四十七幕目 久ノ一と間抜けな忍者!
皆さんの忍者へのイメージをもっと壊しまする。
歴史に名が残る女性の忍者は一人だけ、望月 千代女です。武田信玄のスパイ・歩き巫女の養成所の校長で、様々な教育をして全国に歩き巫女を送り出しましたと近年の本にあります。気になる方は検索して下さい。大量にヒットします。パズ●ラにも登場!
が、出鱈目だと思います。
一部では、完全に否定されてます。
そんなに川中島の合戦、歩き巫女に詳しい資料があるなら、是非とも公開して下さい。
自分は念書の提出により、コピーさせて貰い、公開できない資料を幾つか持ってますが、禁じられてないのなら、是非公開して下さい。
漫画のように戦う、女性忍びはいなかったのが、定説です。居たとしても奥や姫の警護役だと思います。
一部での定説ですが、自分を含む病気の者達です。
異世界の日乃国は別です。迷霧ちゃんには活躍してもらいまする。
迷霧ちゃんが、忍び杖、手甲鉤(鉤爪・鉄の爪・手の甲につける武具) ・角手(万力とも・指輪型で指にはめる。迷霧ちゃんのは外側に鋭い刺が一本でている) ・猫手(指先につける鉄のつけ爪・女性専用説あり) 等を見せてくれる、解説もしてくれた。
忍び刀は動きやすい様に、短めの刀が好まれ、拵え(杷、鞘の外装のこと) は目だたず地味な色が良いらしい。
「迷霧、忍びは刀を背中に担ぐんだよな」
「凪様?背中にですか、その様なことはしませんが。
他流の忍びも、刀は腰に差すかと。
忍び刀は、人間族の方は高く跳べないので、塀を登る踏み台にします。
忍び刀の下げ緒を使う術が御座います。
下緒利法七術又は、下げ緒七術 (刀の鞘に付いている、鞘と帯との留め紐・下げ緒(平均より長い)下げ緒・紐を利用した七つの方法)が御座います。
刀と鞘は色々と使いますので、鞘ごと抜きやすい腰に差しまする。
背中に担ぐ忍びなど、聴いたことも御座いません」
「そうなんだ、世界が違うからな。
この忍び刀は反りがあるよな。
鞘は底が抜け。水の中から鞘を出して、鞘で息をするんだよな」
「反りのない打ち刀、忍び刀は見たことがありません。
反りがなければ、目立ちます。
水の中で息をする道具は、御座いますが、鞘の長さなら、よほど肺がお強い方でなくては、息ができないかと」
「あらま!
日本の忍びの話しだから」
誤魔化そう。日本の本当の忍びの者も背中に、刀を担がないのか?
忍び刀に反りはあるのか? う~ん。
「凪様、忍器を少しだけ御見せ致しましたが、術も教え致しまする。
我ら忍びは、忍術使いとも申しまして、術こそ重き(重要)モノで御座います。
術を御存知なら、我えの命も致し易いかと」
あの量と質で少しだけなんだ?
忍術の概要の説明をしてくれた。
◎遁法(トンズラの方法)
(遁走術・遁術 ともあり)
土・木・金・火・水を利用した遁走術。
・土遁の術
大地を利用した逃げる術。
・木遁の術
木を利用した逃げる術。
・金遁の術
金属の物を利用した逃げる術。
・火遁の術
赤馬、赤犬(放火)をしたり、煙、火薬を使い逃げる術。
・水遁の術
水を利用して逃げる術。
水遁、火遁は逃げ出す術だったんだ!あらま!マジー!
有名な日本の忍者漫画では、火遁は火で攻撃する術だったぞ?
◎穏形術 (隠れる術)
(いんぎょう とも読む)
・観音隠れ
木を利用する隠れ方。
・鶉隠れ
庭の真ん中での隠れ方。
・木の葉隠れ
立木や石灯籠を利用しての隠れ方。
・草葉隠れ
草や藪への隠れ方。
・柴隠れ
米俵や丸太等の積んである、所での隠れ方。
・狸隠れ
木に登る隠れ方
・狐隠れ
水に潜る隠れ方
・察天術
天気予報・方角を知る・刻を知る方法
・察地術
地形と地勢の情報収集の術
・察人術
人を見分ける方法
・物見の術
偵察を行い、忍び口を見つける方法
・忍び口
忍びのみが入り込める箇所
・物真似の術
物真似の術か!
「迷霧、物真似が出来るのか?」
「我は犬猫鼠と鳥、魔獣の鳴き声が出来まする。
老成の方々は、人の声も真似られまする。
忍び込むのには、どうしても音が出てしまいます。
魔獣の鳴き声は人を驚かせ、逃げ出す様に仕向けたり。魔獣への応じで怪しげな事より、目を背けまする。
外ならば犬猫や鳥の鳴き声がすれば、人は気にもとめません。
家の庭なら猫。家の中ならば鼠で御座いまする
同胞への合図ともなりまする」
「外なら、梟の鳴き声か?」
「ふくろう!
梟は危ういです!
梟は鳥で御座いますが、渡りをせず、森に縄張りをもち、縄張りからは滅多に出ません。
縄張りを移すことも御座いません。
梟の鳴き声は、縄張りを誇示する為の行いで御座いまする。
縄張りに他の梟が、入ろうものなら、番い(番・番ひ とも書く・動物の夫婦の事)で襲いまする。
梟の縄張りでない森から、鳴き声がすれば、土地の猟師なら、怪訝に思うはず。
忍者が、何日も潜んでいて、唐突に梟の鳴き声がすれば、怪しみまする。
新たに縄張りをもつのは、巣立ちした若い梟のみ。
初夏に親鳥の巣から、少しづつ離れ、三つ月位で親鳥の縄張りから出て、己の縄張りをもちまする。
初夏に親鳥の鳴き声が、近くでしなければ、これまた怪しまれまする。
梟の物真似をする、間抜けな忍者など、おりません」
「間抜け・・
日本では、百五十年前に幕府の終局のおり、侍と忍びも終わったからな。
後の世の作り話しで、何が誠か解らなくなったからな」
「忍びも終わったので御座いましたか・・」
迷霧ちゃんは、寂しそうに呟いた。
「忍びが絶えて久しいから、秘伝書や言い伝えから、芝居や物語を後の世の人が、創りたくったので、忍びの本来が解らなくなった。
芝居では、呪文一つで物が動かせたりする。
海の向こうの異国では、異国人が忍術を勝手に創り、流行ってるらしがな」
「異国人が!で御座いますか?」
ひめのが怪訝な表情をした。
「日本でも、最後の忍者を名乗る人が、幾人もいる」
「最後なのに、幾人も!」
椿は?当然だよね。
「藤田 西湖もその一人だ。
甲賀流十四代世を名乗り、色々な武芸の御流儀の目録や書物を集め、鬼籍に入ったのち、市・・藩かな、書物は身内によって、藩(市)に贈られた藤田西湖文庫がある。
人によっては、紙屑だが、自分にとっては宝の山さ。
自伝と言って、己の生涯を書き書物にした。
スパイ・・忍びの塾かな?帝国陸軍中野学校と言う。そこで、一年半の間、忍術の師範をしていた。
武勇伝も多いぞ。
博徒(バクチ打ち・やくざ)のたむろする所に乗り込み。
此処は客に茶や菓子もださないのかと、火鉢に置かれていた、煮だつヤカンから、熱湯をぐびぐびと飲み、火鉢から真っ赤になった炭を手掴みで取り出して、炭をかつがつと食べて博徒達を怯えさした」
「真っ赤になった炭を食せば、虎族でも死にます!」
琥珀が叫ぶ、奴隷娘達も当然同意した。
「若い頃は、新聞記者と言って、瓦版の書き手かな?
書き手になって、忍びの業で屋敷に忍び込み、証を手に入れて、悪事を瓦版で暴いた」
「瓦版は御上に楯突く者、編み笠で顔を隠し、人に密かに声を掛けて売り歩きまする」
炎、解説有り難う。元姫様とお嬢様の六人は、瓦版の売り方を初めて知ったみたいだ。
「瓦版は日本では、新聞と言って、店売りか契約している家に配るんだ」
「瓦版などとは、その様な目立つ真似をする愚かな、忍びはおりません。
優れたたる忍者とは。
誰にも見られず、闇より忍び寄り。
誰にも知られず仕事をし。
誰にも忍びの仕業と悟られず。
誰にも覚えさせず、闇に去り。
誰にも気が付かれず、闇に忍ぶ者。
此が優れたる忍者で御座います」
迷霧ちゃんの表情が真剣そのものだ。
迷霧ちゃんは、話しを続ける。
「ほんに優れたる忍者は、下界では無名で御座います。
誰にも知られず、闇に忍んで活きる者。だからこそ、しのびのもの」
「日本の芝居の忍者は、殆んど駄目だな。
目立ちまくるからな」
「忍びが目立ってよいのは、放下師か猿楽師の芸人や商人への変化のみで御座いまする」
「でも、迷霧。無名なら仕事はどから貰うんだ、侍から依頼されて仕事をするんだろ、無名ならどうやって」
「依頼は繋ぎの方々からや、里の御頭に頼まれまする。
御頭が仕事と合う忍びを選びまする」
「流派に仕事がくる訳か」
「渡り忍びは、繋ぎの方々が重きで御座います」
確かに連絡網は大事だ。
藤田先生の自伝は胡散臭いので、有名だった。
生き神様で目立ち。軍の刺客、山伏だったりするから。
神奈川県の小田原市図書館の藤田 西湖文庫の武芸に関する所蔵は素晴らしいが。
「藤田は胡散臭い方ではあった。
西湖は絵師しとしての雅号(画家、筆家、文人の風流な号・ペンネームにちかい別名)で、字(名前)は勇を嫌い、雅号を名乗っていた」
「絵心がおありで御座いますか、絵は忍びにとっては、重き技で御座います。
人相書きに屋敷の見取り図、土地の絵図(古地図)と絵心なくしては、成り立ちません。
藤田様なる御仁は、目立ちますが、絵師でも・・」
確かに、迷霧ちゃんにも絵の才があったな。才の色はかなり濃い。
藤田先生は明治三十二年生まれ、昭和四十一年他界だったな。
写真は有るには有ったが、ネガファルムの現像処理も時間がかかり、デジカメが主流の今程手軽ではなかった。
忍びが活躍した、昔の日本には、写真が撮れるファルムカメラは勿論のこと。ネガファルム処理なしの静止画、動画の撮れる携帯もスマホ、デジカメも無かった。多分日乃にも無いだろう。
絵は重要だな。
「迷霧はくのいち何だよな」
「くのいちを良くご存知で。
くのいちは暗語(隠語・韻語の別称。特定の人どうしでしか通じない言葉・暗号) で御座います。
平仮名のく、片仮名のノ、漢字の一で、くノ一、組み合わせると漢字の女になりまする。
くノ一はおなごの忍者の事で御座いまする。暗語なので心して下され。
平仮名のくを漢字の久に代えて、久ノ一の術が御座います。
久ノ一の術は、女の色仕掛けで殿方を惑わし、話しを聞き出したりします。
又は、屋敷に女中やお妾(愛人)として潜り込み、戸を中から開けて引き込みをします。
色香で惑わせば、衆道(薔薇・ホモ)でも久ノ一の術で御座います」
「あらま!衆道!ホモも久ノ一何だ!」
自分は絶叫してしまった。
奴隷娘達も愕然としていた。当然か!
早綾ちゃんがホモは衆道で御座いますか?日本では衆道は盛んなので御座いましょうや?の質問には困った。
迷霧ちゃんとの芽出隊でしつこく聴いてくる。二人は腐女の素質ありかな?
椿が話しかけてきた。
「旦那様、夜も更けました。
布団を敷きますか」
アッ!今晩は椿が夜伽だ!鬼姫様、芽出隊から助けてくれて有り難う。
布団の中でお礼をします。
忍び刀を背中に担ぐのは、創作説が有力です。
忍び刀で残っている物は、後の世ので作られたという説が有力です。
萬川集海、他の秘伝書にも、忍び刀の記載は無いですね。
久ノ一の術は、萬川集海には伏せ字と口伝ありと記載があります。
女性との連絡係は、裏切らないように、親兄弟を用意するようにと記載。
色仕掛けなら薔薇・百合でも久ノ一の術です!
くノ一の言葉は、近年になって知られるようになりました。
忍術が概要なのは、ネタばれ防止!
梟の鳴き声も後の世の創作説が有力。自分なら、田舎者なので変だと思います。
忍者のイメージは、講談と明治、大正に大阪の立川文庫(正しくは・たつかわ)の作品が影響してます。
立川より猿●佐助・●隠才蔵の真●十勇士が生まれてます。
藤田西湖先生は怪しすぎる謎の人。
迷霧ちゃんが絵がお上手なのは、藤田先生の自伝がヒントです。
帝国陸軍中野学校は、戦前・戦時中に実在したスパイ学校です。
参考文献 二回目です。
最後の忍者どろんろん 藤田 西湖著
新風舎文庫




