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風が吹けばお風呂でハプニングで桶屋が儲かる

 でかい屋敷だ。

 コルトの自宅を見て思ったことは、その一言に尽きる。


「あらあら、まあまあ。カトラス様はともかく、そんな年頃の男の方と一緒に帰ってくるなんて。羨ましいわねえコルト」


 コルトの母親だろうか、屋敷に足を踏み入れた瞬間、優しそうな女性が出迎えてくれた。


「久しぶりですわねお母様。会って早々娘に嫉妬なんて、はしたないですわよ?」


 そうは言いつつ、コルトは嬉しそうな表情を見せる。

 空気と言っていたはずだが、中々にキャラが濃い母親じゃないか。


「でもでも、私だってコルトの歳には、もうパパと出会っていたのよ? 嫉妬しちゃう?」

「別に、ちっとも羨ましくありませんわ」

「えー? まあいいわ。今夜は私が腕によりをかけてご馳走を作るから、風呂にでも入って待ってくれるかしら、ルークくん」


 そう言うと、コルトの母親は近づいてウインクをする。


 コルトの母とは言え、お世辞でもなく20代くらいに見えるし、なんかスタイルもい

「ルーク? さすがのわたくしも引きますわよ?」


 俺の思考を遮って、コルトが脇腹を小突いた。

 だって仕方ないじゃん、凄い良い匂いしたんだもん。


「ほらほら、やっぱりコルト嫉妬した」

「してませんわ! 大体、ご飯も炊けないお母様のご馳走なんて、ハエすらたかりませんの」

「はいはい」


 憎まれ口を叩かれながらも、コルトの母親は楽しそうにコルトを見つめている。

 やはり、久しく会っていない娘に会うのは、母親としてはそれだけで嬉しいものなのだろうか。

 仲が良さそうにしているのを見ると、こっちまで暖かな気分になってくる。


 ……しかし、なぜだかその眼差しに違和感を覚えた。

 違和感といっても大したものではなく、俺はすぐ忘れてしまったのだが。




 夏も終わりが近づいているのか、今日は夕方から冷えてきた。風が体に冷たく滲みる。


「男湯はそっちですわ」

「おー」


 男湯と女湯が別れているとは凄いな。

 洞穴にも温泉があったものの、足を伸ばすには小さかったし、これは期待ができる。

 やはり日本人たるもの、湯にはうるさくなってしまうものだ。


 寒さが自然と足の回転を速め、俺はよく確認もせずコルトの指示通りに風呂へと直行する。

 元気よく扉を開けると、そこには。


「……ん? な、何やってんだ馬鹿!」


 ベレッタがいた。


 体を洗っている最中だろうか、無防備な姿を晒しているベレッタを目前に、俺の思考はフリーズした。

 ベレッタは身体を動かすと見えてはいけないところが見えてしまうので動けないし、俺の身体も、脳が再起動するまでは動けない。

 長い間が空いて、俺の脳はようやく立ち上がった。


 そうか、コルトのやつ騙しやがったな、ちくしょう。


 しかし、服の上からでも分かっていたことだが、ベレッタの体型はモデル並みだ。

 嫌な仕事をする湯気のせいで全容は確認できなかったが、透き通る白い肌に大きな双丘、そして張りのあるヒップ。


 やっぱりコルト、ぐっじょぶだ。


「なんでまじまじと見てるんだ馬鹿!」

「ガフッ!」


 ベレッタの手にしていた桶は、俺の顔面に直撃した後に破裂した。

 

 どうしてこう、理不尽が俺を襲うのか。俺は悪くないはずなのに。

 やっぱりコルト、後で覚えとけよ。


 ……しかし、ここでおずおずと負けを認めれば男がすたる。

 見せてやろう、俺の雄姿というやつを。


 俺は仰向けに倒れ込みながら、心の中でそう誓った。


次回2/16(木)更新予定


以前の話を今週中に改稿する予定です。

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