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1話 変わり者

初、小説です。

例えば王子様が迎えにきたとして、

例えば私が美しくないとしよう。

7人の小人共もまた、屈強な筋肉もりもりの男達だったなら。


王子はキスをしてくれるのだろうか・・・




「鏡よ鏡、世界で1番美しいのはだれ?」


それはあなた様でございます。女王様。


そう答えるのは魔法の鏡?

鏡って言うより、ただの機械みたいな声だけど。


「おーっほっほっほっ。白雪姫よ、見てるがいい。いつかこの国の男共を私の支配下に置いてやる。お前の勝手にはさせない」


ドアの隙間から覗いてる私にとって、マザーと鏡の会話はいつも面白くない。勝手にはさせないというが、私がいつ好き勝手にさせましたか!?


見て、白雪姫よ。

今日も醜いわね。

よくあんなので姫やってられるわね。

私達の税金返してよ。


・・・面白くない。


ずかずかと歩く私を面白がるようにして囁いている貴族達。

1日中鏡に話しかけて独り言を言っている継母のマザー。


体重がまた増えてる。

身長も、また伸びてる。


風呂上りに軽い身体測定をする時が1番嫌かもしれない。


「よう、白雪!今日もしけた面してやがんなぁ」

「ベック」


狩猟しゅりょうのベックは、こんな私とも仲良くしてくれている友達だ。今日も大きなクマを仕留めたらしく、背中にしょっている。


「どうせ私は可愛くない顔してますよ~」

「いや、そういう意味で言ったんじゃないんだけどな」


がじがじと頭をかいているベックは本当に困っているようだ。


「まだ7歳なんだ。将来があるさ」

「もう7歳でしょ」

「お前はいいやつなんだ。王女だからって気どったりしねぇ。自身持ちな」


そんなこと言ったって・・・



堂々とお城の外に出るが、誰も私が王女なんて気づかない。


「これ、下さいっ!」

「あいよ。130円ね」

「安っ!」


城下町での買い物もなかなか板についてきた。後、買うものは・・・っと。


ブヒヒーン


向こう側が何やら騒がしい。行ってみると、馬が暴れていた。


「どう、どう」


一生懸命なだめている馬車の人。

近くまで見れるかな。


近づくと、ポーンと中にいた人がこちらに飛ばされてきた。


「ええっ!」


飛ばされてきたのは貴族の男の子・・・にしちゃずいぶんと貧相だな。村人Aってところか。

少年はほこりをぱんぱんと払うと、こちらに向かってお辞儀をしてきた。


「大丈夫ですか?」

「あ、はい。そっちこそ」


にこっと笑う少年は、よくよく見ると私と同い年くらい。でも身長は私の方が高い。


「ネストール様。お怪我は?」


馬車の人は慌てて少年に駆け寄る。


「何、あんた村人のくせに付き人がいんの?」


私の言い方が感に触ったのか、もの凄いけんまくになった付き人にげんこつをくらってしまった。


「この無礼者!この方をどなただと思っている。この方は・・・」

「シッ!」


馬車の人が言い終わる前に少年は口を閉じさせた。


「まあいいや、あんたここの子?」

「いいえ。この町は初めてで」


見た目に似合わず謙虚な子だな。


「なら私が案内してあげる!ついてきて」


少年の腕を引っ張って2人で走り出す。その様を見て付き人は


「こらーーーーっ!」


と遠くで怒っていた。


「私、白雪。あんたは?」

「ネストールって言います」


走りながらの自己紹介なんて初めてだ。



その後、2人していろんなお店を見て回った。


雑貨屋

果物屋

魚屋

馴染みの店なんかにも行ったりした。


「わぁっ、これ美味しいです」

「でしょ?マンゴールっていうのよ。この辺でしか採れないの」


マンゴールを美味しそうに食べるネストールは本当に楽しそうだ。こんな安いものも食べたことないないいて、世の中世知辛いわね。


「白雪さん、今度僕の国にも案内しますよ。ぜひ来て下さい」


おおっ、私なんかを誘うとはありがたい。でも、一応私は王女という身分だ。遠くまでは行けない。


「う~ん。そのうち、ね」


苦笑してごまかしておいた。



ネストールといろんな話をした。家族のこと、兄妹のこと。私には兄妹はいないけど。友達の狩猟のこととか。




「もうお別れなんですね」


夕日が沈み始めたころ、そろそろ私も城に帰らなくてはならなくなった。


「ごめんね。私の都合で」

「いいえ、今日はとても有意義な1日でした。こんな日が毎日でもいいくらい」

「また会える?」


ネストールとはせっかく友達になれたのに。


「そうですね」


とうつむくネストールは寂しそうだ。そりゃ、私だって寂しいよ。でも、これが今生の別れでもないし。


「また会えばいいよ」

「・・・ええ」



その日は久しぶりにいい夢を見て眠った。



















白雪姫が不憫でしょうがない。

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