イベントソロ予選3
衝動的にやった事ってだいたい後悔しますよね。
なんか暇だし更新回数増やそうかな……。
「チッ、邪魔なのから先に倒してくか」
「そうだな。あの魔法さえこなければ言質を取れていた……ではなく、良い返答を貰えたかもしれたというのに」
「本音漏れてるぞおい」
上から降ってきた隕石を片や剣で斬り裂き、片やレイピアとなにかのスキルで頭上で爆破させた二人。リーマンは【遠距離魔法】だと思っていたのだが、剣の扱いからして【近距離攻撃】の可能性も出てきた。
まあそんな事より、
「……今なら二人共倒せる気がする」
俺に背を向け、森の方へと視線を向けているリーマンにクヌギ。やりたい、凄く殺りたい。流石に後ろから攻撃するのは卑怯と言われてしまえば何も言い返せないので、こう、偶々攻撃の巻き添えになっちゃいましたみたいなのをやりたい。
「……後ろからの殺気がエグいんだが」
「戦略的攻撃ッ!」
「あ、おい一人だけ逃げてんじゃねえ!?」
「私は魔法使いを倒しに行くだけだ!」
「……」
「あ〜……レンジ、さん?」
「リーマンさんって」
「突撃ィ!!」
【遠距離魔法】か【近距離攻撃】か聞こうとしただけだと言うのに、最後まで話を聞かずに森に突っ込んでいったリーマン。
俺が一人になったのをチャンスだと思ったのか、突撃してくるプレイヤー達も多く、
「【領域射撃:防殺陣】……さっきの見てなかったのか?」
それ故に【領域射撃:防殺陣】の効果が存分に発揮される。俺、リーマン、クヌギを倒さないと第二予選へと進む枠がほぼほぼ無い事に気づいたのかプレイヤー達はいがみ合う事無く俺を倒しに来るし……MPがキツイな。
二度目の【領域射撃:防殺陣】はしっかりと牽制になってくれたようだが……今の残りMPは4000ぐらいしか無い。もう一度撃つ事は出来るが、リーマン、クヌギを倒す為には取っておきたい。MP回復薬での回復量は2000を越えているが、クールタイムもその分長いのでまだイベントが始まってから2回しか使えていない。
「……上手く集めて全キルしないと」
あと1分ぐらいでクールタイムが終わるが、それまではMPをなるべく消費したくない。ちまちまと削っていくしかないのだ。
「【テンスアロー】……は大体防がれるか」
20MPを消費し、【テンスアロー】を使ってみるが簡単に防がれてしまう。一応先程の【領域射撃】で10人近く倒せたから残りのプレイヤーは10人程なのだが……全員突っ込んできてくれないかな。
本当に、先程背中に向けて【領域射撃】を使わなかった事が悔やまれる。
「……」
周囲のプレイヤーが包囲陣の様な物を作った後、動かなくなってしまったので膠着状態に陥る。おそらく、俺とリーマンとクヌギの三つ巴状態に漁夫の利をかけようとか考えているのだろうが……あの二人だと周りから倒していきそうだな。キル数を取られたくないし、俺から倒しに行くしか無い。
まずは、
「三人から。イム、頼む。【サウザンドアロー】」
2000本の矢が風精霊の効果も合わさって三人の元へと均等に飛んでいく。MP消費量は……2200程か。
「【ペネトレイト】」
重盾使いが何とか対応できてしまっているのが見えたので、700本近くの矢の対応に追われている間に影からヘッドショットを決めて倒す。その後、包囲陣が崩れたからか慌てているプレイヤーを横目にMP回復薬を飲んで……
「【ペネトレイト】」
一番慌てているプレイヤーに再びヘッドショットを決める。頭に決めさえすればHPに関係なく倒せるのは本当に楽で助かった。深層だと頭飛ばすぐらいじゃ倒せない敵も多々いたからな……。
「うぉっ!?10人以上減ってんじゃねぇか」
「あ、早かったですね」
「同僚だったから退いて貰ったんだよ。まあ喧しかったから強制的にだがな」
「私がいたのだし、倒せない理由もない。で、レンジ。どうだ?」
強制的に……?
「協力しなくてよかったんですか?」
「ん?あ、俺か?あの派閥煩えしいらん」
「陰から攻撃してくる奴とは組みたいとは思わんな」
「へぇー……」
派閥なんて有るのか。ゲーム内でまでそんな面倒臭そうな事をしてるなんて本当に楽しめてるのか疑問に思ってしまう。あと、クヌギの発言が地味に心に突き刺さった。レベリングとかで沢山陰から攻撃していた身としては肩身が狭い。
「で、教えてくれないのか?ならもう戦いたいんだが」
「まあ待て。個人契約の方を優先させろ」
「リーマンさんの方向性ってなんですか?」
「あ?普通に【遠距離魔法】だぞ?」
「剣上手いですね」
「そりゃ火竜で適正上がっ……今の無し」
「……それは無理が有ると思うぞ」
「情報ありがとうございます」
火竜か。火精霊では剣の適正は上がらなかったので竜、精霊では上がる適正に大きな差が有りそうだ。この感じだと獣にも何か特徴がありそうだしそこら辺は気になるな。レイナさんとユウさんに聞けば両方分かるか?今なら精霊に関する事は大体公開しても良いと思ってるし……後で聞いてみよう。
「で、個人契約の方なんですが後で詳しく聞かせてください」
「了解した」
語る事も無くなったので後ろに飛び退き、弓を構える。クヌギも同じ考えに至っていたのか、後ろに飛び退いてレイピアを構えた。周囲のプレイヤー達も数が減ったからか動いていないし……
「【ハンド」
「【エンチャ」
「ちょっと待ておい俺の質問にも答えろや!?」




