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初めての成功

前回の誤字すいません。

余裕が出来たら挿絵を描きたいな。

 天使、エルフ、人魚、妖精、悪魔、死神などなど……。この世界には、沢山の種族が存在し、共に生活をしている。

 これこそまさに、皆が思う異世界だ。美しく、ときに恐ろしい世界。夢と希望に満ち溢れてる世界。

 森を歩けば妖精たちが歓迎し、空を見れば天使やドラゴンがのんびりと舞っている。海に行けば美しい人魚が、歌を歌い歓迎する。


 こんな世界に生まれてこれたら幸せだろな。


 きっと、君は今そう思ったよね?


 だけど、覚えておいて。どんな世界も、いつだって残酷だ。こんな世界なんだ、転生すれば自分も当然美しい種族に生まれるだろう。


 心のどっかで思っていないかい?


 私もそう思ってた。スタイル抜群で、みんなから羨ましがられるような美貌を手に入れることが可能だと。

 もし本当にそんな姿に転生していたら、私は今こんなにも絶望し、叫びたい気持ちには、ならないだろう。


 だから私は今思いっきり叫ぶ。ありったけの声を振り絞り、気持ちを声に出す。

「な……なな……ななんじゃこりゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!」


 このままではいつまでたっても話が進まないので、私自身が落ち着くためにも私の身に起こって話をしよう。

 とりあえず、今朝の出来事から話そう。


「ぐぅぅぅぴぃぃぃぃぃぃ……」

 いつも通りの朝。私は、目覚ましがもう、3回もなったのにまだ寝ていた。時期は春。暑くもなく寒くもないほどよい気温。

「うがっ!!」

 私は、やっと目が覚めるとゆっくりと部屋を見渡した。

 あれ?ここ……どこだっけ?

 不思議に思いまばたきを何度かした後、はっと目を見開いた。今、自分が見ている世界が本物だということを確認する。胸に何かあついモノがが込み上げてきた。自分でも顔の筋肉が動いたのが分かった。誰がみていたらきっとこういうに違いない。〈まるで小さい子が欲しかったお菓子をやっと貰ったかのように悪意のない笑顔を浮かべていた〉と。私の周りに花が咲いたかのようだった。

 幸せを噛み締めるかのように何度か部屋を見渡した。この幸せを確かめるかのように少し涙を浮かべながら私は、何度も頷いた。

「やった……やっと成功したんだよ…………。……フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!成功した!成功したんだよ!やっと、やっと望む転生出来たんだ!」

 嬉しさのあまり、私はベッドから転げ落ちてしまった。

 ドンッと鈍い音がしたが、そんなことを気にすることもなく、小躍りを続けた。

「あ!そうだ、何か姿を映すものは無いかな?えっと……たしか、鏡っていうやつ」

 キョロキョロと部屋を見渡し、今ある記憶を頼りに鏡を探し始めた。

「おっ、あったあった!さてさて〜どんな姿になってるか……なっ!」

 鏡を覗き込んだ私は、石になったかのようにしばらく固まった。きっと……きっとコレが絶望と言うのだろう。

 部屋から音が一切なくなった。

 どのぐらい経ったのか分からなかったが、フッと金縛りが解けたかのように私は声を振り絞った。大きく息を吸いこみ鏡の自分と目を合わせ今の気持ちを言葉に表した。

「な……なな……ななんじゃこりゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 鏡に映っていたのは二等身のちんちくりんだった。寝起きということもあり、長い黒髪はボサボサ。口の端からはヨダレが垂れている。

 自分の予想外の姿に驚いて黒い目をぱちくりさせている。

「なぜ、何故なんだ……?こ、この世界には天使やエルフやたくさんの美しい種族がいるはずなのに……。なぜ七等身どころか、五頭身すらないのだ……?」

 絶望のあまりしばらく鏡の前から動けなくなった。

「いやしかし、少し待て。今は寝起きなんだ髪だってボサボサじゃないか。これを整えれば、案外素敵になるかもしれん」

 近くの棚に置いてあったくしとひもを取り、一通り髪ををまとめた。強引に口の端のヨダレを取り、もう一度鏡の前に立った。

「……やはり、変わらない」

 当然と言えば当然だが、私のちんちくりんの姿は全く変わっていなかった。ボサボサだった髪が少し整っただけだった。多少は良く見えるが、天使やエルフとは程遠い姿だった。


「仕方がない……諦めよう。それに、これまでと比べたらまだいいほうじゃないか」

 10分ほどあれやこれやと、鏡の前でポーズをとったりしてみたがとうとう諦め、今の現状を受け入れた。

「お腹もすいたし、朝ごはんにするか」

 気持ちを切り替え、朝ごはんにしようと部屋を見渡す。

「改めて、部屋を見ると、なかなかいいところじゃないか」

 部屋や家具は木でできており、こじんまりとした可愛らしい部屋だった。

「妖精の部屋……とでも思えば、ここもなかなか悪くはないな」

 部屋の中は、最低限の家具しか置かれていなかった。ベッド、クローゼット、椅子、机、全身が映る大きさの鏡しか置かれていない。

 私は、身体に残っているここでの生活を一通り思い出した。


 記憶によると、この家は二階建てで食料は、一階にある。ここは、二階の部屋のため部屋の隅に空いている穴からハシゴを使い降りなくてはならない。


 一階も二回と同様、必要なものしか置かれていなかった。調理場と水瓶(みずがめ)、キノコのようなテーブルと丸太の椅子。

「いろいろと文句を言いたいが、お腹がすいては何もする気がおきないな。考えるのはとりあえずよそう」

 心に湧き上がってくる不満を抑え込みなんとか食事を済ませる。


「素材の味だけだったが、なかなかの美味だったな」

 〔食べる〕ということに不慣れな私は木の実だけの食事にも満足した。


 二階に戻り、再びベッドによこたわる。眠いのではない。記憶を整理するためだ。目をつぶり、記憶を呼び起こす。

 まずは、この身体の記憶からだ。この身体には、身の回りのことしか記憶されてなかった。

 身体には、ゼリー、ヨーグルト、プリン、杏仁豆腐(あんにんどうふ)、コーヒーゼリーという五人(?)の部下がいる。これらは、人ではなくそういう名前の食べ物の精霊らしい。

 この身体は、部下から『プランクトン』と呼ばれていた。どうやらこの『プランクトン』というのが私の名前らしい。

 そして、このプランクトン、ほとんどこの家から出たことがなく、〔街〕と言うものや部下以外のものとの記憶が一切ない。あるのは、この辺りの森の地形と食べれる植物とそう出ないものの記憶、動物の狩りや処理の仕方といった生きるのに必要な記憶しかない。

 ここで生き抜く最低限の知識か……。


 次に、魂の記憶。この私は、元々身体というものがなかった。身体が欲しくて欲しくてたまらなかった私は、友達の助言でこの世界に転生した。

 そこでふと思った。その助言をしてくれた友達の顔が全く思い出せなかった。

「転生すれば、記憶は1時的にリセットされるからな……。まだ、全てを思い出していない……ということか……。まあ、いいだろう。必要な記憶ならそのうち思い出すだろうしな」

 体を行き良いよく起こし、もう一度一階に降りる。


 記憶通りならそろそろ、部下達が来る頃だ。















読んでくれてありがとです。

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