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最弱にて最強の  作者: 凪
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四十九幕目 馬乗りの襞は

 すいませんでした。

 この作品の為に、知り合いから復古調の大鎧を借りて装備したら、ヘルニアが再々はつしてしまい、療養してました。

 医者と周囲から叱られました。入院はしなくてすみましたが。

 鎧を書く為に、何十年振りでした。歳をとりました。

 若くてヘルニアがなかった頃は、鎧も平気だっただけどな~。

「中松様、袴は短袴みじかばかまにしとお御座います」

 椿のリクエストに、中松さんが一瞬キョトンとしたが、直ぐに納得した表情になった。


伊庭いば様の短袴で御座いますね。

 たけは脛が出る位の長さで宜しゅう御座いますね。

 下駄は朴歯下駄ほおばげた(台と歯の幅が厚く、歯が高い下駄)で宜しゅう御座いますね。

 非人ひにん、奴隷身分は、下駄は履けませんが、別式女で登録されていますので、下駄が履けます」

「はい。下駄は朴歯ほおばが宜しゅう御座います」

 椿が答えたが?他の娘達の反応が変だ。

「凪様、中松様。我も短袴を願いしまする」

 ひめの!お前もか!

 結論は八人全員が希望した。

 嬉しいです!美少女達の男袴、しかも心形刀しんぎょうとう流の短袴で御座います!


 ひめの先生が解説をしてくれる、先ずは下駄から、朴歯下駄に似た足駄あしだと言って、雨の日用の歯が高い下駄もあるんだって。足駄は知らんかった。

 草履、足駄や下駄の爪先に付ける、爪皮つまかわ(爪革とも書く)と言って、雨・泥よけのカバーもあるんだって。皮製と布製がある。爪皮も知らんかった。

 少し離れて聴いていた、中松さんが爪皮も、草履と朴歯下駄それぞれ支度致しますと話す。サンキュー♪

 誘拐されて、自分がパンツの替わりに穿いている、畚褌もっこふんどし(簡要の短い褌。長さ七十センチ・幅三十センチが平均。布の両端に紐をとうしてある下着。両端の紐を結んで穿く。現在のブリーフに形状が似ている、パンツのように穿く。男女共に使用した。女性は生理のときに当時の生理具ともに使用した。歌舞伎の女形は普段から着用との説あり。もっこの名は土木作業で土を運ぶ道具。もっこに形状が似ているからとの説。畚は縄などで編んだ正方形の網に土や石や農作物を入れ、四隅を集めて棒で担ぐ道具。持籠もちこが転じた)野袴、短袴用に自分と娘達の人数分用意してくれるんだって。サンキュー♪

 

 外用の袴には二種類がある。

 馬乗うまのり袴。(馬に乗る用の袴・袴にまち・布幅に補う布地。襠・仕切りがありズボンの様に片足づつ別けられている。馬乗袴とも) 自分が憧れたのが、この馬乗り袴だ。

 もう一つが略式の行灯袴あんどんばかま (形が行灯に似るところから・仕切りの襠がない。スカートの様に穿く。袋袴とも)がある。

 今の日本では、行灯袴は女性が主に穿いている。卒業式で卒業生が穿く女袴だ。

 女性の正装には袴はないが、明治・大正時代には女学生の制服だったので、入学式や卒業式はOKで、成人式はNGだ。

 二つ共日本と同じだ。でも、仕切りの無い行灯袴って、確か日本では幕末の物だったよな?

 行灯袴なら、藩で分かれたが、町人でも穿けた袴だったよな。

 憧れだったから、袴だけは詳しい。

 中松さんに聴くと行灯袴は、日乃では武家の女人と町人の男女が穿けるとの事。

 武家の女人の正装でないから、武家女性は行事はNGだって。

 行灯袴も農民や別式女以外の奴隷はNG。何故に?

 袴は日乃でも、帝の御座あわす宮中か、巫女や白拍子しらびょうしなどの職についている者が穿くていどだったが、行灯袴が作られてから、流行ってるとの中松さんの解説です。


 奴隷身分は、馬に乗れないが動き易い、馬乗り袴に多数決で決定した。

 袴に詳しくない早彩ちゃんだけは?だったが。


 袴の一般的な丈のばかま(袴の丈が足首までの品。切袴、小袴、半袴、平袴とも)に比べたら、丈が短めで脛が出る短袴の方が動き易い。

 因みにとひめの先生が、奉行所の同心は身分が低い為に、馬に乗れないし、袴も穿けないとの事。

 同心の上役になる与力よりきは、本来は寄騎よりきと書いた。

 馬に乗れるから騎馬の騎。近世は与力と書く。

 身分があるから袴も穿けるとの事。そうなんだ、知らんかった。

 意は為政者と時代で代わる。


 娘達には、人への要望は主人の許しを受けてからと注意したが、急だったからな。

 其と言い忘れたことがあったな。

「言い忘れたが、心形刀流は上着の袖の丈も短めだった」

「「「遅いです!!!」」」

 げっ、中松さんと早彩ちゃんにまで叱られました。九人に叱られました、シュン。



 でも、皆も俳優のごとき男前の心形刀流の伊庭 八郎にやっぱり影響を受けたか!

 小学生の頃の自分を見てるようだ。

 小学二年生の時に、伊庭 八郎と中沢 琴様に憧れ。

 小学三年の時に師匠に出会い、体力をつけて親の許可を貰ってこいと帰され、門弟にしてもらったのが、小学四年生だった。

 二刀流の型が少しあると、聴いた時は、嬉しかったな。

 師匠に動機を聴かれて、伊庭 八郎と中沢 琴に憧れてと答えたら。

「小学生が、あの二人を良く知ってたな。

 お前みたいな大馬鹿を待っていたぞ!ハハハ」

 大笑いされたっけ、その時は、意味が解らなかったが、無名の古武術、武芸を学ぶ子供は珍しいと後で知った。

 その師匠も、鬼籍に入って久しい。

 師匠の生涯唯一の門弟が自分だ。

 貝寄風かいよせ流の最後の一人。


 

 娘達が女性職人?侍女?の採寸を受けている。

 野袴、馬乗り袴の色は目立たないようにと言ったが、基本娘達に任した。

 両方とも一人二着だから、皆は色を替えるつもりのようだ。

 出来上がる迄に三日位かかるらしい。

 心形刀流の短袴!

 目指せ琴様!

 期待して待ちましょう!!


 娘達の採寸の間に、予備の自分の野袴のガラを決める。

 上着は長い袖がない洋服に似たタイプを選び、色は目立たない茶色と紺色にした。


「御兄様、袴の折り目には、どの様な意が御座いますのでしょう。

 中松様が侍女の方と、袴の折り目について話されておりました。

 袴の折り目に意が御座いますのですか?」

 採寸を終えた、早彩ちゃんが自分に聴きに来たが、日本と同じで折り目に意味があるのか?


 自分が学んだ流派は、実戦主義だから、その時代の普段着に近い服装で、修練をする。

 美少女の馬乗り袴姿に憧れたから、袴には詳しい。襞の意味も日本のは知っているが。

 貝寄風流も伝統で袴姿でも修練はしたが、現代日本の服装は洋服だ。

 洋服にジャージ、背広を着る年齢になった時は、背広で修練した。普段着に慣れる。其が貝寄風流の伝統だ。

 異世界に誘拐されてから、気が付いたが、卑しき身分は者は、稽古以外は袴が穿けない為、穿けない袴より、着流しや普段着に慣れるのが伝統になったと思う。


 開祖が小藩の同心だったが、大手柄の褒美として、流儀を開けた。

 開祖が身分卑しき同心の為に、馬に乗れる身分でないので、馬術と弓術が無いのかな?

 弓術は無いが、何故か打根術うちねじゅつ(手で投げる矢。紐がついている流儀が多い。)はあるが。

 不浄役人ふじょうやくにん(同心の蔑称べっしょう(罵り言葉)・不浄な罪人を捕まえたり、断罪する役人)が開祖の為に、上士じょうし(身分の高い侍・上級藩士)、平士へいし(普通の身分の侍)に見向きされず、戦場いくさばの最前線にでる不浄役人・下士かし(身分の低い侍)の間で継承された、実戦の武芸。


「えっと、自分が修めた流儀は袴はな」

 日乃国での意味が解らない、誤魔化せ。

「日本では袴は穿かないので御座いますか?」

 ひめのが質問してきた。八人共採寸が終わったようだ。

「ほとんど穿かないな、冠婚葬祭ぐらい、後は弓や剣術の稽古ぐらいだ」

 其に日本と意味が同じか不明だし。可愛い早彩ちゃんの前で恥は嫌だ!

「其で御座いましたら、我が」

 ひめの先生お願いします。


「馬乗り袴の表の五本のひだ(折り目)は、五倫五常ごりんごじょうを諭したものと伝わりまする。

 五倫ごりんとは、

君臣くんしん

 君臣有義くんしんぎあり

 君と臣は義を重んじてお互いを思いやる。

父子ふししん 

 父子有親ふししんあり

 父と子は親愛で結ばれなければならない。

夫婦ふうふべつ

 夫婦別有ふうふべつあり

 夫婦はお互いを信頼し、別々の役割を担う。

長幼ちょうようじょ

 長幼有序ちょうようじょあり

 年少者と年長者の間(または兄弟間)にある秩序。

 幼は長を敬い、長は幼を慈しむ。

朋友ほうゆうしん

 朋友有信ほうゆうしんあり

 朋友(友人)はお互い情で結び信じ合う。

 朋友とまことを大切にすること。


 五常ごじょうとは、

 じんれいしんで御座いまする。

 袴の表正面左より、仁・義・礼・智・信となりまする。

 裏の一本の襞は、二心にしん(弐心ふたこごろ・疑心)のない誠の道を示しまする。

 襞で分け左よりちゅうこうとなりまする。

 五常

 仁義礼智信じんぎれいちしんの意は。

 仁・人に対して、いたわりの心と思いやりの心をもつこと。

 義・正しい行いをすること。

 礼・礼儀、礼節を重んじること。

 智・物の道理を知り正しい判断を下すこと。

 信・偽りのない忠実な誠の心。

 忠考ちゅうこうは、

 忠・主君に尽くす真心のこと。

 孝・親、兄弟を大切にする心で御座いまする。

 五本の襞は、他に五穣ごじょうを表しているとも伝わり、米・麦・ひえあわ・豆の五つの作物のことで御座います。

 他には天地または陰陽いんようを示すとも伝わりまする。

 五倫は五教、五典とも称すと伝わりまする。

 豊様が伝えた教えで御座います。

 馬乗り袴を侍衆が穿くように広めたのは、今の御公儀で御座います」

「袴の襞は、その様な意が御座いましたか!」

 早彩ちゃんビックリ!

 自分もビックリ!

 日本と襞の意味が同じだ!

 異世界の日乃国で儒教じゅきょう!!

 まさかの孟子もうしですか!!!

 豊家は日本からの来訪者決定!!!!

 


 多分??





 



 畚褌は三崎藩での湯浴みでひめの達が穿いている予定でしたが、15Rにおさまりきらなかった為に、都合上無理矢理押し込みました。

 短袴たんこと言う、乗馬用ズボンが有りますが、たんこは和名です。心形刀流の短袴とは関係ありません。


参考文献

男のきもの 着付け・着こなし入門 おさえておきたい基本から、自由に遊ぶ着こなし技まで

 世界文化社


孟子 中国の思想Ⅲ

今里 禎 訳

徳間書店


孟子 ビギナーズ クラシック

中国の古典

佐野 大介 訳

角川ソフィア文庫


儒教の本

知られざる孔子神話 呪的祭祀の深淵

学研

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