ソロ第二予選2
ご飯中は読まないでください……。
注意したから、注意したから……!!!!
「一言言わせてください!これから俺は回りますけど巫山戯てるんじゃないんです!!」
「んー……?」
二試合目、一度待機室に戻されてから再び転送された瞬間に大真面目な顔でそんな事を言われた。目の前に立っている俺と同年代のように見える少年。頭にはイエス・キリストを思わせるようなトゲトゲした輪の様な物をつけ、肘と膝、足など様々な所に短剣が取り付けられていた。持っている装備も鎖鎌の様な見たことがない装備で……全くわからない。
「独楽って良いですよね」
「……独楽?」
プレイヤーネーム、独楽。流石に自画自賛では無いと思いたいが、先程のプレイヤーの事を考えたらそのぐらいならする人がいそうなので一概にも否定できなかった。ただ、そういった感情が表に出ていたようで……。
「あ、俺じゃないですよ?あのクルクル回る独楽ですよ。ほら、クルクル回ってクルクルな気分になるやつです」
「……」
「いやー、スピンスラッシュっていうクルクルが有るんですけど……クルくないですかぁ!?」
「ごめんなさい」
鎖鎌をクルクル回しながらクルクルクルクルと連呼する独楽さん。力強い感情がこもったそのセリフは、理解できなかった事を謝らなくてはいけないような気分にさせられる。まあ、謝っても気持ちが分からないのには変わりないのだが……。
「朱雀さんに、専用スキルまで貰ったんですよ!語ったら少し見ただけでスキルくれたんですよ!!」
「……少し見ただけで?」
「はい!!もう、『もう、良い』とか言われちゃったんですけど、折角だから語り続けたんですよ!そしたらくれました。まだ語りきれてないんでいずれもう一回行きますけどね!」
「へ、へぇー……」
朱雀を根負けさせられるレベルの愛。しかも、俺のように舐めプをされた訳でも無さそうなので……俺より強い可能性が…………?可能性……、熱意は絶対に負けてるな。……朱雀、頑張れ。
「じゃあ、行きます【独楽の理】!!」
「……えぇぇ」
【独楽の理】と言った瞬間に独楽の真下に現れた武装した独楽。……もちろんプレイヤーが上でおもちゃが下なのだが、独楽は独楽に乗って一緒に回り始めた。独楽の独楽に対する愛の強さは痛いほど伝わったのだが、独楽さんは独楽と一緒に回って酔ったりは……いや、クルクルな気分にはならないのだろうか。
……?あれ、変な気分になってきた。
「攻撃しますよぉぉぉぉォオオォオォオォォォ!!!」
「何そのリバ……竜の息吹!?」
やばい技だ。これはやばい技なのは間違いない。恐らく光属性の竜の息吹なのだろうが……何処からどう見てもキラキラエフェクトで、それが独楽を中心に全方位に撒き散らされている。それと一緒に鎖鎌もクルクル飛んできているのだが、それよりも精神攻撃という意味でキラキラエフェクトの方がダメージ量は大きい。
リーマンに見せられた火竜の息吹とは比べ物にならないクオリティのキラキラ。
「近づきますよォロロロロォォォ!!!」
「え、ちょ、途中にやばいの混じってる!?」
超高速で、もはや複数の顔からキラキラを放っているように見えるレベルでクルクルしながら俺へと近づいてくるダブル独楽。
「リアクション良いですね!!朱雀さんは無反応だったんですよ!」
回転している所為か少し声が不思議な事になっているが朱雀も無反応……人間味有るな。それは多分唖然としていたか呆れられていたかのどちらかだと思うのだが……阿修羅に見えてきたぞ?手が全く動いていない為……いや、口や瞼すら動いていないのだがどう喋ってる?
「これ、良いですよねぇェェエヱヱェェ!!!死ぬまで肉体動かせないんですけどォォロロロロロォォオ!!」
「りょ、【領域射撃:攻殺陣】」
「その技はぁぁアぁァぁ……防げまぁぁぁぁあああロロロロロロ!!!!!」
「いや、え、まじ?」
鎖鎌など、全身の装備が次々と矢を粉砕していく。膝や肘、腹、独楽など様々な所に短剣が取り付けられている事を考えると迂闊に近づくことすら出来ないだろう。
って。
「リバースにクールタイムは!?」
「回り続ける限りクールタイムなど存在しませんよオォォロロロロロ!!!!2つの意味で!!」
「……【独楽の理】と三半規管?」
「真面目な返答おやめくださぁぁぁぁあああいぃぃいいい!!!」
「いや、上手いと思う……うん」
「ロロロロオロロロロロロオロロロ」
しかし……攻殺陣を防がれたとなると攻撃手段が本当に限られてくる。まあ爆発させれば何とかなる気もするのだが……独楽さんとの距離が近すぎて俺も被弾しかねない。
「実はお昼にお野菜を食べましてェェエエ!!!……オロロロロォ!!!」
「いや、そういう遊び心いらないから」
「あ、固形物がこみ上げェェェエエエエエ!!!」
「そういう遊び心もいらん!!」
風竜の息吹の後は土竜の息吹……こいつ、遊び心しかねぇ……。
クルクルクルクル──




