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プロローグ

  そもそも、なぜ私は形がないんだろう……。他の生き物には身体(からだ)がある。みんなそれぞれのたった一つのものが。私も欲しい。

  身体が……欲しい。私の身体が。


 単純で馬鹿な私はそう思い、身体を作ろうと思った。他の生き物がそうのように当たり前に持っている身体が欲しいと願い、それを作ろうと思った。

  だが、思いの外うまくいかなかった。飽きっぽいこの私は、何度も何度も挑戦してもできなく心が折れる寸前に友達に相談した。

「そんなに難しいなら、転生すればいいじゃないか」

 涙目の私に、彼は少し笑いながらそう言った。

  実際に目から鱗は、出なかったけど、多分このことを目から鱗と言うんだろう。

  いつもことあるごとに、私に意地悪していく彼が神様のように見えた。


  今ならわかる、それは彼が頭が良かったのではなく、ただ単に私が馬鹿だったのだ。

  分かりやすく説明するなら、ゼロから一を作るのは難しい。だが、一から一を作るのは簡単だということだ。

  つまり、新しい肉身体をゼロから作るのではなく、転生してそれを改良していけばよかったのだ。


 何度も言うけど、この馬鹿な私は早速転生をした。

  だけど、それもあんまりうまくいかなかった。


  転生すれば必ずしも意志を持った生き物に転生できるというのは偏見だ。

  実際、私が初めて転生したのは意志を持たない小さな小さな花だった。しかもその花は、やっと咲いたところを動物か何かに踏まれて、しおれてしまった。

  自然というものは、実に厳しい


 転生している間は記憶を無くすため、私が花になったと分かったのは死んでからだった。

  泣きそうになるよほんと。


  次に転生したのは、よく覚えていないけど、多分陸上の動物だったと思う。生まれてすぐに死んだ。


  次は結構長く生きた。種類は分からなかったけど、鳥だった。雛鳥の頃は良かった、親鳥から食べ物もらっていたからね。でも、巣立ちすると、自分で食べ物取らないと駄目だった。二、三年生きて死んだ。


  しかし、私が求めているのは知性のある動物だ。強いて言うなら、人間。人間に近い生き物なら、なんでもよかったのに、人間にすら転生できないという状態だった。


  「そんなに人間っぽいのになりたいんだったら、人間っぽいのがたくさんいる世界に転生すればいいじゃないか」


 もう一度、友人に相談したところ、今度はそう言われた。確かにその方が今までよりずっと人間っぽいのになれる確率が増える。


  今度こそ、そう思い、私は転生したのだ。


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