月が輝く夜に
時刻はもう12時を過ぎる頃。
ふと顔を上げて、だいぶ時間が過ぎてることに気がつく。
ちょっと懲りすぎちゃったかな。
「リーダー、できたよー…あれ、」
テーブルの正面に目を移すと突っ伏してるデカい男がうつる。
あなたに曲の手直しのアドバイスをもらうために家に押しかけたのに…
1人で1時間も作業しちゃったよ。
まったく…
…もしも、漆黒のゴールデンレトリバーがいたのならきっとこんな感じなのだろうか。彼の姿を見てそう思った。
少しおかしくて、ふふっと笑う。
どうせならサングラスくらい外しなよ。
揺すり起こそうとして肩に手をかけるけど、つい動きが止まる。
寝ている横顔を覗けば、案外整った顔立ちをしていた。
確か、僕が彼の寝顔を見るのは数える程しかないはず。必要以上のプライドと言うか、負けず嫌いというのか、それがいつの間にか「寝顔を見せない」ことを決めたからなんだろうけど。正直、メンバーとしてはそんなことどうでもいいのに。照れ屋さんなんだから。
ただ、結成当時から少し怖くて一目置いていた彼の寝顔…やっぱり見るよね、今がチャンスとばかりに見ちゃうよね。見惚れると言うよりかは、まじまじと…
そうやって、僕は満足して帰り支度をする。
てっちゃんの寝顔を照らしていた明かりを消すと、その横顔は今度は月の光に照らされる。リーダー、あなた本当にスポットライトが似合うね。
いつもは見られないんだから、もう一度覗き込もうかな。起きないといいな。一歩、また一歩、近づきながらそう思う。もう少しだけ、
目覚めて逆ギレさせるのも嫌だから退散するか、
写メはチャッカリ撮って、静かな部屋に"バイバイ"と囁く。
深夜の道に出ると、大きくて蒼い月
今夜のリーダーは月明かりに照らされて歌ってるのかな。
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