お昼ご飯
プリン「とうとう、高校生活始まったみたいだね」
コーヒー「とりま、書く時間が減る&大賞のやつに専念したいから二週間に一回にするって言ってたぞ」
ゼリー「そんなんで、いいのか?てか、俺たち忘れないかな?」
プリン「それは、ないでしょ。だって、このあと登場するキャラクターが出なくなるから困るでしょ」
コーヒー「……それってあいつか?」
ゼリー「あいつだな」
プリン「あのお方だよ」
予想通り杏が、お昼ご飯を作ってくれた。う〜ん! いい匂い! ぐるぅぅぅとお腹がなった音がした。
匂いと記憶を頼りにメニューを推測してみる。目をそっと瞑り鼻から大きく息を吸い込む。ふむふむ……。この香ばしい匂いは、杏が焼いてくれるとても美味しいパンだ! 腹持ちをさせるため少々固くて食べにくいが、味は本物だ。
もう一度鼻から息を吸い込む。パンの匂いに混ざってパンとは別の食欲をそそる匂いがする。……うーん。これは…魚? 塩焼きにした魚らしき匂いがする。
閉じていた目をゆっくり開く。うん! 大正解!! 木製の平皿にのった杏特性のパンと口からしっぽまで、一気に串が刺さった魚がお皿がわりの大きな葉にのせられテーブルの上に並べられていた。魚は、全体的に黒く焦げている。
「塩漬けにしてた魚が余ってたからぱぱっと焼いたの。人数分余っててよかったわ」
杏は、ヨーちゃんと会話しながら席に着いた。
丸太のイスは、全部で六つ。ゼリーたちと私の分がちゃんとある。
座る席は、なんとなく決まっている。テーブルは、ほぼ部屋の真ん中にあり丸い。席順は、入口から時計回りにプリン→コーヒー→ゼリー→私→ヨーちゃん→杏となっている。
兄弟の長男であるゼリーと彼らの主である私は、入口から一番遠いところに座る。
男が3人、女が3人。だから男と女が向き合うような形になっている。
……正直、主である私をバカにしたアイツ(ゼリー)を見ながら食事をするのは嫌だ。まあ、私は、とっても優しい天使のような主だから、我慢してあげるけどね!
「っえー。リトス切ったぞー」
ゼリーが、半分に切ったリトスの実を背中に乗せて入ってきた。続いてコーヒーが入ってくる。
「明日にでも宝石に変えて街に売りに行こうぜ」
なに!? 街に行くのか!!
バンッと強くテーブルを叩いて勢いよく立ち上がった。乗っていた料理が地味に動いた。……手が痛い。いや、それよりも!
「はい! はい、はーい!! 私も行く! 街に行く!!」
右手をピンっと伸ばし、身を乗り出しながら言う。
「…………杏、腹減った。早く飯にしようぜ」
ゼリーがガン無視して杏に話しかける。
「おい!! コラ、ゼリー!!! 主であるこの私の発言を無視するとは何事だ!?」
「お、落ち着いてプランクトン……。兄さんは動揺してるんだよ。前のプランクトンだったら『人の多いところなんて絶対行かない!!』って言っていたから!」
プリンが私をなだめようと口を開く。
「ふっ……安心しろプリン。俺は、動揺などしていない。あえて無視をした」
「おい、コラ!ゼリー!!!この野郎!」
次の瞬間、私の隣から恐ろしい寒気を感じた。
おそるおそる隣を見る。ヨーちゃんがいつもと同じ表情でゼリーを見ていた。
「お、おい、ヨーグルト……殺気を出すなよ。兄貴だって、本気で言ってるんじゃないから……」
コーヒーがゼリーをフォローするように口を開く。
「わぁー。姉さんが怒ってるところ久しぶりに見たわ」
杏が静かに呟く。
……ものすごく気まずい空気が約三十秒ぐらい流れた。……三十秒ってね、一瞬だけどこんな風に重たくて冷たい中だと千年の時のように感じられるんだよ。私も今知った。超怖い。
「兄さんはもう少し、プランクトンが私たちの主だってことを認識してよねっ!」
「……あぁ、分かったよ」
ヨーちゃんが口を開いてくれたおかげで重い空気にヒビが入った。そのヒビから忘れかけていたご飯の匂いがする。
「はぁ……。料理が冷める前に頂きましょ。コーヒー兄さん、リトスをこのお皿にのせてちょうだい」
ヨーちゃんは、大きなため息をつきコーヒーに指示を出した。
「わかった」
素直に答えるコーヒー。平然を装っているようだが、かなり動揺していることがわかる。お皿を受け取るときイスにぶつかってたから。
「それじゃあ、いただきます!」
「「いただきます!」」
杏が食べるときの合図を言う。私を含めた皆が同じ言葉を繰り返して食べ始める。
『いただきます』には、食事となっている生命に感謝し、その生命を頂戴します。という意味が込められているそうだ。たった六文字に、こんな深い意味を込めるなんて素晴らしい。
さて、私も食事を始めよう! まずは、魚から手をつける。木製のホークを右手で握る。目が白くなり、少し皮が焦げている魚にブスりとホークを刺す。
記憶だとこの魚は、骨が柔らかく頭からしっぽまで丸呑みにできる。前にいるゼリーの魚がのっていたお皿には、頭もしっぽも残ってない。私の記憶は間違ってないようだ。
「あ〜んっ!! ……んっ! ん〜んっ! おいしい〜!」
私は、頭からお腹のあたりまで一口で食べる。薄い皮は、パリッとしていて温かく、塩が効いた身が口の中でほろほろとくずれていく。
どうやら、この魚お腹のところに卵を持っていたようでオレンジ色のつぶつぶが断面から見えている。口の中にも卵があるようで、つぶつぶとしたものが舌の上をころがっている。
一旦、口の中のものを全て飲み込んだ。口の中に魚の味が残っているうちにパンを食べる。
硬いパンを噛みちぎり、味わうように何度も噛み締める。パンの甘みと魚の味が絶妙にからみあっておいしい。
手元のパンを見るとまだ、三分の二ぐらい残っている。魚は、あと半分。残りの魚を一口で食べてるか……それとも魚を少しずつ食べて最後までパンと一緒に食べるか……。
よし! 私は、パンを約三分の一噛みちぎり単独で食べる。パンだけでも美味しいが魚があると三倍美味しいな。
パンを飲み込むとさっきと同じように魚を食べて、パンを食べる。
私が食べ終わる頃には、他のみんなも食事を終えていた。
食器代わりに使っていた葉は、かまどに放り込んむ。お皿は、水瓶の水でちゃちゃっと洗う。
自分が使ったものは、自分で洗うのがルールなのだ。
洗った食器は、コーヒーに渡す。コーヒーがお皿を片付けに行く。これは、当番制らしい。ただし私を除く。これは、部下の仕事らしいから私は、見守ることにする。
「プランクトン。街に行くのは、全然いいけど、飛べると便利だから飛び方の練習しようか」
プリンが声をかけてくれる。
よし! 空を飛ぶぞ! そして、街に行ってヒトらしいことをするんだ!!
私は、張り切ってドアを開け外に出た。草花の香りがする春風がふんわりと私を包み込んだ。
杏「あら、あらあら、リトスの実いらないのかしら?」
ヨーちゃん「練習の差し入れに持っていけばいいんじゃない?」
杏「そうね。今のうちに盛り付けちゃいましょ!」
ヨーちゃん「このお花を飾るのなんてどお?」
杏「さすが姉さん!! センスいい!」
ヨーちゃん「あら、これ、さっきゼリー兄さんがあなたにプレゼントした花よ。それと、このプリンがプレゼントしてくれたハルタマを飾って……ほら!」
杏「やっぱり、私たち兄弟は、美的センスに長けているわね!」