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レクイエム・オブ・ギアーズ 第二部 災厄の始まり、その果てに  作者: 舞原涼
第一章 血塗られた運命の先に
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開かれた災厄の箱

「アヴァランチに通達。パンドラが東北に上陸。直ちに殲滅してください」

「了解した」

すぐさま向かう。今のところは海岸に設置したターレットで進行速度を抑えてはいるが、時間の問題だろう。パーソナリティを起動し、最高速度で飛翔する。

その頃。

「ヴァイアラン、ディーヴァに通達。あなたたちの行動範囲内にパンドラを確認。直ちに行動を開始してください」

「「了解」」

二人の元にも指令が下され、慌ただしく事態は動く。

「せいっ!」

ロングソードを振るい、まずは主武装をはぎ取る。続けて背後のパンドラを強襲。機動性を削ぐ。

――イイイイィィィィンッッ――

パンドラから奇妙な音が鳴ると同時。機体の形が崩壊する。

「――ッ!? な、何が……?」

疑問がすぐさま生まれるが、それには構っていられない。樹里亜もあいつらの援護で忙しいのか、通信は入らない。マップを随時確認し、ターレットに反応があるところに向かう。

「はあああッ!」

ロングソードを投擲し、一体のスラスターを砕く。だが、数機が道路を飛び越える。

「くそっ!」

スラスターを吹かすが。

「くっ――!?」

いつの間にか射出されたワイヤーに足を取られる。

道路わきの木々をなぎ倒し、とうとう人家へと――!

「瑞樹、大丈夫!? パーソナリティ、展開!」

マスターのパーソナリティでそれらが崩壊する。――崩壊?

疑問は無視するしかない。残ったパンドラをワイヤーで縛り上げ、主武装とスラスターを完全に破壊する。とりあえずそれらを放置し、別のポイントへ向かう。

その頃――

「ちいっ!?」

固い。固すぎる。これほどまでの装甲はおかしい。ここまで俺の弾丸が通らないとは。

「やってくれるじゃねえか、オリジン!」

なんとかスラスターは破壊できるものの、すぐに再形成され、足止めにもならない。破壊しようとしても弾丸は一切通らない。

「しゃーがねえ、パーソナリティ、……っぁああああっ!?」

いきなり迸る激痛が俺の体を嬲る。これは、一体――!? 徐々に意識が削り取られる。くそ、やらせるかーッ!

「うおおおおっ!」

無理やり意識を引き起こし、目に映ったのは。

「……マスター?」

いや違う。見た目は瓜二つだが、雰囲気が違う。この感じは何といえばいいのか。あのエリズベルよりも濃い闇。そうとしか言えない。

その口が動く。

「パーソナリティ、オープン」

その声はもう、俺には届いていなかった――

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