後編
「『霧島』が!」
見張員の叫びは『赤城』艦橋に詰める全員を代弁していた。
先行していた『霧島』が巨大な水柱に包まれ、その姿を掻き消されたのだ。
戦艦を覆い隠す程の水柱を生むもの。それは戦艦の主砲に違いない。それが夜間に、探照灯も掲げずに初弾から近弾を叩き出したのだ。
アメリカの秘密兵器である電探が、戦艦対戦艦においても有用である最初の実例であった。
『赤城』艦長、西田正雄は『霧島』が海水の帳から現れたのを見て安堵する。
撫で下ろした胸を再び締め付けるような緊張が走るのは、先行している『川内』からの報告であった。
「敵は新式戦艦なり」
砲撃隊は『高雄』近藤信竹司令長官が座する『愛宕』『霧島』『赤城』単縦陣と組み、『綾波』が報告した敵艦隊を捕捉すべく西へと突き進んでいた。
「戦艦見ゆ」
と報告した『綾波』は巡洋艦を誤認したものと考えていた近藤ら司令部だが、ここに来て確実に戦艦の存在を認識した。
真っ先に反応したのは、橋本信太郎少将率いる掃討隊であった。『川内』が探照灯を照射した先には、海上を圧する鉄の城が照らし出される。目視による確認の直後、降り注いだ砲弾によって『川内』は揉みしだかれ、一時後退を余儀なくされた。
闇夜の中で『愛宕』から電信が全艦へと飛び込む。
針路を保ち、ほぼ正面から敵戦艦と撃ち合うという指令であった。
確認できた敵戦艦は一隻。新鋭といえども『霧島』『赤城』を包する砲撃部隊ならば撃退出来る。近藤の強気が滲み出た指揮であった。
左舷側にサボ島の影を見据え、南進する砲撃部隊。護衛である『長良』以下は木村進の指揮で分離し、敵戦艦に付き従うであろう護衛艦隊を探して疾走していた。
西走するアメリカ艦に丁字を書かれていた砲撃部隊だが、『霧島』と『赤城』合わせて八門の砲火が空を焼いた。
『霧島』は熟練の技を発揮し一四インチの砲弾を、夜の帳に隠れた敵目掛けて命中弾を叩き出す。被弾もしているが士気は変わりない。
『高雄』『愛宕』も八インチ砲を響かせて、敵戦艦を滅多打ちにする。更に必殺の酸素魚雷が馳走する中、目標は火災発生により闇から姿を浮かび上がらせた。まさに闇夜に提灯である。
近藤は勝利を確信した。
しかし『霧島』だけでなく『高雄』が水柱に包まれると、全ての確信が崩れ去った。
『霧島』が探照灯を照射した。艦上から伸びる光線は、炎上する敵艦ではなくその奥から射撃するもう一隻の戦艦を照らし出した。
「二隻おったのか…!」
西田の独語に砲術長が反応する。
「艦長、目標は如何しますか」
現在『赤城』は火災を起こしている戦艦に対し、砲撃を繰り返している。命中弾は無いが、着実に命中に近づいているはずだ。
しかしもう一隻に対応しなければ、そちらからは撃たれ放題である。
即断。西田は吼えた。
「目標、新たに現れた敵艦!」
『霧島』の砲撃が一隻目に降り注ぐ。『霧島』に加え重巡二隻から滅多打ちにされている敵艦だが、弱った様子も見せず砲撃を繰り返している。
見張員が喉を涸らして叫ぶ。
「魚雷命中!」
重巡から放たれた酸素魚雷が炸裂した。艦橋がざわつくが、西田は即座に反応した。
「早すぎる。早爆だ」
命中すれば戦艦といえども致命傷たりえる酸素魚雷だが、この夜は敵艦の遥か手前で水柱を突き上げているだけであった。
最後尾かつ艦隊で最も高い場所からの視界は、敵艦が動揺もなく砲撃を続けているのを観測していた。敵味方入り乱れた混沌の最中、最も冷静なのは『赤城』の艦橋だった。
南洋の粘ついた空気に満たされた暗闇で命中弾の火花が飛び散った。瞬間照らし出されたのは積層構造の重厚な艦橋であった。
『霧島』はこの被弾で、前部の主砲塔を一基粉砕され、三基六門に減った火力で応射せざるを得ない状況に陥らされた。『赤城』艦上からも砲炎が弱まったのがよく見えた。
「まだか」
『赤城』の射弾は敵二番艦を覆う瀑布を形成するのみで、肝心の命中弾はいまだ無しだ。
距離は一万を切るほどではないかという至近での撃ち合いに命中を出せない『赤城』を、西田は叱咤した。
「『赤城』の本気を見せてやれ!」
『霧島』に被弾の閃光が走った直後、『赤城』の四一センチ砲が咆哮する。体の芯から叩かれたような衝撃
を抑え込み、西田は敵艦が溶け込む闇を睨み続けた。
『赤城』の砲弾はすぐさま着弾。水柱の中には火焔が混じっていた。
「よし!」
西田は拳を握りしめ小さく呟いた。
遅れて後部主砲が吼える。艦橋への揺れは前部ほどではないが、足裏から強い衝撃が襲った。
射弾は水柱を上げて敵艦を隠す。直撃こそしなかったようだが、喫水線下に損傷を与えただろう距離だ。
このまま撃ち合えば勝てる。
しかし、と西田は視線を僚艦へ移す。そして『霧島』がもう戦えないことを理解した。
右舷側に傾き艦上を炎が躍っている『霧島』は、先程の被弾からゆっくりと隊列から外れ始めた。舵を損傷したのだろう。
後部の主砲塔のみが果敢に反撃しているが、予期しない変針と傾斜の中当たるとは到底思えなかった。
『赤城』が先ほど命中させた戦艦か、『愛宕』と『高雄』が猛打する戦艦か。どちらかが標的を『赤城』に移すのは自明だ。
そしてその時がやってきた。
敵二番艦が閃光を放ち砲撃。『赤城』艦橋からの視界を火薬の混じった水柱が塗り潰した。
艦底から響くような衝撃が、一六インチ砲弾の水中炸裂であることを乗員全てに理解させた。これまで『赤城』が撃たれた巡洋艦のそれとは違い、『赤城』全体を左右に動揺させる威力だ。
応射に滾った『赤城』は、二番艦を屈伏させるべく咆哮した。
命中したかは水柱によって判別出来ない。艦影を包み込んだ着弾が損害を与えていると信じるのみだ。
暗闇と繰り返される閃光により、『赤城』はもとより艦隊の大半が自他の場所が分からない状況だ。
視界の悪い駆逐艦など、同士討ちに戦々恐々としつつの戦闘を強いられている。
まずは自分に課せられた目標を撃破する。夜戦の混乱から抜け出すのは後だ。
敵艦もしぶとく射撃する。黒煙で影が見分けにくくなっているが、主砲の閃光は明確に瞬いた。
風切り音に身構える前に、着弾の衝撃が西田の全身を襲った。腰を落として耐えるが、足裏の感覚が消失し倒れそうになる。
足を踏み出したり別の事に気を取られていた乗員は、衝撃に備えられずに床に転がった。
「右舷に被弾!」
「火災発生!」
混沌の坩堝と化した艦橋を西田は一喝する。
「消火待て。今出ても死ぬだけだ!」
主防御区画を抜かれていなければ『赤城』にとって擦り傷に過ぎない。むしろ血液たる乗員が減ってしまうと、『赤城』は貧血に倒れざるを得ない。
「損害詳報まだか!」
被害は右舷副砲一基と機銃二基の全壊であった。副砲弾庫への延焼もなく、火災も小規模だ。
しかし主砲の撃ち合い、副砲すら火を噴かんとする距離では消火もままならない。
ブザーが鳴り響き、右舷の瓦礫を吹き飛ばすように、 『赤城』が砲火を上げた。
一〇発の砲弾は敵艦を包み込み、明らかな誘爆の様子を呈した。
艦を包み込む黒煙で元の艦影は判別出来ないほど。時折見せる閃光は主砲発砲とは違い、自らを傷付けているものだ。
「撃ち方止め」
西田の声は思いのほか冷静であった。緊張の糸は未だに張り詰めている。
「敵一番艦、後退!」
『愛宕』『高雄』『霧島』の攻撃に耐えていた一隻も、遂に力尽きたのだろう。のろのろとガダルカナル島の南へ舵を切っている。
二番艦は小爆発を繰り返していた。総員退艦まで秒読みといったところか。身を削る煙幕を盾に、遁走を図っている。
とどめを刺すべきだ。
西田の思いとは逆に、旗艦『愛宕』から届いたのは戦闘を切り上げ集結する命令であった。
「ガ島空港への砲撃が優先、というわけだな」
奇襲作戦が二度も通じるとは思わず、西田はこの作戦に反対していた。強引に戦艦を増派させたのも、被害を軽くするためだ。
この状況で本来の目的である「ガ島への砲撃」を蔑ろにするのは、画竜点睛を欠くと言わざるを得ない。
「残念だが切り上げよう。針路一〇度」
勝利には違いない。第七艦隊とは異なる勝利だが、アメリカの新鋭に対して『赤城』が戦えるという事を示しただけでも十分だ。
その晩、ガダルカナル島のヘンダーソン飛行場は宵闇に包まれていた。兵士は塹壕に隠れて、虫の鳴き声や集音器に耳を覚ませていた。
ぱっと周辺が照らし出される。ゆらゆらと揺れる吊光弾が、不安そうな新兵の横顔に光を落とす。
沖合で閃光が走った。同時に風切り音が鳴り渡り、地響きへと変わって空を圧した。
空気の高鳴りが消失した直後、飛行場全体が持ち上げられた様な衝撃に襲われた。やわな塹壕の壁が崩れ落ち、固定されていないあらゆるものが飛び散った。
着弾の衝撃に焚き付けられた兵士が怒号を上げ、しかし新たなる砲弾に声は押し潰された。
世界に冠たる「ビッグエイト」の一六インチは、実寸四一センチの砲弾を拓けた空間を耕し、不運な兵士達を土塊に隠した。
機関銃陣地では銃手が配置を離れて灌木の影に隠れ、対戦車砲陣地では風圧にやられないように耐えるしかなかった。
ぱっと散った火花が巨大な火焔へと変わる。分散配置されたドラム缶から立ち昇るものだ。
赤く立ち昇った火柱は飛行場全体を照らし、吊光弾を無用のものとした。
砲弾は榴弾だけでなく、巨大な炎の散弾が混ざっている。三式弾と呼ばれる対空砲弾は、広い範囲に破片を飛び散らせた。大きな炸裂痕は作らないが、鉄板を容易く突き破る破片は非装甲物に効果的であった。
大型のかまぼこ兵舎が踏まれた紙箱のように潰され、兵士の私物だった残骸が周囲に飛び散った。
長く真っ直ぐで平らだった滑走路は、軟弱な耕地へと変わり、鉄片や石片がささくれ立った広場になった。航空機どころか、雨が降れば装輪車でも難渋するだろう。
巧妙に偽装されたはずの航空機も、ジュラルミンの山になっていた。安全のためにガソリンが抜かれていればただのがらくたに、夜間戦闘に備えていた機体は燃え盛るがらくたとして茂みに転がされていた。
一際大きかった整備廠は、薄っぺらな屋根を牛刀で裂くように穴を開けられ、工具を新たな破片としてあらゆるものを破壊した。
主翼を取り付けている最中の機体は、砲弾の直撃で尾部を残して消滅した。高速で飛び散った縦貫材が鎖を破断させ、重整備中の発動機が落下する。
飛行場はヘンダーソンと戦闘機用の小滑走路が大破した。先の砲撃を凌ぐ被害は、即日の復旧を困難にしていた。
『金剛』『比叡』が行った砲撃を分析した結果の、徹底した砲撃であった。帝国海軍であれば放棄する規模の破壊は、「ヘンダーソンの滑走路を占領し自軍の基地として運用する」という絵空事を捨て去った結果だ。
アメリカ軍は寸断された電線を繋ぎ、防衛に当たる海兵隊に命じた。
「日本軍による攻撃の予兆を見つけろ」
滑走路の穴は掘削され、土嚢を積み重ねた陣地へと変わった。工作機械は椰子の木陰に偽装され、沈黙を強いられていた。
夜明けまではまだ時間がある。海兵隊員の警戒は神経を擦り減らしつつ続けられた。
一木支隊は兵力の多くをマラリヤなどで擦り減らしつつも、タイポ岬に大半が到着していた。
司令官の一木清直大佐は西方の燃え盛る空を望遠し、海軍の成功を確信した。
後は闇が垂れ込めた海に現れるであろう輸送艦を待ち望むだけだ。
「来た!」
米兵から奪った双眼鏡を覗いていた軍曹の声に、部隊全体がざわめいた。
「一木大佐。あれは我が海軍の艦艇です」
マタニカウ川から送られてきた海軍士官は顔を綻ばせている。一木も頬が緩むのを感じた。
地平線がほんのり赤く染まってきた頃、一木は旗艦『由良』の艦橋に立っていた。対するは第四水雷戦隊司令官の高間完少将。
一木は伸び切った髭撫でながら話した。
「これほど多くの艦艇を派遣してくださるとは、想定しておりませんでした」
「『赤城』の奮戦が無ければ、ルンガの滑走路を潰さなかったかもしれません。そうしたら夜明け前までに少しでも攻撃範囲を脱することができる必要がある。通常の輸送艦では精々六ノットですからな。四水戦にお鉢が回ってきたのです」
一木は最悪、大発でツラギまで蟻輸送されるとまで考えていた。魚雷艇の襲撃に怯えつつ、半分でもツラギに到着すればいい方だ。
しかし陸軍は一木支隊を失われたものとして扱わず、海軍は艦艇を派遣してくれた。気を利かせた海軍の炊事班が用意した握り飯に、涙腺を緩ませた陸軍の者も多い。
「マタニカウの方も先ほど撤退が完了したとの事です。ルンガに近い分、装備などは放棄せざるを得なかったようですが」
高間は柔和な表情で語った。
一木支隊とはルンガ飛行場を挟んで反対側に位置していたマタニカウ川陣地は、その多くが海軍戦力であった。ルンガへの奇襲を受けてマタニカウ川に撤退した経緯から食料や戦傷者、装備などは一木支隊より悪かった上に、米軍は定期的にマタニカウ西岸に対して攻勢を掛けていた。
大本営では見捨てる事も検討されたらしいが、飛行場の造成に長けた彼等をここで失うべきでないとの結論が出された。
「高間少将殿。改めて感謝します」
一木支隊は一度本土に帰還する。しかし高間はこのままトラック泊地に戻り、新たなる戦場に向かうのだ。
「我々はまだ良いですよ」
高間は北進する針路を見据える。
「『赤城』はトラックでの修理も早々に、すぐに発つそうです」
ガダルカナル島脱出の立役者である『赤城』。三〇ノットを出し得る一六インチ砲搭載の戦艦は彼女だけ。
その力は『霧島』が沈み『比叡』が離脱した今、どの戦場でも求められている。
一木がトラック泊地に到着する頃には、『赤城』は修理の為に本土に一足早く針路を向けているだろう。
しかし命の恩人である『赤城』を、一目で良いから見てみたいと感じた。
副砲郭に装甲板を溶接し、高角砲や機銃を取り替える。飛び散った木片を海に捨て、合板の継を当てる。
『赤城』に許されたのはその程度の修理であった。
工作艦『明石』は死に掛けの『比叡』に付きっ切りで、トラック泊地には『赤城』が入渠出来るほどのドックはない。
本来ならば本土まで戻り修理と補強を行うべきだが、ソロモン諸島の戦況が『赤城』の帰郷に待ったをかけた。
修理の最中の一一月三〇日には、ガダルカナル島のルンガ岬沖で連合軍の輸送艦隊との戦いが起きた。完勝に近い結果ではあったが、肝心の補給物資にはほとんど手が出せずに撤退せざるを得なかった。
「軍令部といたしましては、FS作戦を放棄せざるを得ないと考えております」
トラック泊地に遊弋する『武蔵』艦上では、軍令部一課長の富岡定俊が渋い表情で淡々と話していた。
「ガダルカナル島からの転進により、ボーゲンビル島及びニュージョージア島の防備を固める方針です。オーストラリアからの圧力は増しますが、珊瑚海に潜水艦を投入する事でソロモン諸島への補給を断ち、同時にラバウルの戦力を拡充します」
連合艦隊司令長官の山本五十六は感情を隠した表情のまま、富岡の顔を見据えている。
連合艦隊参謀長の宇垣纏が応答した。
「ニュージョージア島だが、ガダルカナル島を放棄した今、戦力の補充が可能か」
「ボーゲンビルに十一航空艦隊の主力を前進させます。ガ島への攻撃ではなく航空警戒なので、距離以上の余力が生まれるはずです。食料等の自活を進め、輸送の負担を和らげます」
「陸軍といたしましては、ニュージョージアに二式単戦を主力とした防空戦隊を派遣いたします」
富岡の言を継いだのは、第八方面軍の参謀副長、佐藤傑だ。
ガダルカナル島の撤退以降、陸海軍の連携が致命的なまでに未熟であると認識した軍令部と参謀本部は、統帥権の問題を抱えつつも互いに協力する事で合意した。
航空部隊に関しては、陸海軍の垣根を出来る限り取り去るべく「ラバウル航空要塞」案などが推進されつつある。
これまでであれば軍令部と連合艦隊の折衝で終わっただろう会議も、陸軍が絡む事で流れが速くなった。
「ボーゲンビルは北端のブカ、南端のブインを陸軍の増派により補強します」
佐藤は続ける。
「第八方面軍及び参謀本部では、ガダルカナル島での一木支隊の敗因を、密林地帯での機動の困難さが大きいと認識しております。ボーゲンビルでは各基地に簡易的ながら連絡路を啓開しております」
「ニュージョージアでは海路を使った方が早いと判断し、小型船舶や大発による連絡を密にしております」
軍令部の結論を述べ、山本の反応を見る。依然彼は渋い顔を続けている。
宇垣や首席参謀の黒島亀人も山本の表情を窺う。
「長官?」
宇垣の声掛けに「ふうむ」と思案した山本は、欠けた指をさする。
「基地航空はそれで良いのだろう。しかしそれでアメリカの空母は防げるかね?」
「ポートモレスビーにおいて、空母と航空基地の連携がなされた場合、極めて頑強であると判明しております。これを崩すには各個撃破を徹底するか、両者を圧倒する戦力の投入となります。前者は連合艦隊との連携を密にする事で、後者には短期的には不可能と認識しております」
「だが長期的にはやれるよ、アメリカは」
言外にジリ貧を匂わせる山本。
「それまでにアメリカに参ったと言わせなければ、我々には山河となる未来しかないぞ」
煤けた甲板を南洋の日にジリジリと焼かれながら『赤城』は揺れる。ラバウル港を目指して。