四十二幕目 雪花菜
雪花菜 読みは幾つあると思います?
肉食獣の眼をしたみりあに睨まれてます。怖いです。
肉食の獣人族でなく、確か神の血筋のはずだけど、食べないで下さい。
「凪様、納屋には薪と炭が御座いました。薪は量は少のう御座いますが」
琥珀、良いところで帰ってきた。琥珀、助けて!
「みりあによると、湯がでる魔道具が湯舟に付いているそうだ。薪が少なくても大事ない。魔道具を見に行こう」
自分が琥珀を連れ立って、風呂場へ脱出。
みりあも無言で、後ろから付いてきた。後ろから襲わないで!
「流石は銀と綿の龍善家。
唐五では主家にしか、湯の魔道具は有りませんでしたから」
琥珀が感心してる。湯の魔道はあることはあるが、高級品の様だ。
「琥珀、扱いは出来るかい」
「出来ます」
琥珀 元気な子
「湯は見てないと、溢れでるかい」
「湯船の線で停まります」
木製の湯船の浴槽には、紅い線が描いてある。ここで止まるのか。
龍の顔?口を大きく開いた、龍の顔が湯船の上に取り付けてある。
「龍様の口から、お湯がでます。眼に魔道力を込めます。この魔道具の眼は魔玉ですね」
「まぎょく?確か魔獣が持っているはず」
「魔玉は魔獣と魔海獣(海の魔獣の総称)に魔鳥(空の魔獣の総称・鳥だが昆虫型を含む)の額や腹の中にある事が多く、魔物がもつ魔道力が固まったもので、魔道具の力の源で御座います。言い分けが、面倒なので総称で魔獣で御座います。
魔玉を持たないのが、獣で御座います」
魔玉はモーターかな?
エネルギーの魔道力を込めれば、稼働するならモーターに近いのかな?
「琥珀、魔石もあるんだよな」
「魔石は、大地の石がその土地がもつ自然の力を蓄え、悠久の時を経て、石が転じると云われております。
火山が多い土地では、火の魔石に転じまするが、全ての石が転じる訳でないみたいです。土地によりまするが、銀のように土の中にあり、鉱山の様に掘り出します。大量に採れる所も御座いますが、火山なのに魔石が無い土地も御座います」
魔石に変わる石にも、種類と条件があるんだろうな。どんな条件なのか判らないが。
「魔石は魔玉と同じで、魔道具の力の源で御座います。石の質は土地で変わりまする」
産地が重要なのね。産地で質が違うなら、産地に拘るのは当然か。
「其と、魔玉と怪魔玉の名がある、砂流に咲く植物が御座います。
我も話ししか存じませんが、魔玉は石にしか見えない、面妖な植物で御座いますが、綺麗な花を咲かすそうです。
怪魔玉は名しか存じません」
石にしか見えない花 魔玉ね、流石は異世界。
「湯張り(湯船にお湯をためること)は我が致しまする」
怖い目付きのみりあが、進み出て龍の眼に魔道力を込めるとお湯が出た。
「凪様、参りましょう」
琥珀が自分を居間に促す。
「みりあさんは怖かったですね」
二人になると琥珀が囁いた。
「夜伽に名乗り出たのだが、今夜は駄目だと勘が告げる。吉凶のほうだがな」
琥珀は怪訝な表情をした。
居間に戻ると他の六人も戻っていた。
「布団は二十組、御座いました。床着(寝間着)も二十人分御座いました」
迷霧ちゃん。椿。早彩ちゃん。
「井戸は台所の裏に御座います。釣瓶井戸です。
釣瓶は滑車付きの縄で、桶を上げ下げする井戸で御座います。
物干し張り(物干しの土台)と竿も御座いました。洗い張りも出来ます。
凪様、洗い張りは、洗い物の着物を乾かす板に張り乾かします。
帯は伸子(帯等長い洗い物を乾かす道具)で乾かします」
炎、解説を有り難う。
「台所は釜戸が二つ御座いました。米と玄米、味噌、塩も十分にありました。
膳と茶碗等は二十人分御座います。
他の食材が有ればすぐに用意出来まする」
真風、ひめの。
各々の報告を受ける。
生活出来るのは揃ってるか、当たり前か。軟禁状態だから、揃ってないと困る。
「誰か来ます」
対人センサーの迷霧ちゃんが報告。
真風と琥珀が玄関に向かう。
晩御飯が届いたみたいだ。夕餉だったよな。自分も手伝おうとしたら、椿に叱られました。
何もされてもらえない・・
何時ものひめの先生のギコチナイ盛り付けが終わり、晩御飯だ。
「流石は御城で御座いますね。御飯が炊きたてで御座います。
あつものの具が豆腐です。
惣菜の雪花菜も久しぶりです」
嬉そうだね迷霧ちゃん。でも、御飯が炊きたてって?特別なの?
豆腐と御殻は日乃に誘拐されて来て初めてだ。豆腐は無いと思い込んでいた。
でも、あつものは何ですか?
ひめの先生に聴いたら、羹・羮と書き。野菜、魚と鳥や肉を入れた熱い汁物の総称だ。
文字は羹、羮どちらでも良いとの事。
確かに汁物だね、具は豆腐の他に野菜が沢山入ってる。肉類が駄目なひめのの為かな?
御飯が炊きたてなのも、ひめの先生質問したが、ひめの先生が解らなかった。迷霧ちゃんが解説してくれた、
地方によって朝・昼の違いがあるが、普通の家庭では、一日一回しか米は炊かないとのこと。(阿嘉村は朝一回)
炊いた御飯は円形で蓋付きの木製品、櫃・御櫃にいれ保存をして昼餉(昼食)・夕餉を賄うとのこと。そうなんだ。
御櫃は持ち運ぶ為だけでなく、保存用でもあったんだ。
旅籠では客商売だから、米は必ず炊くそうだ。旅籠や城だけだったから、気が付かなかった。
元姫様のひめの、椿、早彩ちゃん。お嬢様の琥珀は知らなかった。
そして、日乃では初のお惣菜、御殻です。御殻を雪花菜とは、日本では古い読み方だよ、迷霧ちゃん。
雪花菜と書き、おから・きらずと読むんだったよな。
きらずは、御殻は調理するのに切らなくてよいから、きらず。
確か他に大入り・豆腐殻の別称があったな。
日本では地方や店でも替わるし。御殻が読めない人が多くなったから、平仮名のおから表記が多い。
地方によっては調理後で、呼び名が替わるんだったよな。調理後が卯の花だったな。日乃ではどうなんだろう。
「豆腐は値が高くなりました。
家(菜山藩)の塩の職人が父上の後を追い、塩の技法が失われ、塩を作るときにでる苦汁が品薄になったと聞き及びます。
苦汁は豆乳を固めるのに、欠かせない品ですから・・」
椿が悲しそうに話す。みりあと早彩ちゃんも悲しそうな表情をした。
迷霧ちゃんは、失言に気まずそうだ。
塩の製法をもつ藩は、後一藩だったな、苦汁が品薄になるはずだ。
其で豆腐が無かったのか、御殻は豆腐を作るときにでる、大豆の搾りカスだ。
雪花菜の読み方・別称が多いのは、搾りカスの殻を空ととり、空に通じるのを商人が嫌がるからが説だ。
豆腐を作れないなら、御殻も品薄だな。
大豆を搾った液体が豆乳で、豆乳を固めるのに必要なのが苦汁だ。
でも、今夜は品薄の豆腐と御殻?
晩御飯も終わり、自分を置いての後片付けも終わる。
「みりあ、湯浴みをしたらメランに会おう。今夜ぐらいしか刻がないから。
何時中松さん逹が付くか、判らないからな。
刻があるなら、迷霧の忍び道具も見よう」
「承知しました」みりあ。
「畏まりました。その前に湯浴みを致しましょう」
笑顔の迷霧 困った子。
「湯浴みはひめのと椿、迷霧とする。後の者は、順に入ってくれ」
後の五人は不満そうだ。特にみりあは。
「みりあ、勘が告げる今夜は不味いと」
「勘で御座いますか?」
みりあが首を傾げた。
「話して無かったか。勘は人の才や諱も見えるが、吉凶もある程度は告げる。漠然とした感じたがな」
「はぁ」
「今宵の伽は椿にする」
「有り難う御座います」
椿が礼を言うが、チラッとみりあを見る。
「メランに訊きたい事があるから。今宵は椿に譲ってくれ」
「畏まりました」
みりあは不服そうに返事をした。
「湯浴み〜湯浴み〜」
楽しそうだね、迷霧ちゃん。
ひめの先生と迷霧ちゃんにしたのは、二人の内どちらかだと拗ねるから、二人を入れないとまたね〜。
主人の方が奴隷に気をつかってる。
美少女二人に取り合いされるのは、嬉しいが大変です。
アッ。美少女八人による取り合いか!
自分の魅力による、取り合いじゃないのが残念です。
奴隷ハーレムだから。
雪花菜は、地方で替わりますから、出してない名も有ります。
御殻より、品薄な苦汁が何故ある?
羹は和食の店でも通じない店員が多いです。
魔玉・怪魔玉は地球の実在する多肉植物です。魔玉は石に似ていて南アフリカが原産地です。
出したかっただけです。




