三十二幕目 再びもみじの湯で戦女神
すいません。病院でも原因不明のめまいに、悩まされ捗りませんでした。
全員でもみじの湯に移動する。
真風がもみじの湯の看板を裏返し、使用中の赤文字に替える。
脱衣所の中に入ると、鍵を掛けてから、みりあが御高祖頭巾を取る。金髪が綺麗だ、勿体無い。
「湯文字は、好みの色で宜しいですか、凪様」
迷霧ちゃん、ウキウキしてないか。
「選らんで」
椿とみりあに早彩ちゃんが、自分の前に立つ。みりあが話し始めた。
「昨晩は、ひめのさんと真風さんが御手伝いされたと、聞きおよびます。今宵は三人に譲って頂きました。御手伝いさせて頂きますが、その前にお話しがあります。封印が解かれ思いだした事を試したく、お願い致します」
「試すのは構わないが、風呂でか」
「翼人のように、背中から翼がでるのを思いだしました。翼がでると着物が破れるかも知れず、貸切りと聞きおよび、部屋よりは試し易いと思い、旦那様にお願いします。試させて下さいませ」
菜山三人娘は、深々と頭を下げた。
「ここが試し易いなら、構わないが」
「ありがとうございます」
菜山三人娘は深々と頭を下げた。
みりあだげが小袖での帯をとき始める。ああ、衣服が破れないようにか。
みりあは、やはり恥ずかしいのだろう、後ろ向きで小袖、長襦袢、肌襦袢、腰巻きと脱いでいく。
後ろ向きで、全裸になる。みりあの背中には、真風のような翼痣は無かった。肌が透き通るぐらい白い、お尻は小振りだ。好みです。
八人の視線が全裸のみりあに集まる。
みりあの才を見る。
金色の文字が薄く見える。
封印よりも、みりあの成長かな。う〜ん。
「みりあ、才は金色の文字は、よく見ると九つが少しだけ、他の文字より少しだけ濃くなってる。わずかに少し濃いだけだから、気付かなかった。
魔道と考えている方は、光と空間だけが少しだけ濃い。聖剣・聖羽・聖槍・聖弓・聖鎧・聖治療・聖水が少しだけ濃くなってる」
自分の助言にみりあは、小さく頷いた。
みりあは集中してるみたいだが、変化がない。
封印は解けたはずだし、ならば、意見を聴くか。
「みりあ、メランに聴いてみなさい」
「えっ、メランにですか」
自分の提案にみりあが戸惑う。
少し考えてから、長襦袢だけを羽織、軽く帯を締めてから、話す。
「旦那様の申される様に致します。メラン、来なさい」
脱衣所の入り口の前が、陽炎のようにゆらめく。
「ようえんの様に、現れますね」
ひめのが呟く。
「ようえんは、陰陽の陽と火偏の焔と書き陽焔、陽炎の別称で、うららかな春の日、野原に立ち昇る気の意でございます」
自分の表情で、ひめのが気付き、解説してくれた。
「陽炎は陽焔とも、申しますか」
早彩ちゃんも理解した。
「近くにいました。翼が出せないようで」
メランの姿が整い、話し始めだ。
「ええ」
メランの問にみりあが答えた。
「タクティ様、封印される前は、右腕を横に水平にして、アンドレイアと叫ばれていました」
「そうでしたか」
「止める時は、無言で左腕を水平にされておりました」
「お試しを」
あのね、全部同じ単語を叫んだだけ?心の中で指定してるのかな。やり方は解ったが、いいのかな?
みりあが帯と長襦袢を床に落とす。もうやるの。
全裸で右手を横に水平にする。
「アンドレイア」
背中から金色の光が、出て翼の形になり、白い翼になってしまった。白鳥の翼を思い起こす。
「アンドレイア」
みりあが再び叫ぶ。今度は全身が金色に染まり、銀色に色が替わる、優しくみりあを包みこむ感じだ。
みりあが此方を向く。
西洋風の鎧!背中からは、白い翼!!
「あらま!北欧神話のヴァルキリー!!」
叫んでしまった。
「旦那様?」
椿が自分を見る。
「日本の海の向こうの大陸で、北欧の神話にあるヴァルキリーそっくりだ」
「づぁ・・何です」
迷霧ちゃん、キョトン。
「女神さ。日本では、戦乙女、戦女神とも。戦で死んだ傑士(優れた人物・傑人)の魂を狩り、神々の戦で戦わせるまで、傑士の宴の支度をしたり、酒の酌をする女神」
「誠に女神様でございでましょうや。ずぁるきりなり女神様は」
ひめの、間違ってるよ。
「我は、酌など致しません。旦那様だけ致しますが」
みりあは憮然として、話した。
「神々しい、姿・・まさに戦女神様」
炎が呟いた。
みりあが後ろ向き、左腕を水平にして、元の姿に戻る。そしてメランが、ゆらめき戻っていった。
みりあは再び長襦袢を羽織り、帯を締める。
「旦那様、御召し物を脱がれるのを御手伝いさせて頂きます」
椿が神妙な顔つきで話す。
椿と長襦袢のみのみりあが、野袴を脱がしてくれたが、長襦袢だけのみりあの胸元が、うー。
真風の指導の元、早彩ちゃんが折り畳んでいく。元姫様なら解らないよね。えっ、結構出来てるぞ。
「凪様。脱ぎます」
迷霧ちゃん、又もや何をアピールしてるのかな。
迷霧ちゃんは、自分に前向きで脱ぎ始めた。皆は後ろ向きなのに。
迷霧ちゃんは帯を床に落とすと、小袖を脱ぎ捨て長襦袢姿になり、長襦袢の帯も床に落とす。肌襦袢姿になる。
「迷霧、止しなさい」
早彩ちゃんが真似たら困るから。
「凪様が喜ばれるかと」
迷霧ちゃん、自分は脱がすのが好きです。
「迷霧」
「凪様、申し訳御座いません」
迷霧ちゃんしょんぼり。後ろを向き肌襦袢を脱ぎ、赤い腰巻き姿になる。流石に今度はアピールをせずに、腰巻きを脱ぎ湯文字姿になる。
「皆、入るよ」
迷霧ちゃんのアピールのせいで、皆は手が止まってる。自分の命令で全員が慌てて湯文字を羽織る。
早彩ちゃんも恥ずかしながら、肌襦袢を脱いでいく、早彩ちゃんの背中にも、真風の翼痣と似た翼痣が有るが、色は黒く細長い線で両肩から腰までだった。
ひめの、真風、琥珀、椿がピンクの湯文字で、みりあ、炎、早彩ちゃん、迷霧ちゃんがホワイトの湯文字を着た。五人は昨夜と選らんだ色が違うぞ。ふむ。また、こちらの色も良し。
スケスケ湯文字は刺激的すぎる、素早く奴隷達を連れて移動。
九人で戸をくぐった。
みりあの姿は北欧神話のヴァルキリー似ているだけです。異世界の女神様ですから、姿だけのモデルです。宴会で酌はしません。凪だけには酌します。
戰女神は少し遣います、少し後になります。
英語読みのヴァルキリーにしました。日本ではこちらが有名みたいなので。
陽焔は作中のままです。




