四十五幕目 旅弓と六具で栄えゆく運命
恩恵と忍器の解説です。
「「凪様!!」」
娘達の絶叫が聴こえる、三崎藩の者に聴こえたら困るでしょう。声を小さくね。
自分の身体が光ってるのに、冷静だな。
『おい。身体に大事ないか!』
草犬君、狼狽しないの、みりあと聖獣を信じよう。
『そうだがな、ん。光が収まってきたぞ』
そらね、みりあに任せたんだから。
フム。身体には変わった事はないな。勘は自分を見れないし。
「何事もなければ、続けますか」
ひめのが心配そうに尋ねてきた。多分大丈夫でしょ。
椿が次を志願してきた。友が疑われているのが、理由みたいだ。
みりあ本人も思いだせないのだから、しょうがないよ。
みりあが椿の額にキスをした、はい。椿が光ました。雨戸を閉めていて良かった。
椿の才を見る。
恩恵 聖獣念派 隆運
文字が増えているな。
みりあの昌運とは、栄えゆく運。
栄えゆく方向にある。盛運とも。
椿の隆運は、盛んな運命を意味する。
盛んな運命・・もしかして、自分にも付いていたりして・・
自分で自分の才を見れないのが残念!
椿はメランと話し始めた。早速で試してる。
聖獣の声が聴こえるが、早彩ちゃんが志願した。菜山の絆は強いな。
はい。早彩ちゃんが光ます。
才には、聖獣念派 隆運が増えてます。
早彩ちゃんの才にあった、日乃強運とあわせたら、恐いモノ無しだ。
賭け事やらしたら・・考えるだけで・・宝くじ買を急に買いたくなった。
日乃なら富籖(寺の修理費の資金のみに許されたくじ)なのかな?
全員が、みりあの恩恵を受けた。
娘全員に聖獣念派 隆運が才に付いた。
念派より、運が嬉しいのは何故?
念派だけど、聖獣のみだし、自分は聴こえたからな。
奴隷娘達は聖獣達と話してる。でも、青い大蛇のキュアノエイデスだけには、みりあ以外誰も話しかけない。キュアノエイデスは寂しそだ。終わらそう。
「襖を戻して、一旦戻ろう」
抗議をスルーして四聖獣は帰参してもらい、居間に戻りると迷霧ちゃんの忍器講座の再開だ。
「忍器と申しましても、七方出のように己を変化されせる忍器。
屋敷に忍び込むための忍器。
遁走のための忍器。
忍びだけが使う薬や食べ物も忍器。
そして、戦うための忍器と、様々な忍器が御座いまする」
迷霧ちゃんが巾着袋から、色々取り出す。
「先ずは、六具と申しまして、此れだけは、忍びが持っていなければならない品で御座います。
顔を隠す編み笠。
石筆(滑石、蝋石を棒状にした筆記用具)や筆等書く御道具。
打鉤(鉤縄)は、縄に鉤を付けた品です。縄をうち投げ鉤を引っ掛けて、塀や壁を登りまする。
三尺手拭いで御座います。長めの手拭いで御座います。顔を隠す頭巾、傷口を庇う晒(繃帯)の代わりとなりまする。襟に折って入れまする。(伊賀流を参考)
打竹と申しまして、大きさの違う竹筒を合わせて、その中に火種を入れて、何時でも火をおこせる御道具です。
流派が違いまが、胴の火と申す鉄で作られた御道具も御座います。
鉄で作られ、中に火の付いた炭を入れます。ほのかに温かくなり、懐に入れとけば暖がとれまする。
火打ち石ですと、火が付くまでに刻がかかりますから。
六つ目が、忍びのみの薬で御座います。
印籠の中に薬が入っておりまする」
説明があった、道具が並べられる。石筆は滑石を四角の棒状に削り、左右から竹をあてがい紐で縛ってある。三尺手拭いは確かに長めだ。印籠は黒く地味な柄だ。
迷霧ちゃんが、女物の笠を見せてくれる。
「女人の菅笠ですが、裏はこの様に」
迷霧ちゃんが、笠の裏を見せてくれたが!
笠の裏には矢!弓の矢!
笠の裏には、笠の中心に鏃放射状に矢が並んでいる。矢の根本の二つの矢羽根が、少し見えている。
「矢羽根が見られても、笠のひごと思うでしょ。
矢も弓も小さめで、旅弓と申しまして、三尺三寸(百センチ)の半弓(小型の弓・射程距離が短い)を半分で切り、蝶番で繋ぎ止め折り畳める弓で御座います」
迷霧ちゃんが巾着袋から取り出した弓は、確かに小型だ。
「半弓は小さい品ですが、この品は・・」
椿は旅弓をまじまじと見た。
「元は菜山の品です。折り畳む細工は、里の者がしました」
そうなんだ、迷霧ちゃん。
菜山は弩も作ったが、弓も作った。鬼族用の大弓とか、小さい弓も作ってたんだ。
菜山三人娘は、懐かしそうに旅弓を見た。
「迷霧さん、弓の胸当ては」
ひめのが質問した。
「見られない様に、肌襦袢の上に付けまする」
流石は忍びの者で御座いまするな。
「矢は幾つかの種(種類)が御座います。矢羽根の色で解り易くいたしておりまする」
迷霧ちゃんが一本の矢を取り出した、矢羽根の一部が赤い。
「夜討天文火と申しまして、火矢(火箭とも書く。かせん・ひや・とも読む)で御座います」
鏃(ぞく・とも読む。矢尻とも書く。矢の先端部)には、白い袋が被せてあった。火が付き易い細工がしてあるが、その細工の詳細を質問さたら、迷霧ちゃんの満面の笑みで誤魔化された。
此の矢で放火するのね、う~ん。
「これも忍器で御座います」
迷霧ちゃんが左右手のひらに持っているのは、黒くトゲがある物体は?小石?
何ですか、それは?
次話も忍器の解説です。
撒菱の解説が、主になってしまいました。
参考文献
図解 忍者 山北篤著 新紀元社
図解 巫女 朱鷺田祐介 新紀元社




