現実では平日の昼間な事もあるのか、昨日に比べ、全然人がいなかった。

 これならば。と考え、北の門まで転移した所、実際に昨日に比べれば全然人数は減っていたが、それでも昨日の南の門よりは多い。それに、暗視を取っていない為、見づらいところもあった。まあ、目関連のスキルを沢山取っていたお陰か、所々プレイヤーが明かりを持っていたお陰かは知らないが、見づらいと言うだけでそこまで問題は発生しなかった。


「行けるか…?」


 人数的にはフリーになっているグラスラビットが所々にいるし、暗いお陰であまり目立つ事は無く出来そうなのでやる事にした。尚康曰く、各フィールドで20体ずつグラスラビットを倒せば特殊クエストが発生するらしいのでそれを目指してやっていこう。


 プレイヤーに当てないようにすることやプレイヤーと戦闘になりそうなグラスラビットは狙わないようにしたりしながらやっていくと、20体倒すのに20分ぐらい掛かってしまった。まあ、一体一分だ。

 それから、ボス戦に挑むこと無く東の門、西の門を移動も合わせて1時間程で終わらせると、確かに尚康が言っていた通りに、


====================

特殊クエストが発生しました。

『グラスラビット大討伐』

クエストの達成条件は、

始まりの街東草原でグラスラビットを討伐。

0/30

始まりの街西草原でグラスラビットを討伐。

0/30

始まりの街南草原でグラスラビットを討伐。

0/30

始まりの街北草原でグラスラビットを討伐。

0/30

です。

====================


クエストが発生した。


「おぉ」


 今のゲーム内時刻は0時をまわったあたり。暗いが【遠距離物理】である俺が、周りに影響されずにこのクエストを達成するのにうってつけな環境なので、頑張ってクリアすることにした。


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