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「……セカンド?」

「まさかここで出会うとはな、ルシフェル」


 金色の男は瓦礫の上で立ち上がる。

 夕方だと言うのに、真昼よりも明るい光に溢れている。

 その光は、ルシフェルのそれとは毛色が違った。


「うーん。まあセカンドではあるんだけど、この世界ではギルガメシュって呼ばれてたから、俺のことは気軽にギルとでも呼んでよ」


 敵といった感じではない。だが、得体のしれない相手に、気軽に呼びかけることも出来ない。

 だが、ギルガメシュというのは聞いたことは有る。遠い昔の、王様という事くらいだが。


「おいルシフェル、あいつは誰なんだ、一体」

「……神だよ。天使よりも位の高い存在さ。頂には万能神がいて、その分身が如く5人の神がいる。ファースト、セカンド、サード、フォース、フィフス。まあただの順番で、サード以下は全盛期の僕と大して変わらない強ささ。だけど、ファースト、セカンドは桁が違う」


 神。

 天使の上の存在。

 聞いたことは有ったが、実物を見たのは初めてだ。


「あーあー、難しい顔をしないで。別に取って食おうというわけではないんだし。それに、俺の目的はそこのルシフェルと同じようなもんだよ」

「どういうことだ」

「ルシフェルの目的は天界をぶっ潰すことだろう? 俺は神を殺すことさ。ファーストからフィフス、そして万能神さえも、な」

「……だけど、強さ的には君よりファーストの方が強いんじゃないの?」

「……そうだね。でも、今が好機なんだよね。ファーストが、死んだから」

「ファーストが死んだ? 天使にはないのに、神には寿命があった訳?」

「まさか。もっと詳しく言えば、殺されたんだけどね」


 ルシフェルは怪訝そうにギルガメシュの方を見る。


「万能神に楯突いたとか?」

「違う。ファーストを殺したのは、ウィズさ」


 ルシフェルだけではなかった、その場にいた全員が、驚愕した。

 ウィズが強大な戦闘力を有しているのは知っている。

 だが、神を殺したというのは……。


「ああ違う。違うよ。ウィズといっても、この世界のウィズじゃない」

「何を言ってるんだ? 俺の世界にいたウィズなら、とっくの昔に亡くなって……」


 俺が口を出すと、ギルガメシュは俺の方に見る。

 金色の視線が、俺を貫くように向けられた。


「君は、異世界から来たんだな。一つ、言っておこう。君たちが知っているであろう、始まりの魔女が生まれたあの時、世界は4つに分岐した」

「……4つ?」

「そうさ。ウィズが魔力を得た世界、得なかった世界。ウィズが加藤一と出会った世界、そして、出会わなかった世界」

「加藤一と?」

「そう。知っての通り、ここは加藤一と出会い、魔力を得た世界だ。そしてそこの君が元いた世界は、ウィズが加藤一と出会い、魔力を得なかった世界。だがもう二つ、分岐した世界がある。まあ一つは何て事の無い、ウィズが加藤一と出会わず、かつ魔力を得なかった世界で、ウィズはすぐに死んだ。だがもう一つが問題だ」


 ウィズが加藤一と出会わずに、かつ魔力を得た世界。


「神にとって、加藤一はいわゆるストッパーさ。暴走するウィズを抑え込むためのな。だがその世界では、ストッパーはおらず、ウィズは魔人に留まらず、魔神となったのさ。ファーストを、いともたやすく殺す程に」


 魔神。人を超え、神となった存在。

 それがどれほどの事かは分からない。

 しかし、この目の前にいるギルガメシュを超える者を殺すという程の存在というのであれば、それは確かに神と呼べる存在であるだろう。


「まあそんな難しい顔をするな。仲間になってやる、と言っているんだ。他にも有用な情報をくれてやるぞ?」

「そりゃあまあ、セカンドが仲間になってくれると言うのなら心強くはあるけどね」


 しかし、ルシフェルは是とも非とも言わなかった。

 判断は、全て魔王であるベレッタに委ねられる。

 ベレッタは怖気づくこともなく、ギルガメシュの目を見る。


「一つ質問があるわ。あなた以外の神を殺して、あなたは何がしたいの? 一番上に立って、好き放題やりたいだけ?」


 ギルガメシュは、ベレッタの問いに少しだけ口角を上げた。


「半分正解だ。俺は以前、一度だけ人としてこの世界で生活してきたが……楽しかったよ。あんな堅物な万能神から生まれた世界だとは、到底思えなかったね。あれから2千年ほど経って、少し今の世界も観察したが更に面白くなっていると思ってな。それを万能神の思うがままに制御されちゃあ、つまんないからな」


 ベレッタは、ギルガメシュから目線を離さない。

 嘘か本当か、見極めようとしている。


「もし、断ると言ったら?」

「んー、エーベルハルトとか言ったっけ? 魔神にとっての目の仇なんだろう? あいつは俺が殺す。まあ殺せるかどうかは別にしてね。本当は君の手で殺したいんだろう?」


 瞬間、ベレッタの魔力は増幅した。

 表情さえ変わっていないにしても、身に纏っているオーラが違う。

 しかし、それでも。


「残念だけどベレッタ、それじゃあセカンドには敵わないよ」

「……くっ」


 そして静かに、ベレッタの魔力は沈静化していく。


「分かったわ。取りあえずの協力者として、手を結んであげる。で、さっさとその有用な情報とやらを言いなさい」

「いいだろう。さっき言ったサード、フォース、フィフスの3神はな、すでにエーベルハルトに取り込まれている」

「……は?」


次回は8/30くらいに更新します

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