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最弱にて最強の  作者: 凪
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四十四幕目  稀と四聖獣 

 差別用語がありますが、伝統的な神事です。気にしないで下さい。伝統です!

「「遁走とんそう!!」」

 

 迷霧ちゃんの素敵な笑顔が怖いです。

「まあ、そんな目立つ真似は、親分衆への手蔓てづるが不味かったり、他国者を入らせない家(藩)や土地だったときだけです。

 辺鄙へんぴ(田舎)な村だと客人きゃくじんを村人総出で、もてなす村も御座います。

 その様な、土地は少し目立つ位が宜しいのです。

 その様な土地は、他国者を見ておりますが、常に土地の者同士も見張りあってますから。

 もてなされる客人も、もてなされた後に厄が訪れる土地もあると、村の老成の方々が申してました」

「その様な土地が・・」

 椿が絶句した。

「森人の里も他国者は嫌いますが、里の者同士を見張りません。

 客人をもてなすのは・・」

 ひめのの種族、森人は人見知りなの?

 客人ね。客人と書いて別の読み方なら知ってる。

「迷霧、客人はまれびと、まろうどとも読むのかい」

「流石は陰陽師の凪様、まれびと、まろうどと読みまする」

 ヤッパリ、稀人まれびとか。日乃にも稀人信仰まれびとしんこうがあるんだ。

客人きゃくじんは稀人ですか。其で村人総出のもてなしを」

 流石はひめの先生、稀人は知ってたか。

 椿だけが、解らないみたいだ。

「日本では異人、来訪者らいほうしゃとも、海沿いでは漂泊者ひょうはくしゃ漂流者ひょうりゅうしゃだ。

 稀に来る人だから稀人。

 遠くから福をもってくる人だ。

 土地で旅人だったり、武芸者だったり、村の恩人だったりと替わる。

 遠い土地の知や技や品をもたらす異界からの神様だ。

 宴を開きもてなし、稀人が男なら夜には若い娘を夜伽よとぎにさしだし、外の血を村にいれる」

「な、な、何と!」

 椿は愕然としている。

「日本の岐阜県の川辺町かわべちょうには、乞食こじきを神様の化身としてもてなす、乞食祭こじきまつり(正式名称は桶がわ祭り)がある」


「「はあ!」」

 三人が驚きの声をあげた。

「乞食は物乞ものごいですよね」

 ひめのが確認してくる。

「乞食は稀人であり神様の化身だ。

 日本では神家は神社と言う。

 あがた神社の祭りだ。

 昔、日照りが続き水不足と飢饉ききんになった、そこに乞食が流れて来た、村人はおのれの食べ物がないのに、乞食に食べ物をわけた。そして、数日がたち乞食がいなくなった日に、雨が降り水不足と飢饉が終わった。

 誰かが言い出した、あの乞食は神の化身で村人を助けるに価するか、見定めに来たのだと。

 神の化身に感謝と、来訪を願い執り行う祭りだ。

 昔は食べ物が貰えるからと周りの乞食が集まり、何時しか案山子かかしになり、今は厄年の男が志願して代理の乞食となる。

 乞食への御賽銭は沢山はいるぞ。

 もてなしが終わると、赤飯が入れてある大桶おおおけを男達が担ぎ、境内を廻った後に赤飯をぶちまけ、赤飯を皆で奪いあう。赤飯は食べると御利益がある。

 祭りの終わりに餅なげをして、皆で拾う。楽しい祭りだろ」

 三人はドン引きです。

「稀人は土地で変わる。

 稀人は福を与えた後、福を逃がさない様に、土地によっては・・」

 自分の話しは中断した、襖が開き床着に着替えた、みりあ逹五人が入って来る。


「上がりました。

 大きな声がしましたが何を話してました。 

 迷霧さん、それ三味線で御座いますか?」

 真風と娘達が迷霧ちゃんが持ってる三味線に驚く。


 迷霧ちゃんが七方出の簡単な説明をする。

「傀儡で御座いますか、迷霧御姉様の芸を見たいです」

 娯楽に飢えているのか、早彩ちゃんが傀儡に食い付く。

「刻があったらな、今はみりあ、メランを呼びなさい」 

 みりあが立ち上がる。

「来なさい、メラン」


 部屋の隅がゆらぎ、熊の形が現れる。

『お呼びで御座いますか、タクティ様』

「メラン、我と申すより、我の主人の御用です」

「寿 凪です」

『御挨拶が遅れました。

 タクティ様の聖獣のメランで御座います。

 我が主人のタクティ様を宜しくお願い致します』

 メランは四つん這いの格好のまま、頭を下げた。


「早速だが、みりあからの祝福はどうすればいい。

 みりあはまだ思い出せないみたいだから」

『祝福ではなく、正しくは恩恵で御座います。

 恩恵を授けたい者の額に、タクティ様が口付けをしてました。

 その時に、言葉を言われましたが、我からは申せません』

吝嗇りんしょくな(ケチ)!」

 早彩ちゃんに同意。

『寿様、今宵はタクティ様に夜伽を命じなされますか』

 メランは、早彩ちゃんを無視しやがった。

「嫌、今宵は違うが」

『我等、聖獣が揃い、タクティ様に誓いをしたいと思います。

 其にはタクティ様の今の身体が未通女おぼこ(バージンのこと。未婚女性の意味もある)でなければなりません』

「メラン、我は其処まで思いだせてないは。

 誓いが終われば、旦那様のお情けを頂いても構わないの、メラン?」

 みりあは戸惑いながら、メランに聴く。


『聖獣が揃い誓いを行えば、少しは思いだせるやも知れません。確かではありませんが。

 夜伽は、誓いが終われば、生涯の相手となら』

「う~ん。日本に帰りたいが、母と姪がな。

 覚悟しましょう。

 メラン、身体が大きい者は、どの位だ」

 自分の言葉に、みりあが顔を赤くした。

『この部屋の三つ位です』

「早彩、奥の部屋はどうなっている」

「御兄様、奥の部屋は襖で隔たりが御座いますが、襖を開ければ四つの部屋つながりまする」

 早彩ちゃんは聖獣の声が何故か聴こえるからね。

「移ろう。ひめのは皆に話してくれ」

 説明はひめの先生に丸投げにしましょう。





 部屋の襖が開けられる、四つの部屋がつながる。

『メラン、襖は外した方がいいかい』

『いえ、其のままで結構で御座います。

 タクティ様が名を呼べば、封印が解けますが、名を我が教えること出来ません』

 みりあが自分を見る。解ってますよ。

「エリュトロン」

「エリュトロン!」

 みりあの声とともに部屋の真ん中がゆらぎ赤い色が見える。


「何と!赤い猿!異国の猿は赤いのですか?」

 炎が絶叫するが、自分も驚いた、赤いと言うより赤毛かな?

 猿は三メートルは有るな。

 ゴリラに似てる感じがする。


『タクティ様、お久し振りです』

「ええ、エリュトロン。

 姿をみたら、思い出せました。まだ、もやがかかったみたいに、二人はまだ思い出せないで御座います。

 エリュトロン、一緒に戦ってくれましたね」

『はい。タクティス様』


「しみじみとしているのに、悪いが刻がないから、次にいきたいが」

「はい。旦那様」

「みりあ、次はレウコン」

「レウコン!」


 メランとエリュトロンが部屋の隅に何時の間にか移動してるぞ。

 部屋の真ん中が、白くゆらぐが、高いぞ。

 レウコンはサラブレット種に似た、白馬だった。

『御会いしたかったです。タクティ様』

「レウコン・・」

 みりあは、レウコンの首に頬を寄せる。


 さて、最後だ。

「キュアノエイデス」

「キュアノエイデス!」

 今度は青く揺らぐ、細長いな。

 胴体は一メートルは有り、体長八メートルは有る、青い大蛇だ。人位丸呑みできそう。キュアノエイデスは部屋三つに横たわった。

「青い蛇!面妖な!」

 琥珀がドン引き。

 

 みりあの前に聖獣が並び、首部を下げた。

『タクティス様。四聖獣しせいじゅう揃いました』

 メランの念派が響く。

『皆、日乃国まで、我に付いて着てくれました』

 みりあが涙目で語り合いをしている。

 この間に、才を見よう。


 誓約 おるこす


 文字が増えてる。誓約が多分聖獣との誓いだな?

 

「みりあ、オルコス」

「オルコス!」

 ギャ!聖獣とみりあが光った。ビックリした。

 

 みりあの才を見ると、全ての聖と魔道の才の文字が、濃くなった。

 恩恵 おふぇろす 昌運


 文字も増えてる、恩恵か。そして運ね。とにかく今は恩恵が先。

「恩恵はオフェロスだ」

「旦那様を初めにしたいので御座いまする」

「凪様に何かあったら・・」

 ひめのが自分の身を心配する。

「あの、額とはいえファーストキスとなりまする。

 旦那様を初めにしとを御座いまする」 

 ファーストキス?迷霧ちゃんを見ると満面の笑み。お喋りな忍びの者が!

 ひめの達が心配するが、みりあを信頼しましょう。


 みりあが自分の前に立つ。

 みりあが目を瞑り、オフェロスと言い、自分の額にキスをした。


 自分の額が光だした!

 予想はしてたけど、派手だな?



 桶がわ祭りは、稀人信仰の一つです。

 奇祭・奇習は川辺町には、多いです。気になる方は川辺町役場のホームページを御覧下さい。

 こじき祭りでも検索すれば、沢山の方がレポートしてますが、こじき祭り 鍵で検索すると別の祭り?がでるので注意して下さい。鍵は閲覧しない方が賢明です!

 

 四聖獣は創作です。神話からもってくる予定でしたが、其だとつまらないからです、自分が。

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