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プロローグ 天使からのプレゼント
死んだ。
よく分からんが、死んだ。
確か事故だった気がする。
18年の積み重ねも、脆いもんだと思う。
死って、そんな簡単なもので良いのだろうか。
バーゲンセールみたいに起きるけど。
それとも、あの世への供給が足りてないわけ?
まあ、過ぎたものは仕方ない。
死んだことが分かっていると、何だか冷静で居られるな。
死ぬ直前はそうでもなかった気がするけど。
三途の川を渡った先には、天使らしき存在があった。
なかなか可愛げのある天使だ。
だけど見下されてる気がするのは、俺が卑屈だからだろうか。
「あなたを、異世界に転移させてあげましょう」
「いや、正直、いらない」
「……あれ?」
天使にとっては予想外な答えだったらしい。
しかも、転移以外のレールは敷いていないらしい。
なんだそれ、ゲームじゃあるまいし。
これだから神やら天使は。
融通が利かないのは役所だけで十分だ。
まあ、別に拒否する理由もないけど。
次は楽な人生を送れますよう。
転移先も分からないけれど、とりあえず神に祈ってみた。